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インタビュー
» 2013年05月09日 00時05分 公開

“音のソムリエ”に聞くフィリップスの音作り、そして新イヤフォン「S2」 (2/2)

[芹澤隆徳,ITmedia]
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「S2」の多層構造振動板とは?

 「過去3年間で、ゴールデンイヤー制度のもと、100以上の製品が世に出ました。これがFidelioのサウンドを作り出すといっても過言ではありません」とドーレ氏。そしてゴールデンイヤーたちの厳しいテストをクリアした最新の製品が、カナル型イヤフォンの「S1/S2」となる。

「S2」ははブラックとホワイトの2色で、シャンパンゴールドがアクセント(左、中)。「S1」はブラックでレッドがアクセントになっている(右)

 上位モデルにあたる「S2」は、ユニークな多層構造の振動板を採用している。「S2の13.5ミリ振動板は、いわばサンドイッチ構造です。2枚の振動板でジェルを挟んで一体化しました。振動板やジェルは企業秘密ですが、振動板の素材自体は比較的良く使われるものです」


 マルチレイヤー(多層構造)の目的は、ワイドレンジ再生。「マルチレイヤーにする前には、さまざまな手法を試しました。例えば振動板の表面コーティングを変えてみたり、素材に別のものを入れてみたり。しかし、マルチレイヤーの音を出せる方法はほかにありませんでした」。

 振動板にはピストン運動を助けるコルゲ―ション(ひだ)を付けた。ヘッドフォンの振動板ではよく見るものだが、「その深さと数がノウハウ。それぞれのバランスを見つけるまで苦労しました」という。ドライバー駆動圧は、ベントと呼ばれる穴で調整。合計4つの穴でダンピングをコントロールする。

Fidelioイヤフォンのアイデアスケッチ(左)とプロトタイプ(右)。カラーバリエーションには実現しなかったものもある

 「イヤーチューブの長さや直径についてもかなり改変を重ねました。ベースの部分は早めに固まるのですが、少しの変更で大きな違いが出るので苦労しました。しかも、変更を加えてもいつも良い結果が出るとは限りませんから、注意深く進めなければなりません」。

 ほかにも前後にフィルターを挟むなど音をチューニングを加え、軽量なアルミハウジングなどと合わせ、Fidelioシリーズの特徴である「迫力ある低音と透明感のある中音域」を作り上げた。なお、S1とS2の違いについては、「高域がハイディフィニションになっていること。S1もバランスとしては良いが、S2はより高い次元でバランスしている」と話していた。


 「われわれは、音楽家が伝えたい音を伝えられる製品を目指して開発してきました。重要なのは、レコーディングする人が感じていた微妙な差を感じとれるかどうか。そしてより重要なのは、製品の大きさにかかわらず、消費者に驚きをもたらすこと」(ドーレ氏)。イヤフォンのような小さな製品であっても、その思想は変わらない。

 「フィリップスの音の歴史は1920年代のラジオ開発から90年近くになりますが、音に対する熱意は今が一番強いと思っています」。

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