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» 2005年10月31日 23時46分 公開

CEATECでわかった映像のトレンド麻倉怜士の「デジタル閻魔帳」(4/4 ページ)

[西坂真人,ITmedia]
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――CEATEC会場で行ったSEDセミナーも盛況だったようですね。

麻倉氏: ええ。私はSEDブースでセミナーを行ったのですが、その中で「リッチコンテンツの時代は、コンテンツの中にあるリッチなリソースをそのまま素直に伝えるのが重要」と強調しました。これまでのディスプレイはコンテンツのリソースを補正して表現していましたが、これからはリッチコンテンツをそのまま出すことが、ディスプレイに求められてくると思います。

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 それをふまえてSEDを見ると、映像はすごく自然体で、しかも色再現性やグラデーションがしっかり表現されています。私は画質評価の立場からSEDを眼前で見たのですが、女性の肌ではグラデーションが緻密に再現さていて質感も高く、唇はグロッシーな感じで色のグラデーションもしっかり表現され、目の中の輝きを見るとピーク感が出ている……というように、元のコンテンツの情報量と情緒量を素直に出しているのが分かりました。SEDならではの、柔らかさの中での強じんさがうまくマッチングしているのです。とてもヒューマンな映像ということもできますね。来年、55インチで出てくるときには、さらに高画質化技術が入り、まさに刮目する映像になるのではないでしょうか。リッチコンテンツの意図に沿った画質を見せてくれるという意味で、今後の展開が非常に楽しみですね。

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次世代DVDはどうなった?

――今年のCEATECも、昨年に続き次世代DVDの熱い戦いが繰り広げられましたね。

麻倉氏: 次世代DVDでは、ここに来てBlu-ray Disc(BD)がかなり優勢になってきた感があります。会期中にも、ワーナーがBDに参加するといったセンセーショナルな話題が飛び込んできました。CEATECではHD DVDとBDがそれぞれ同じ日にキーノートを行ったのですが、象徴的だったのは、HD DVDの回はフォーマットの中身の説明が主だったのですが、BDの方はフォーマットの解説よりもBDの世界ではどういった楽しみがあるのか、というアプリケーションの話が中心だった点です。

photo Blu-ray Discのキーノートの様子

 リッチなエンタテインメントはどのように楽しめばいいかに的をしぼったBD陣営と、規格説明やマイクロソフトがサポートした、中国で賛同会社が出たなどという勢力がどのように大きくなったかをアピールするHD DVD陣営との違いが明確でした。次世代ディスクはもはやフォーマットうんぬんを説明する段階ではなくて、実際にそれを楽しむ段階が来るのだというところを余裕でアピールしている点からも、BD陣営の優勢さが見て取れます。一方、展示内容では実際のソフトを展示したHD DVDが面白かったです。次世代DVD向けソフトの展開は、来年初頭のInternational CESが大きな舞台となるのでしょうが、残念なのは、日本の映画会社がCEATECでは目だったアクションを見せなかったことです。今年のCESで見られたように演出が派手な米国の映画会社とは対照的ですね。

 次世代DVDの行方は、また別の機会に詳しく話したいと思います。


麻倉怜士(あさくられいじ)氏 略歴

 1950年生まれ。1973年横浜市立大学卒業。 日本経済新聞社、プレジデント社(雑誌「プレジデント」副編集長、雑誌「ノートブックパソコン研究」編集長)を経て、1991年にデジタルメディア評論家として独立。自宅の専用シアタールームに150インチの巨大スクリーンを据え、ソニー「QUALIA 004」やBARCOの3管式「CineMAX」といった数百万円クラスの最高級プロジェクターとソニーと松下電器のBlu-ray Discレコーダーで、日々最新AV機器の映像チェックを行っている、まさに“映像の鬼”。オーディオ機器もフィリップスLHH2000、LINNのCD12、JBLのK2PROJEST/S9500など、世界最高の銘機を愛用している。音楽理論も専門分野。
 現在は評論のほかに、映像・ディスプレイ関係者がホットな情報を交わす「日本画質学会」で副会長という大役を任され、さらに津田塾大学の講師(音楽史、音楽理論)まで務めるという“3足のワラジ”生活の中、精力的に活動している。

著作
「久夛良木健のプレステ革命」(ワック出版、2003年)──ゲームソフトの将来とデジタルAVの将来像を描く
「ソニーの革命児たち」(IDGジャパン、1998年 アメリカ版、韓国、ポーランド、中国版も)──プレイステーションの開発物語
「ソニーの野望」(IDGジャパン、2000年 韓国版も)──ソニーのネットワーク戦略
「DVD──12センチギガメディアの野望」(オーム社、1996年)──DVDのメディア的、技術的分析
「DVD-RAM革命」(オーム社、1999年)──記録型DVDの未来を述べた
「DVD-RWのすべて」(オーム社、2000年)──互換性重視の記録型DVDの展望
「ハイビジョンプラズマALISの完全研究」(オーム社、2003年)──プラズマ・テレビの開発物語
「DLPのすべて」(ニューメディア社、1999年)──新しいディスプレイデバイスの研究
「眼のつけどころの研究」(ごま書房、1994年)──シャープの鋭い商品開発のドキュメント

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