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「SLINGBOX 350」は“本当”に海外旅行でのテレビ視聴にも有効か?海の向こうで“どこでもTV”(3/3 ページ)

» 2013年05月02日 20時22分 公開
[久木四郎,ITmedia]
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 海外で「SLINGBOX 350」を利用する場合には、上記のように接続速度やデータ使用量を念頭に置くと、一般的にはホテルの有線/無線LANでの接続が主体になるだろう。ホテルが提供する接続サービスというと、いくらHigh-Speedなどとうたっていても、実際に出る速度はたいしたことはないというイメージが過去にはあった。また、24時間あたり10ドル弱などという料金を徴収する場合も少なくない。

米ラスベガスのElara, a Hilton Grand Vacations Hotel-Center Strip, Las Vegasの25階の部屋から4Gアクセスでテレビ視聴しているところ

 実際、今回は7軒のホテルに滞在したが、その中で無料で有線/無線LANを提供していたホテルは1軒のみ。そのホテル(DoubleTree Suites by Hilton Anaheim Resort - Convention Center, Anaheim)で試してみたところ、接続速度にはばらつきがあるものの、PCのSlingPlayer上で表示される再生ビットレートは1〜2Mbpsを超えることも多く、非常に快適に日本のテレビ放送を観賞できた。

 では、それ以外のインターネット接続はどうするか。街中でもGoogle Mapsでの位置検索やナビゲーション、さらにはWebブラウズもできないと不安な人間なので、「Xperia ZL」には現地で購入したプリペイドSIMを入れているのだが、これをそのまま利用するのは接続速度やデータ使用量の点で不向きといえる。ただし、もう1つ接続手段は確保していたため、そちらで「SLINGBOX 350」を存分に活用することができた。

 海外でのインターネット接続に関しては、ITmediaのほかの記事でも多数紹介されているため、詳しく触れる必要はないだろうが、今回利用した接続手段は、Radio Shackで購入したVirgin Mobileの「OVERDRIVE PRO 3G/4G MOBILE HOTSPOT」だ。本体は119.99ドル(Virgin Mobileダイレクトなら99.99ドル)で、BROADBAND2GO PLANSというプリペイドプラン(3Gのデータ使用量が200Mバイトまでの5ドル/日プラン、2Gバイトまでの35ドル/月プラン、5Gバイトまでの55ドル/月プランがある)を組み合わせられる。初期投資はそれなりにかかってしまうが、本体さえあれば、次回に利用する際はプランを追加購入すればいいだけだ。

Virgin Mobileルーターの管理画面。4Gで接続しているかどうかは、本体の液晶画面のほかに、Webブラウザの管理画面でも可能

 このVirgin Mobileのサービスは、いま、買収の件で話題のSprintの回線を利用して提供されているもの。それはともかく、料金の件で記した「3Gのデータ使用量が…」というのが大きなポイントで、4G接続が可能な場合には速度制限がかけられているもの、基本的に無制限でのデータ使用が提供されている。そこで、4Gエリアだけで「SLINGBOX 350」を使うのはどうだろうと考えたわけだ。

 サンフランシスコ、ラスベガス、アナハイムと移動してきた中では、3G接続しかできないケースもあったが、ホテルがあるような場所では概ね4G接続が可能で(25階といった高層階も含め)、しかも、PCのSlingPlayer上で表示される再生ビットレートは1〜1.5Mbps、場合によっては2Mbps前後と非常に良好。SLINGBOXは“本当”に海外旅行でのテレビ視聴にも有効か? その答えは、適切なインターネット接続を確保さえすれば、「イエス」だということが分かった。少なくとも今回の組み合わせでは、データ使用量の上限なども気にすることなく、存分に日本のテレビ放送を楽しめたというわけだ。

 「SLINGBOX 350」全体の評価としては、テレビ放送をインターネット経由で配信して個人的に楽しむことを実現してくれるという点では、合格点を与えられる出来だといっていい。しかし、そもそもは日本のテレビ放送が面倒な機構を視聴者に押し付けていることが根源にあり、それさえなければ、極端にいえば「SLINGBOX 350」のような機器への追加投資は必要ないはずだ。もちろん、これは「SLINGBOX 350」に非があるわけではないし、とくに日本の各種映像機器へのリモコン対応に尽力している点などは追加投資に値するだろう。そもそも、映像面ではほぼ不満のない視聴環境を提供しているので、今後もSlingPlayerのバージョンアップやリモコン対応の更新など、操作面での快適性を追求してくれれば、ユーザーはよりいっそう、高い満足度を得られそうだ。

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