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小型フォトプリンタとデジタルフォトフレームの華麗なる融合――「E-800」と「E-600」を試すカラリオミーが予想外の進化(1/4 ページ)

» 2009年10月29日 16時30分 公開
[林利明(撮影:矢野渉),ITmedia]
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印刷しないときにも活用できるプリンタへ進化

 エプソンの「カラリオミー」シリーズは、L判やKGサイズといった写真印刷、年賀状などのはがき印刷に特化したインクジェット方式の小型フォトプリンタだ。インクジェットプリンタ市場では汎用性の高いA4複合機が主役といえるが、小型フォトプリンタはPCに詳しくない人でも手軽に扱えるシンプルな操作性やコンパクトボディが受けている。

 そのカラリオミーシリーズの最新モデルとなるのが「E-800」と「E-600」だ。小型フォトプリンタとしては大画面の7.0型ワイド液晶ディスプレイを搭載し、デジタルフォトフレームの機能を盛り込むことで、“印刷しないときも写真鑑賞に使える小型フォトプリンタ”に仕上げている。さらに、E-800はワイヤレスキーボードが付属し、PCなしで年賀状を作成できる機能まで備えており、従来のカラリオミーから機能が大幅に拡張されているのが見逃せない。今回は2台まとめてチェックした。

左が付属のワイヤレスキーボードにより、PCなしで年賀状を作成できる「E-800」、右が「E-600」。いずれもデジタルフォトフレームの機能を備えている

大画面ディスプレイとリモコンを搭載

 外観と基本スペックは両モデルで共通だ。ホワイトで統一されたボックス型のボディは本体サイズが228(幅)×158(奥行き)×192(高さ)ミリ、重量が約2.6キロとなっており、インクジェット方式の小型フォトプリンタとしてはなかなかコンパクトにまとまっている。7.0型ワイド液晶ディスプレイを前面に配置し、ディスプレイフレームの幅にボディの横幅を合わせているため、正面から見ると画面だけが目に入ってきて、プリンタではなく、デジタルフォトフレームのような印象を受ける。液晶ディスプレイは上下のチルト調整とスライド(高さ)調整に対応し、画面を見やすい位置に合わせられる。

液晶ディスプレイはスライドして昇降する仕組みで、印刷時にはディスプレイを持ち上げる必要がある(写真=左/中央)。前面の左下には赤外線受光部を配置している。背面もすっきりしたデザインで、PC接続用のUSB 2.0ポート、ACアダプタ接続用のDC入力、インクカートリッジ用のスロットが用意されている(写真=右)

液晶ディスプレイはチルト調整も行える。左側面には電源ボタン(写真=左)、右側面には画像を取り込むためのメモリカードスロットやUSBポートを搭載する(写真=中央)。ACアダプタはじゃまにならないサイズだが、バッテリー駆動にも対応していると、なおよかったように思う(写真=右)

 E-800/E-600は本体から少し離れた場所で写真を閲覧したり、各種操作ができるように赤外線のカードリモコンが付属している。リモコン操作が前提なので、本体のボタン類は主電源ボタンしかない。そのため、ワイヤレスキーボードが付属しないE-600では、リモコンの電池が切れたり、リモコンを紛失してしまうと、PCなしで操作できなくなってしまうので注意が必要だ。

 リモコンの基本操作は「4方向」「OK」「戻る」「印刷」の4つのボタンで行う。そのほか、印刷枚数を増減する「+」「−」、設定画面を呼び出す「設定」、メモリカード画像のサムネイル表示などを切り替える「表示」、ヘルプ画面を起動する「ヘルプ」、液晶メニューのどこからでも最初のメニュー画面に戻れる「トップメニュー」、電源をオン/オフする「電源」、動作をキャンセルする「ストップ/設定クリア」の各ボタンを設けている。

操作は小型のカードリモコンで行う(写真=左)。リモコンは未使用時に本体上部にぴったり収納できる(写真=中央/右)。上部には持ち運び用のハンドルもある

プリンタの基本部分は従来機から継承

4色一体型のインクカートリッジは背面の下部に装着する仕組みだ

 プリンタとしての基本スペックは、これまでのカラリオミーを踏襲する。インクにはシアン/マゼンタ/イエロー/ブラックの全4色(いずれも染料系)が一体となったカートリッジを採用。最大印刷解像度は5760×1440dpi、インクノズル数は各色90ずつの全360ノズルとなる。

 一体型インクカートリッジは各色独立型インクカートリッジに比べて、各色のインクを最後まで使い切れないデメリットがあるが、取り扱いが楽なので、プリンタ初心者には使いやすいだろう。写真用紙<光沢>のL判印刷1枚あたりのインク+用紙の合計コストは公称で約15.4円とされており、同社のA4複合機より低く抑えられている。

 対応用紙は、カード、L判、ハイビジョン、KG、はがき、ミニフォトシール、フォトシールフリーカットだ。給紙は背面の1系統でL判/はがきを最大20枚セットでき、排紙は前面側に行う一般的なスタイルを採用する。自動両面印刷やCD/DVDレーベル印刷の機能はない。

 PCとの接続インタフェースはUSB 2.0で、ダイレクト印刷用としてメモリカードスロット、赤外線(IrDA Ver.1.3)、USB 2.0ダウンストリームポートを備える。メモリカードスロットは2スロット(CF TypeII用×1、メモリースティックPRO/SDメモリーカード/MMC/xDピクチャーカード用×1)だが、PCでは1つのリムーバブルドライブで認識され、自由にデータの読み書きが可能だ。

 USB 2.0ダウンストリームポートには、USBメモリやUSB接続のCD/DVDドライブを接続してダイレクト印刷できるほか、メモリカードからUSBストレージへの画像バックアップも行える。もちろん、PictBridgeに対応しているため、デジカメとUSBケーブルでつないでのダイレクト印刷もこなす。そのほかオプションとして、Bluetoothユニット、テレビ/ネットワークプリントアダプタが用意されている。

給紙トレイは折りたたみ式で、L判/はがきを最大20枚セットできる(写真=左)。クリアパーツの排紙トレイは着脱可能で、特につけなくても設置面に排紙されるだけなので問題ないだろう(写真=中央)。メモリカードスロットは2スロット構成で、主要なデジカメのメモリカードを網羅する(写真=右)

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