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» 2004年07月31日 12時00分 公開

The Rational Edge (26):ソフトウェアテスターのための4つのレッスン−1 レッスン1 [何もせずに取り残されるな] (4/4)

[Len DiMaggio(IBMソフトウェアQEエンジニア/マネージャ),@IT]
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レッスン4 [Ward Bondは正しかった。単に指示するだけでなく理由も述べよ]

 これまでの3つの教訓は、主にソフトウェアテスターを念頭に置いたものだ。だが、最後の教訓は、ソフトウェアテストの方向性を決める人々、つまりソフトウェアテストチームのリーダーやマネージャに直接向けられている。

 筆者の元上司の中には、乗馬を本格的に楽しみ、1960年代に放映された「幌(ほろ)馬車隊」という西部劇番組の大ファンだった人もいる。彼女は、Ward Bondというその番組の主人公が遭遇する状況と、自分や自分のソフトウェアエンジニアリングチームのメンバーが対応している問題の類似点をしばしば引き合いに出した。同番組のあるエピソードでは、Ward Bondと幌馬車隊が砂漠を横断中に、隊長の1人が、水を見張り、配給できるよう、水の入ったすべてのたるが自分の幌馬車に集まるよう手配する。すると、ほかの幌馬車隊のメンバーは隊長が自分だけのために水を確保しているのだとして非難し、リンチにかけるとして脅迫する(何しろ設定は開拓時代の米国西部地方なのだ)。しかし危機一髪のところで、水の配給計画は実に良識のあるやり方で、砂漠を横断する際は全員で従うべきだとWard Bondが説明し、状況を打開する。

 彼女の(繰り返される)話の教訓は何だったのだろうか? それは、重要な判断を下すとき、特に皆が感情と知性を投資して慣れ親しんだものを変更するときは、判断の「種類」と「内容」だけを伝えるのでは十分ではない。もしその判断に「賛成」してもらいたいのであれば、その「理由」も説明する必要がある。このアプローチは、製品開発中に設計に劇的な変更を加えることがかなり一般的に行われるソフトウェアにも当てはまる。ソフトウェアの開発やテストチームがこれらの変化に合わせられるようにするためには、何がどのように変更されるのかだけでなく、その変更が行われる背景となった理由も、彼らが理解し、受け入れられなくてはならない。

◆ 変更理由の理解には時間をかける。開発中のソフトウェア製品にこれだけ多くの設計変更が行われるのはなぜか? 現場の環境も理由の1つだ。新しくリリースされるソフトウェア開発ツールが、これまで不可能だったことを可能にする場合も多い。クライアントを喜ばせる機能を追加できるのであれば、そうするのが人情だ。しかし、これらの変更は、利用される素材の物理的性質の限界を超えない範囲で行う必要がある。例えば、半分完成した時点でつり橋の設計を見直すのは困難だ。しかし、ソフトウェアでは、変更は創造力とプログラマのスキル、そして利用できるソフトウェアツールにしか制約を受けない。

 成功するためには、ソフトウェアの開発やテストチームはこれらの変更を理解し、それに順応できなくてはならない。チームにとっても(そして読者自身にとっても!)、背景を全員が理解している方が、変更の完全な実装がはるかに簡単になる。チームに自分の判断を受け入れてもらうための重要なポイントは、判断の理由を正直に話すことと、さらに重要なこととして、自身にも正直になることだ。自分やチームのメンバーが自分たちのしていることを信じられないのでは、どれだけそれが明快であっても関係なくなる。John D. Rockefellerに、なるほどと思わせる素晴らしいセリフがある。同氏は晩年になってゴルフを始めた。腕前はひどいものだったが、常に助手を同伴し、徹底的に公正なスコアを付けさせた。理由を聞かれた同氏は、「誤解は許されない」と語り、人生の成功に対する見識を披露したのだった。

◆ 焦点を絞る。変化が起こると、ソフトウェア製品の開発が継続する中でこれらを把握しておくのは紛らわしい。前述したように、ソフトウェアデザインの細工や進化には自分とチームのメンバーが対処しなくてはならなくなる可能性が高い。このような状況においては、チームを具体的な行動に集中させておくことが必要だ。混とんとしたような状況では簡単に流されてしまう人もいる。リーダーとしては、チームに割り当てられた仕事を可能な限り明確にすることが必要だ。

【チームの価値】

 結びに、もう1つだけ強調したいポイントがある。常に優秀な上司の元で仕事をすることが自分のキャリアにとって最良なことの1つだ、という古いことわざがある。この点について筆者は、1〜2人の「興味深い」例外を除き、後は常に優秀なマネージャの元で働くことができた。しかし、優れた同僚や社員に巡り合うことも同様に欠かせない。自分がどれだけ有能でも、自分1人だけではできることが見えている。筆者はこの点についても非常に幸運に恵まれている。誰一人として孤立する者はいないといったJohn Donneは正しかった。Casey Stengalも同様で、New York Yankeesを率いてワールドシーズンのチャンピオンに輝いて祝福を受けた後、「選手がいなかったら優勝できていない」と語っている。


本記事は「The Rational Edge」に掲載された「Four lessons for software testers (and their managers)」をアットマーク・アイティが翻訳したものです。

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