
勤怠管理システムは、単なる勤怠打刻やシフトの記録ツールではありません。休暇や勤務スケジュール、さらには勤務形態や雇用形態ごとの管理も不可欠です。たとえ事業規模が小さくても、従来からある紙やExcelを使った管理は効率が悪く、誤りも生じやすいものです。
本記事では、勤怠管理をデジタル化し、業務の効率化を図るための勤怠管理システムに焦点を当て、その概要やメリット・デメリットについて詳しく説明します。併せて、すぐに導入検討を始められる/数ある製品の中からある程度簡単に絞り込めるよう、タイプ別のおすすめ勤怠管理システム(全61製品/2025年12月時点)をご紹介します。

- AOIS Consulting 株式会社 代表取締役
- 青井 真吾
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目次
- 勤怠管理システムの基礎知識
- 勤怠管理システムの主な機能
- 自社に合った勤怠管理システムを見極める、9つの重要な検討項目
- 【そのまま使える】勤怠管理システムの導入を成功させる要件定義チェックシート
- コストを抑えて導入できる 「初期費用0円」「無料プラン」を用意する勤怠管理システム16選
- 他業務とも連携したい 連携機能に定評のある勤怠管理システム12選
- 多機能/カスタマイズ対応機能を備える勤怠管理システム12選
- 専門性に強み 業種・機能特化型の勤怠管理システム14選
- ITセレクトおすすめの勤怠管理システム30選(「詳細資料」あります!)
- 勤怠管理システムは自社の需要を踏まえて選定しよう
- 今すぐ資料請求できる「勤怠管理システム」製品一覧
- レビュー別ランキング
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勤怠管理システムの基礎知識
勤怠管理システムは、従業員の労働状況を管理するための重要なツールです。このシステムを利用すると、出勤状況、休暇の取得状況、個別の残業時間など、さまざまな情報を簡単に管理できます。
勤怠管理システムとは?
勤怠管理システムは、従業員の労働状況を正確に記録・集計し、管理するためのシステムです。このシステムを導入することにより、従業員の出退勤情報や休暇の利用状況をリアルタイムで把握することが可能となります。
勤怠管理システムが管理できる主な勤怠情報は以下の通りです。
- 出勤状況
- 休暇の取得状況
- 個別の残業時間
「出勤状況」は、従業員の出勤時間や遅刻情報から、労働時間を正確に記録する機能です。従業員の勤務時間を適切に管理できるので、給与計算や労働法令の順守に役立ちます。
「休暇の取得状況」は、有給休暇や特別休暇など、従業員の休暇日の取得状況・期限を管理する機能です。従業員の休息とリフレッシュをサポートし、適切な休暇の取得を促進します。
「個別の残業時間」は、残業時間を正確に記録する機能です。過重労働を防ぎ、従業員の健康や労働環境の向上に貢献します。
勤怠管理システムの主なメリット
勤怠管理システムを導入することは、従業員と企業の双方にさまざまなメリットをもたらします。以下では、従業員側と企業側から見た主なメリットについて詳しく紹介します。
従業員側から見たメリット
従業員側から見た際のメリットは以下の通りです。
- 出退勤の打刻や申請が簡単になる
- 多様な働き方にも対応しやすい
- 自分のスケジュール調整・管理を行いやすくなる
勤怠管理システムを利用することで、従業員は出勤と退勤の時間を簡単かつ確実に記録できるようになります。手作業での勤怠管理に比べて間違いや対応漏れが減少し、正確な労働時間の計算が可能です。また、休暇の申請もシステムを通じて行えるため、従業員は柔軟なワークスタイルを実現しやすくなります。
在宅勤務やリモートワークといった「多様な働き方」に対応したい企業の要望にも応えます。従業員は自宅やオフィス以外の仕事場、出先でも、また使う端末もPCだけでなく、スマートフォン、SNS連携ツールなどで手軽に打刻や勤怠状況を把握できるようになります。
