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D4パネル最高峰プロジェクター、エプソン「EMP-TW500」の実力レビュー:劇場がある暮らし――Theater Style(1/6 ページ)

» 2004年11月12日 20時00分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 家庭向け液晶プロジェクターの評価記事をこれまで5回にわたって掲載してきたが、年内の透過型液晶プロジェクターレビューは今回が最後となる。その最後を飾るのは、エプソンD4パネルのリファレンス機ともいえるセイコーエプソンの「EMP-TW500」である。

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 TW500は昨年12月に発売された製品だが、その完成度やレベルの高い画質は、20万円クラスの製品とは明確に異なる。スペック上のコントラスト比は1200:1と控えめだが、実際に映し出す映像は、一般的な透過型液晶プロジェクターの枠を超える高品質なものだ。しっとりとした質感の高い画質は、現時点でも透過型液晶プロジェクター中トップの実力との呼び声が高い。

 実売価格もかなり落ち着き、30万円台半ばまで落ちてきており、先週紹介したソニー「VPL-HS50」やXGAクラスのDLPとも比較できるようになってきている。その実力を見てみよう。

200ワットランプの大光量を絞り込み高画質化

 TW500は200ワットの大光量ランプを採用している。これはTW200と同じものだが、他社製プロジェクターが130〜135ワットの超高圧水銀ランプを用いているのに比べると際だって大きな数字だ。ところがTW200Hが1500ルーメン〜500ルーメンの明るさなのに対して、本機は1000ルーメン〜350ルーメンと投影像は暗い。他社のD4パネル採用機も、おおむね130〜135ワットで800〜1000ルーメン程度だから、ランプ光を相当に絞り込んで使っている事がわかる。

 本機には電動アイリスが搭載されており、画調モードがシアターブラック時にアイリスが全閉となり、そのほかのモードでは全開となる2段階の動作。だがもっとも明るいダイナミックモードでも1000ルーメンだから、この時点ですでにかなり絞っている。

 光の利用効率を無視してまでグッと絞り込むことで光束を整え、それをマイクロレンズアレイ(MLA)とワイドビューパネル付きのD4パネルに当てる。MLAとワイドビューはソニーVPL-HS50でも使われていた技術だ。絞り込んで整えた少ない光をマイクロレンズで集光することで可能な限り通す。つまりMLAは明るくするための技術だが、そのMLAや大光量ランプを使ってまでもTE-AE700LP-Z3などと同程度の明るさになっているところが高画質化につながっている。

 加えて本機にはEMP-TW200Hと同様、光のスペクトラムを整えるエプソンシネマフィルタが搭載され、ダイナミックとリビング、明るい二つの画調モード以外で利用される。

 このフィルタは、超高圧水銀ランプの赤が弱く黄緑が強いというクセを整え、純度の高い赤や緑を実現。緑カブリがなく、自然な肌色の階調を可能にする。ランプ光そのものを光学フィルタで整える有利さもあるが、液晶パネルの制御で色調を整えるために液晶パネル駆動の階調分解能を犠牲にする必要がないという長所もある。

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