窓口の混雑と待ち時間の長さはどうにかならないか。この不満は今後、4Kタブレットを使った新システムでなくなっていくかもしれない。三井住友銀行が新型の銀行窓口端末「SMBCステーション」の導入を進めている。
銀行や郵便局などの金融機関、携帯ショップ、医療機関、交通機関のチケット売り場──。窓口での待ち時間はとても長く感じる。窓口は顧客と直接向き合う企業の顔。中身がよくても、窓口担当者の対応、待ち時間のイライラで顧客満足度は下がってしまう。
窓口業務の効率化と顧客満足度を高められる、誰もが分かりやすい、そして安心して実践できる方法はないか。大手都市銀行の三井住友銀行が、先進のITデバイスとシステムでこの課題解決のための対策を進めている。
銀行の窓口は、「顧客の資産」を直接扱う業務。間違いがあってはならない。窓口業務の行員は顧客と直接向き合う最も近い接点として、要望を適切に理解し、応える必要がある。
もちろん客も混雑は仕方ないとある程度理解はしている。窓口や人員の拡充、ATMの拡充、待ち人数表示システム、窓口業務前対応スタッフによるケア、待合室設備の拡充など、待ち時間の長さと顧客の感情を緩和する施策もなされている。たいていの客は、自分の番が来ればその不満を忘れてしまうだろう。
でも、それは根本の解決になっていない。窓口業務の手段を改善すれば行員の業務効率が高まり、結果として顧客満足度をもっと高められる。三井住友銀行はこう考えた。ペーパーレス化でコストメリットも追求し、かつ紙の資料を示す以上の表現力と手軽さで顧客に分かりやすく説明できるようにしたい。この実現のため、新型の銀行窓口端末「SMBCステーション」を開発した。
SMBCステーションは、高精細な4Kディスプレイを備えた20インチタブレット「TOUGHPAD 4K」(パナソニック)をベースに、銀行の窓口で“顧客が直接操作できる”新しい考え方を採用した窓口業務のための端末だ。
三井住友銀行、デバイス開発のパナソニック、金融機関向け大規模主要システムの構築に数多くの実績を持つNEC、高速性と安全性を兼ね備えた指静脈認証の独自技術を持つ日立製作所の4社で協同開発し、2009年に同行全店への導入を完了した行員専用営業端末「CUTE」と連動できるようにした。
TOUGHPAD 4Kは20インチで3840×2560ドット表示(230ppi)の高精細液晶ディスプレイを備え、OSにWindows 8.1 Proを採用。正面は画面のみとなるピュアタブレットスタイルで、厚さ12.5ミリ、重量約2.35キロの薄型軽量ボディ、10点マルチタッチと電子タッチペンが仕え、76センチ落下試験(動作時/底面方向)に耐える堅牢性を特長とする。20インチの高精細画面は、A3用紙をほぼ原寸サイズで表示できる。電子化した紙の資料の表示も違和感なく代替できる。
SMBCステーションにより、窓口では、以下の「より利便性が高く、分かりやすいサービス」の提供が可能となった。
SMBCステーションは2014年内に試行を開始し、順次、三井住友銀行の国内本支店約460店に約3700台を導入する。効率の改善とともに、「混雑の緩和」がどんな顧客価値を生むか、今後の効果や成果に期待したい。
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