値段の割にその効果が説明しにくいためか、ときには“オカルト的”などと揶揄(やゆ)されることもあるオーディオアクセサリー類。しかし、実際に聴き比べてみると、あまりの違いに驚かされることもある。今回は、AV評論家・麻倉怜士氏が使ってみて驚き、愛用している“お気に入り”の新製品をピックアップ。実際に聴き比べを行いながら解説してもらった。
麻倉氏: まず紹介したいのは、グランドナイトの「SOUND NITE」(サウンドナイト)という製品です。これは世界で唯一、電源のアースラインに載るノイズを退治する製品。通常、アースは安全対策で利用するものですが、オーディオ的な観点で見ると、ノイズ源の1つだったというわけですね。
使い方は簡単。アース付きの3極電源コネクターと電源ケーブルの間に挟むだけです。SOUND NITEを付けて聴き比べると、効果はすぐに分かります。付けた状態では、低音の力感や安定感が増し、音の体積感というか、奥行きが出てきますし、音の立ち上がりも良くなります。一方、外してみると……どうですか。
――音が薄くなりました。全然違いますね
麻倉氏: 面白いのは、うちの視聴室はアースを利用していないのに効果があったこと。これだけデジタル機器を積み重ねているので、それらの間で疑似アースが生成され、そこにデジタルノイズが載っているのでしょう。
先日、ビックカメラのイベントでケーブル類を取り上げたときも最後にSOUND NITEを紹介しました。わが国でもっとも音の良いケーブルは奥津電工の製品ですが、その素晴らしさが二乗したように、さらに素晴らしくなりました。
グランドナイトの前身は、半導体工場向けのアースラインノイズ対策を手がけていた世界で唯一の会社、イーエムシーでした。ご存じのように、半導体というのは静電気などノイズの影響を受けやすく、アースは非常に重要です。実際にアースライン対策を施した工場では、歩留まりが向上したそうです。
その社内にオーディオ好きの人がいて、アースラインのノイズは家の中にもあるのではないか? と考えました。自社の技術をオーディオに転用し、電源ノイズフィルターの試作機を作ったのが2009年の初めです。それから何度となく試作、試聴を繰り返したそうです。とくに開発の力になったのは「UNAMAS」というインディのレーベルです。もとNHKのサラウンドの神様、澤口真生さんが運営している高音質レーベルですが、澤口さんはSOUND NITEに惚れ込み、自前のライブハウスでの録音、編集にはかならずSOUND NITEを使い、同社の定評ある音質を支えているそうです。
しかし、その会社は昨年のリーマンショックの影響で本業のほうが立ちゆかなくなり、昨年秋に一度会社をたたみました。この製品は、オーディオアクセサリメーカーとして再出発した同社が発売する初めての製品で、6月20日に発売予定だそうです。
価格は1個8万円と少し高価ですが、見ての通りAV機器と電源ケーブルの間に挟むだけですから、試すのは簡単。興味のある方は、最寄りのオーディオ専門店に頼んでみてはいかがでしょうか。ちなみに本業(工場向け)の方は、半導体市場の回復により、席を暖める暇もないほど注文が殺到しているそうです。
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