勤怠管理システムは、従業員自身の労働時間や休暇の取得状況もリアルタイムで確認できます。これにより、従業員は自分のスケジュールを調整しやすくなります。これは仕事とプライベートのバランスをとりやすくする重要な観点です。アラート機能があるシステムでは、過重労働を防ぐための警告や、有給休暇の取得を促す通知を受けることもできます。
企業側から見たメリット
勤怠管理システムを企業が導入するメリットには、以下が挙げられます。
- 正確な労働時間を把握できる
- 業務の効率化を実現する
- 人材配置を最適化できる
勤怠管理システムは、従業員の出退勤時刻を正確に記録し、法令に基づいた労働時間管理を実現します。不正な打刻や勤務時間の申請を防止し、給与計算の正確性を高めることで、法的リスクを軽減できます。
データを自動集計してくれる「レポート機能」、他の業務ツールと連携する「他システムとの連携機能の多様さ、豊富さ」も導入要件に挙げる企業の例が増えています。これらの活用により、従業員の休暇申請やシフト管理も効率的に行えるため、人事や給与業務の負担が軽減します。また、今までタイムカードなどの紙/アナログで管理していたならばペーパーレスにもなり、コスト削減につながります。
勤怠管理システムを活用することで、「労働負担が大きすぎていないか」「部署内メンバーのワークバランスは適切か」といったことの把握、発見もしやすくなります。適切な人材配置により、組織の生産性向上、企業の業績向上に寄与することでしょう。
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勤怠管理システムの主な機能
ここからは勤怠管理システムの主要な機能について、従業員向けと管理者向けに分けて説明します。
従業員向けの主な機能
勤怠管理システムの従業員向けの主な機能には、以下のようなものがあります。
| 従業員向けの主な機能 | 説明 |
| 打刻機能 | 勤怠管理システムを使用して、PC、スマートフォン、ICカードなどを利用して出退勤時間を記録できます。生体認証やGPS打刻といった不正打刻を防ぐ機能を持つシステムもあります。 |
| 休暇管理機能 | 有給休暇や特別休暇、残日数などの情報を簡単に確認でき、休暇の申請もシステム上で行えます。 |
| シフト作成機能 | 管理者が作成したシフトがスムーズに従業員に通知されます。従業員はオンライン上でシフトの確認と変更申請が可能です。 |
| 各種申請・承認機能 | 従業員は残業や出張申請、勤務時間変更などをオンライン上で申請し、管理者もオンライン上で迅速に承認または却下できます。 |
| アラート機能 | 勤怠管理システムが打刻漏れや長時間労働の予測に対し、従業員と管理者にアラート通知を送って労働法順守と健康管理をサポートします。 |
管理者向けの主な機能
勤怠管理システムで管理者が利用できる主な機能には、以下があります。
| 管理者向けの主な機能 | 説明 |
| 勤怠管理機能 | 管理者は組織全体の労働時間と出勤状況をリアルタイムで把握でき、残業時間のトラッキングや休暇申請の処理も行えます。 |
| 工数管理機能 | プロジェクトごとの作業工数とコストを追跡し、予算とスケジュールを管理。プロジェクトの効率化とリソース最適化に役立てられます。 |
| 帳票出力機能 | 給与計算や経営レポート、税務申告などの帳票生成をサポートし、業務プロセスを簡素化できます。 |
| 勤怠情報の 集計・分析機能 |
勤怠データの集計と分析により、出勤状況や残業パターン、休暇利用率などの情報が得られるため、労働環境の改善とリソース最適化が行えます。 |
| 他のシステムとの連携機能(API連携など) | 勤怠管理システムは他の組織内システムと連携ができるものが多くあります。たとえばAPIを利用すればリアルタイムでデータを取り込めます。そのため、人事や給与、予算管理などの情報を一元化して管理することが可能です。経営判断や業務改善に役立つでしょう。 |
