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銀行の不正はまかりとおる――「ザ・バンク 堕ちた巨像」本山由樹子の新作劇場

» 2009年08月03日 15時00分 公開
[本山由樹子,ITmedia]
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 メガバンクの陰謀をリアルに描いた骨太のサスペンス・アクション「ザ・バンク 堕ちた巨像」が10月7日にBlu-ray Disc化。特典はトム・ティクヴァ監督と脚本家エリック・ウォーレン・シンガーによるオーディオ・コメンタリー、4種類のメイキング・ドキュメンタリー集、未公開シーン集、予告編集を収録。PinPで収める「BONUSVIEW」コンテンツも収録し、BD-Liveにも対応している。

 主人公はインターポール捜査官のサリンジャー(クライヴ・オーウェン)とニューヨーク検事局のエレノア(ナオミ・ワッツ)。2人はルクセンブルクに本拠を構える銀行IBBCが武器取引に関与している実態を調査していた。

 サリンジャーの同僚が内部告発を決意したIBBC幹部とベルリンで接触した直後、不審死を遂げる。サリンジャーとエレノアは頭取の事情聴取のためIBBC本部に乗り込むが、捜査は思うように進まず、ミラノではIBBCの内情を知る次期首相候補狙撃事件に遭遇してしまう。仲間や決定的な証人を消され、上層部への圧力もかけられたサリンジャーは、命令に背いて単独捜査を開始するが……。

 モデルとなったのは1991年に破綻した途上国向けのメガバンク「BCCI」。あらゆる紛争に介入し、顧客リストには各国の政府高官、実業家、さらにはCIAも深く関わっていたという。不正の事実が長年明るみに出なかったのは、CIAによる捜査妨害があったから。本作でも、サリンジャーが属するインターポールにCIAが圧力をかけていく様子が描かれていて、興味深い。

 標的にされた人物が次々と消されるにつれて、ベルリン、ルクセンブルク、ニューヨーク、ミラノと舞台が転々とする。まさに息もつかせぬ展開。トム・ティクヴァ監督はドイツ人で「ラン・ローラ・ラン」や「パフューム ある人殺しの物語」を監督した人だが、重厚なサスペンスの中に、スリリングなアクションを絶妙に織り交ぜ、最後まで飽きさせない。特にニューヨークのグッゲンハイム美術館を再現したセットで繰り広げられる銃撃戦は、ジョン・ウー映画顔負けのスタイリッシュさで、近年稀に見る出来栄えだ。

 キャストも◎。「デュプリシティ〜スパイは、スパイに嘘をつく〜」「インサイド・マン」のクライヴ・オーウェンは執念深く真実に迫っていく男を好演。「キング・コング」のナオミ・ワッツとのコンビネーションもバツグンだ。物語のキーパーソンとなるアーミン・ミューラー=スタール(「シャイン」「天使と悪魔」)の穏やかさと非情さを兼ね備えた名演も忘れ難い。

 銀行の不正はまかりとおる、そういう危険な一面を知り、鑑賞後は殺伐とした気持ちに。とはいえ気軽に楽しめる娯楽作なので、劇場で見逃した人はBDでぜひ見てほしい。

ザ・バンク 堕ちた巨像(Blu-ray Disc)
発売日 2009年10月7日
価格 4980円
発売元 ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
販売元 ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
スタッフ 監督:トム・ティクヴァ
出演 クライヴ・オーウェン ナオミ・ワッツ アーミン・ミューラー=スタール
上映時間 118分(本編)
製作年度 2009年
画面サイズ シネマスコープサイズ・スクイーズ
ディスク仕様 片面2層
音声 (1)ドルビートゥルーHD/5.1chサラウンド/英語 (2)ドルビートゥルーHD/5.1chサラウンド/日本語
特典 ピクチャー・イン・ピクチャー(BONUSVIEW)/未公開シーン/メイキング・ドキュメンタリー集/予告編集/BD-LIVE

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