Wi-Fi Allianceは4月15日、国内報道関係者向けの会見を行い、Wi-Fiの最新動向を説明した。メインは間もなくリリースされる高速な無線LAN「Wi-Fi CERTIFIED ac」(IEEE 802.11ac)、および将来の60GHz帯を巡るWi-Fi AllianceとWiGig Allianceの統一に関する情報だったが(別記事を参照)、Wi-Fiネットワーク経由でスマートフォンやタブレットの映像をテレビに映し出せる「Miracast」についても現状を説明した。
Wi-FI Allianceのマーケティング&プログラムマネジメントディレクター、Kelly Davis-Felner氏によると、2013年4月5日現在でMiracast対応のデバイスは全世界で526種類。このうちテレビが401機種と76%を占めたという。次いでスマートフォンの51機種(10%)、テレビに接続するセットトップボックスが30機種(6%)などと続く。
「例えば、インターネットからタブレットへストリーミングした動画をリビングのテレビで楽しみたいというユーザーもいる。このようなニーズに応え、デバイス間におけるグラフィックや動画、オーディオコンテンツのシームレスな画面共有を実現するのがMiracast。コンテンツのストリーミング再生や画面のミラーリングがワイヤレスで行える」。
国内でもパナソニックの外付けアダプターをはじめ、LGエレクトロニクスの“LG Smart TV”やBlu-ray Discプレーヤー、ソニー“BRAVIA”(ブラビア)の新製品など対応機種が登場し始めている。中でもソニーの場合、NFCを使った「ワンタッチミラーリング」機能はユニークだ。
ワンタッチミラーリングは、NFC(Near Field Communication)対応の「ワンタッチリモコン」にスマートフォンなどを重ねると、自動的にミラーリングできるというもの。対応機種が「Xperia Z/AX」「Xperia Tablet Z」といったソニー製端末に限られてしまうのはネックだが、技術自体はMiracastをベースにしているため、他社製でもMiracast対応スマートフォンなら「スクリーンミラーリング」自体は利用可能だ。標準的なMiracastで汎用性を確保しつつ、自社製品には設定の簡略化という付加価値を加えた形といえる。
もっとも、Miracastの設定自体も難しいわけではない。ユーザーは、送り出し側(ソースデバイス)のユーザーインタフェースから接続可能な表示機器(ディスプレイデバイス)を検索し(ディスプレイ側のUIから行える場合もある)、検出されたデバイスの中から目的のディスプレイを選択するだけ。ディスプレイを選択すると、対応機器同士がまずWi-Fi Directで接続し、その後のセッションでペアリングを実行。リンクが確立されると、ソースデバイスはディスプレイデバイスの処理能力とネットワークの状況に基づき、コンテンツをH.264にエンコードして送出する仕組みだ。コンテンツを受信したディスプレイデバイスがこれをデコード&出力することで、手元の画面が大画面テレビに映し出される。
スマートフォンの画面をテレビに映し出す技術としては、米Silicon ImageのMHLなどもあるが、ケーブル接続のMHLに対して、ワイヤレスのMiracastという手軽さが特長。また、Miracast認定デバイスはWi-Fi DirectおよびWi-Fi CERTIFIED n(IEEE 802.11n)のサポートが必須となっており、デバイス同士はWi-Fi Direct(あるいはオプションのTDLS)を使って直接接続できる。つまり、対応機器があればWi-Fiのアクセスポイントがない環境でも利用できる点もメリットだ。
このほか、セキュリティには既存のWPA2を使い、コンテンツ保護技術も包含するなど、実績のある技術を用いて利便性と対応機器感の相互接続性を高めた。「Wi-Fi技術を基盤とするMiracastは、使いやすさや相互接続性、セキュリティといった要素はそのままに、ユーザーが任意に選んだデバイスへコンテンツを自由に出力できるように考えられている。煩わしいケーブルやアダプターからユーザーを解放する技術だ」(同氏)。
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