自社に合った勤怠管理システムを見極める、9つの重要な検討項目
勤怠管理システムには多くの種類があり、勤怠管理に特化したものから、工数管理・給与管理・従業員のメンタルヘルス管理など多彩な関連機能を持つものまであります。勤怠管理システム選びで多くの企業が選定要件に挙げる「検討・確認ポイント」を紹介します。
(1)自社のニーズに合った機能の有無
まず勤怠管理における自社の業務ニーズを明確にしましょう。自社のニーズ、そして業務の幅や規模によって必要な機能は異なります。例えば、「社員の勤怠管理作業のみ」を効率化したいならばスマホ対応などの機能に特化したシンプルなシステムやアプリが適しています。一方、「経費や給与計算も含めて効率化したい」のであれば、機能が多く、カスタマイズ性の高いシステムが適します。また、業種や企業風土などから、自社独特の機能が必要となることもあります。
具体的な作業としては、「自社にとって必須の機能を実現できるか」を軸に「新たなシステムで、こうしたい、ここを改善したい、こうありたい」といった希望や要素をできるだけ多くリストアップし、「要件」としてまとめるようにするとよいでしょう。
(2)コストパフォーマンス
予算や自社のニーズに応じて成果を発揮できるか、「コストパフォーマンスをどう評価するか」を計画し、要件を定めておくのも重要です。初期費用や月額利用料だけでなく、導入後のメンテナンスや従業員サポート、カスタマイズに必要な費用などを考慮しておく必要があります。
また、ビジネスの成長や変化に応じて求める機能が増える、変わることも大いにあり得ます。「アドオン機能の開発」や「ストレージなどのリソースの拡張」は可能かどうかを必要に応じて確認しましょう。システムの拡張性は重要なポイントになります。
(3)他のシステムとの連携のしやすさ
勤怠の情報は給与・経費・人事管理などのシステムでも利用するため、「他のシステムとの連携のしやすさ」は多くの企業が要件に挙げるポイントです。例えば、勤怠管理のデータを、給与計算や経費精算のシステムなどへ連携できれば、給与や経費の計算を自動化でき、業務効率化を図れます。具体的には、既に使用しているシステムや導入予定のシステムとの「相性」をチェックするとよいでしょう。
(4)システムの提供形態
ITシステムは一般的に、オンプレミス型とクラウド型に分けられます。オンプレミス型は「自社のサーバへシステムを構築し、自社ですべて運用する」従来型の形式です。クラウド型は「インターネット上のサーバへ構築し、ネットワーク経由でシステムの “機能”を利用できる」形式です。それぞれ向き/不向き、メリット/デメリットはありますが、ここでは近年多くの企業が採用するクラウド型を軸に検討していくことにしましょう。
クラウド型のメリットは、ハードウェア費を軸に資産、設置スペース、初期費用などを抑えられること、必要に応じてサーバのリソースを柔軟に追加・拡張できることです。インターネット経由なのでブラウザやアプリがあれば使える柔軟性の高さと多様性、汎用性のある利用シーンの提供が可能です。反面、「自社専用」に作れるオンプレミス型に対する機能性やカスタマイズ性の低さと、セキュリティリスクに気を付ける必要があります。
(5)UI/UX面の使いやすさ
ユーザーが使いにくいシステムは導入しても利用してもらえません。せっかく新たにシステムを導入しても成果は得られません。クラウド型システムは大抵の場合、多くのシーンに適するよう工夫して設計されていますが、それが「自社のニーズ」と合うかどうかは別の話です。
打刻方法や勤怠確認画面、必要なデータの抽出などがやりやすいか、などを「自社のニーズや目的」目線で確認していきましょう。
(6)サポート体制の充実度
システム提供元の「サポート体制はどうか」を深く考慮しましょう。トラブル時や疑問が生じた際に、適切なサポートが受けられるか確認します。特に、自社で保守・管理を行うことが難しい場合は必須です。
(7)セキュリティ対策の充実度
