今までもコスメっぽいデザインを標榜したデジカメはあったし、コスメ的なテイストを取り入れたデジカメもあった。でもこれの前では全部かすむと言い切っていい。デザインといい質感といい動かし方といい、なんともはやよくできているのだ。シャキーンと音がしそうな感じ。
その分犠牲にしたとこもある。今の流行に反して液晶モニタは小さいし、レンズも光学ズームじゃない。でもそういう性能を求めて買うデジカメじゃないからいいのだと思う。
それが「CONTAX i4R」(以下、i4R)。デジカメブランドをCONTAXだけに絞った京セラの放つ異色作だ。
デザインについては実物を見てもらうのが一番早い。質感については言うことなし。イヤミなほどの高級感だ。ボディには2.8/6.5と書いてあるだけのシンプルさもまたいい。2.8はレンズの明るさ。6.5は焦点距離だ。それを数字だけぽんと書くことでデザインとなっている。その上にあるレンズカバー兼フラッシュは化粧瓶の蓋を思わせる。ここがスライドしてレンズが出てくるのだ。
さらに非常に小さい。手が小さな人でも手のひらにぎゅっとおさまるサイズで、厚さは21ミリで高さ(というか幅?)は38.5ミリ。長さは94ミリとスティックスタイルとなっている。
立てておくと似合うデザインだが使うときはもちろん横方向。
レンズカバー部を指で挟んでひっぱるとレンズが見えるが、さらにもう一段階ぐいっと引っ張るとスイッチが入り、小さなレンズ(それでもカールツァイス テッサーでT*コーティングがなされている)がせり出てくるという仕組みだ。
出てくるレンズの周りに赤が施されていてこれもまた目立つ。
細い指でつまんで引っ張るというイメージなのだ。間違っても無骨な太い指は似合わないのである。
撮影時はこのフラッシュ部が横に飛び出るわけだが、ここを左手の指でつまむように持つと安定する。
上面にはデザインを損ねないように配置された連写モードボタンとシャッターボタン。シャッターはボディとフラットなので一応2つの突起で手探りでも分かるようになっている。押しやすいかと言われるとそんなことないのだが、これはそういうカメラではないので多少の使いづらさには目をつぶるのである。
レンズは前述したようにF2.8で6.5ミリ(35ミリ換算で約39ミリ)。ポートレートに向いた焦点距離だ。CCDは1/2.5インチの400万画素。光学ズームはない、シンプルな単焦点のレンズだ。
撮影距離は60センチから。マクロモードにすると5センチまで寄れる。カメラの性格やターゲットを考えると小物や料理の撮影は多いだろうからこの60センチはちょっと微妙。30センチくらいまではシームレスで撮れるようにして欲しいところだ。
背面は1.5インチの小さな液晶モニタに一連のボタン。電源オフ時(つまりレンズカバーが閉まっているとき)はそのカバーが液晶モニタを塞いでいるので、再生だけをしたいときもやはりレンズカバーを引く必要がある。
液晶モニタの右に、メニューボタン、シーンボタン、中央に実行ボタンがついた十字キー、そしてモード切替ボタンがある。
メニューを押すと画面の下に、小さく項目が並び、十字キーで選んでパラメータを変更する。ただでさえ小さいモニタに小さい文字で分かりづらいが、京セラはFineCamの時代からこのメニューを採用しているためしょうがないか。ただ画面いっぱいに表示される派手なメニューがいいとは一概に言えないわけで、ある程度内容を把握すればこのメニューでもアクセス性はよく使いやすい。
i4Rはスタイルから想像できる通りフルオートで使いたいデジカメ。だから撮影モードもプログラムAEとシーンモードのみだ。
だが細かい撮影機能を見ると、露出補正、ホワイトバランス(カスタム設定機能付)、ISO感度の他、測光パターン、AF方式(9点マルチかスポットか)、彩度、シャープネスなど上位モデルと同等レベルでかなり多彩だ。
シーンは8種類。だがそこには白黒やセピアといった「シーン」と呼ぶには少々気が引けるものも混じっているので、実際にはポートレート、スポーツ、夕焼け、夜景ポートレート、夜景、トワイライトの6種類となっている。
注目すべきは上面にある連写モードボタン。もともとFinecam時代から採用され始めた画像処理エンジン「RTUNE」は連写にひどく強い。i4Rもそれを受け継いでおり、このコンパクトなスタイリッシュ系デジカメながら、秒3コマの連写を記録メディアがフルになるまで撮り続けることができる。これは、この機種に搭載してどのくらい意味があるかは別にして、かなりすごい。
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