通常メニューのテイクアウトにも対応したことで、さまざまな使い方をするユーザーが出てきている。昼に使う人もいれば、仕事帰りにドライブスルーで買うために使う人もいるそうだ。「Webでメニューを見られるようになったことで、気軽に注文いただけるようになったのかもしれません」と高尾さんは分析する。
予約した人は決済を済ませた状態で店に来ることから、通常のレジとは別に予約者専用のレーンを設ける案も現場から出てきているという。今後はシステムに合わせ、現場のオペレーションを変えることも視野に入れているそうだ。
通常メニューのネット予約に対応したのは、全店舗のうち半数程度の545店舗。地方の店舗では、客との対面でのコミュニケーションを重視する店もあるといい、すぐに全店展開とはいかなかったようだ。「それでもニーズはあるので、今後は徐々に利用が広がっていく」と高尾さんは考えている。
現在、高尾さんはネット注文システムにデリバリー注文の受付システムを追加するための要件を詰めている。昨今、宅配市場は成長を続けており、ケンタッキーでもデリバリーを行っている店舗は90店舗ほどある。主にパーティーなどでの需要を見込んでおり、「年度内にはシステム構築を終え、2016年4月をめどにスタートさせたい」と意気込む。
オペレーションの効率化とタッチポイント拡大によるビジネスチャンス。ネット注文システムで同社が狙う効果はこれだけにとどまらず、客層の“若返り”にも注目している。普段ネットをよく使っている若年層にもケンタッキーをアピールしようというわけだ。
「ケンタッキーのユーザーの多くはファミリー層で、30〜40代が中心です。しかし近年はやや50代へとシフトしつつあるほか、アンケート調査の結果から“古い”ブランドと思われていることが分かってきました。2013年から若い人に向けたブランディング施策を行っていますが、ネット注文システムも若い方々に使っていただきたいですね。20代も見据えて展開できるか、これから検証を進めていくつもりです」(高尾さん)
近頃はコンビニエンスストアがフライドチキン系の商品を展開するなど、競合が増えていることもあり、今後は若年層へのアピールは欠かせないものとなる。成熟しつつある外食産業でどのように売り上げを伸ばすか。ネット展開を強めるIT戦略はその1つの答えなのかもしれない。
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