個人情報や勤怠データが漏洩してしまうと、自社にとって多大な悪影響が及ぶリスクがあります。システムが適切なセキュリティ対策を備えているかを確認しましょう。
(8)法令の順守、法改正をサポートする機能/体制の有無
法律の施行や改正、改定などに合わせて、システムがアップデートされるか/対応されるかどうか、対応してもらえるかどうか、どのように対応してくれるか、といったことも確認しておくべき要件です。
特に労働に関する法律は定期的に見直しされ、会社として対応すべきことが変わります。従業員の入力項目や方法が大きく変わるかもしれませんし、必要となる書類や書式が刷新されることもあります。それに合わせて、会社もシステムも対応・更新していかなければなりません。少なくとも「“改正あり”と既に告知・通知の出ている法改正」に対応済み、あるいは対応が想定されているものが望ましいといえます。
(9)無料トライアルの有無
無料プラン、あるいは無料トライアルの用意がある製品ならばぜひ積極的に活用し、検討の材料としましょう。試用により、ある程度の操作感や機能や要件の要/不要などを確認できます。積極的に活用して自社に合うシステムを探してください。
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【そのまま使える】勤怠管理システムの導入を成功させる要件定義チェックシート
勤怠管理システムの選定を始める前に、まずは自社がシステムに何を求めるのか、その「要件」を明確にすることが成功の鍵です。以下のチェック項目に沿って、自社の状況を整理してみましょう。
現状の課題と導入目的
「なぜシステムを導入するのか」という目的を明確にします。勤怠管理のどこに課題があり、システムでどう解決したいのか、関係者間で認識を合わせましょう。
対象従業員と勤務形態
正社員、契約社員、アルバ.イトなど、システムの対象となる従業員の範囲を定めます。また、テレワークやフレックスなど、多様化する働き方にどう対応するかも重要です。
勤怠管理の必須機能(打刻・記録)
ICカード、生体認証、GPS打刻など、自社の就業場所や業務スタイルに合った打刻方法を検討します。労働時間の自動集計や残業管理の要件も明確にしましょう。
申請・承認ワークフローの要件
残業や休暇、直行直帰などの各種申請と、それに対する承認ルートをどう設定したいかを定義します。複雑な承認フローにも対応できるかを確認しましょう。
外部システムとの連携要件
給与計算ソフトや人事管理システムなど、既存の外部システムと連携させたいかを検討します。CSV出力やAPI連携の可否は、業務効率化に直結します。
セキュリティと運用・予算の要件
アクセス制限やIP制限など、求めるセキュリティレベルを定めます。また、導入後のサポート体制や、初期費用・月額費用を含めた予算の上限も決めておきましょう。
コストを抑えて導入できる 「初期費用0円」「無料プラン」を用意する勤怠管理システム16選
導入コストを抑えたいシーン、「今すぐ検討・導入したい」といった中小規模の企業には、まずは、導入へのハードルをグッと下げられる“初期費用無料(0円)”や月額無料/トライアルプランなどの特徴を持つ製品を軸に選定計画をはじめてみてはいかがでしょうか。(登録順/2025年12月時点、以下同)
この特徴のある製品は、気になるコスト面と「知識がないので不安」の両面を解決するポイントを押さえていることが多いです。長年の経験やニーズを把握したうえで、お金や時間のかかるカスタマイズ類の発生なしに提供できるよう「少なくとも必要となる機能はしっかりと標準で備えています」といった自信の表れと捉えることができます。
また、「月額○円/人」と利用人数で料金を計算できるシンプルな料金体系であることも多いです。例えば、従業員数5人の企業ならば「初期費用0円、月額費用300円×5人=月1500円」と分かりやすく、計算もしやすいコスト感で運用できます。
















































