ここまで述べてきた内容は、E-800とE-600で共通だ。さらに上位モデルのE-800には赤外線のワイヤレスキーボードが付属し、本体にも住所録とはがき作成の機能を搭載している。つまり、PCと接続することなく、E-800だけで住所録の作成と管理、その住所録を用いたはがきのあて名印刷、はがきの文面作成と印刷までが行えるというわけだ。このことから、E-800には「宛名達人」という愛称が付けられており、PCに不慣れな人もターゲットユーザーとしている。
住所録の登録や管理に使う付属のワイヤレスキーボードはテンキーを備えており、英数字キーの配列は基本的にQWERTYがベースになっている。ただし、標準的なPCのキーボードとはかなり異なり、英数字以外のキー配列、機能キー、キー名の表記など、独自の部分が多い。
特徴的なのはカナ入力のキー配列だ。左上が「あ」で、右に向かって「あかさたな」、下に向かって「あいうえお」の五十音配列になっている。PCのキーボードを触ったことがない人でも使いやすいように、あえてこうした配列を採用したという。
とはいえ、一般的なローマ字入力にも対応しているため、削除キー(Delete)や後退キー(BackSpace)、長音キー、記号キーなどに注意すれば、PCのキーボードに慣れたユーザーでも特に迷わず入力できる。あて名の登録時は予想される名前の候補が表示され、7ケタの郵便番号を入力すれば該当する住所が表示されるので、入力の手間はそれほどかからない(2009年5月時点の郵便番号辞書を内蔵)。また、付属リモコンと同じボタンも、キーボード上に用意されているため、メニューはキーボードだけで操作可能だ。
このようによく考えられた入力環境ではあるが、個人的にはキータッチに少々不満を感じた。各キーはゴム製で、ストロークが浅く、クリック感にも乏しい。キーをたたくというより、ペコペコと押し込む印象だ。ローマ字入力のタッチタイプはたやすいが、PCのキーボードと同じ感覚で使うとタイプミスが多くなる。キー入力と画面表示のレスポンスも、いまひとつキビキビしていない。どうせ専用のキーボードを用意するのであれば、入力の快適さにももう少しこだわってほしかった。
さて、トップメニューで「ハガキ作成」を選ぶと、「宛名面作成」「通信面作成」「住所録管理」というサブメニューが表示される。あて名面作成/印刷を行うには、あらかじめ「住所録管理」で住所録の整備が必要だ。まず差出人として自分や家族、自分の会社/部署/役職、連名などを登録し、続けてあて名データを入力していく。複数の差出人を登録して使い分けることもできる。
あて名データはグループ管理でき、最大データ数は1000件に対応する。あて名の敬称、連名の敬称なども設定可能だ。はがき作成/受け取りの履歴登録も行える。さすがに、最近のはがき作成ソフトが備える住所録ほど高機能ではないが、個人ユーザーにとっては必要十分といってよい。
差出人やあて名のデータは、CSV形式でのエクスポート、およびCSV形式/CN2形式でのインポートに対応している点にも注目だ。普段からPCを使っているユーザーであれば、PCであて名データを作成してインポートしたほうが、結果的に早く作成できるだろう。その際、E-800で数件のあて名データを入力してエクスポートし(CSV形式)、Microsoft Excelなどで確認してみるとよい。そのまま編集すれば、住所や電話番号といった項目のズレを気にせずE-800へインポートできる。
あて名印刷では、はがきの種類(郵便/年賀/エコー/かもめーる/ポストカード)、差出人、あて名印刷のフォント(行書体/明朝体/ゴシック体/角ゴシック体/丸ゴシック体)、縦書き/横書きが選べる。
「通信面作成」の機能は、合計359種類の内蔵テンプレートから選ぶのが基本だ。テンプレートの背景やイラストを変更したり、文字列の編集や新規入力、メモリカードやUSBストレージの画像を張り付けることもできる。
テンプレートの内容は、年賀状、暑中見舞い/残暑見舞い、喪中、寒中見舞い、引越報告、結婚報告、誕生日、クリスマス、バレンタインデーなど多岐にわたる。編集や新規作成した通信面データはE-800の内蔵メモリに保存しておき、いつでも再利用が可能だ。
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