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インタビュー
» 2015年06月08日 06時00分 公開

親子2世代で使える革新的なLED照明――「ジェイク ダイソン ライト」はこうして生まれた(2/2 ページ)

[芹澤隆徳,ITmedia]
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 「宇宙空間にある人工衛星は、日の当たる部分は200度近くの高温、日の当たらない部分はマイナス200度の極低温という過酷な環境にあり、機器を正常に運用にするには冷却システムが不可欠だ。LEDも、本来は生涯使えるほどの寿命がありながら、自らが発生する熱で120度〜140度にまで上がってしまい、冷却できないと寿命が短くなる。これが市販のLED照明の寿命が3〜5万時間にとどまっている理由だ」(ジェイク氏)。

表情豊かなジェイク氏

 ヒートパイプテクノロジーにより、ジェイク ダイソン ライトのLED照明は、周辺の温度を55度に保つことが可能になった。これをシーシスには1本、アリエルには6本搭載することにより、「LEDの質や効率性を損うことなく、1日に12時間使った場合でも37年から40年は利用できる」という長寿命を実現した(寿命は約18万時間)。また、もう1つのアドバンテージとして、「長寿命化だけではなく、電力消費も抑えられる」という。

ヒートシンクの中を貫くヒートパイプ。インダストリアルデザイナーでもあるジェイク氏が作り出した機能美といえる

 9000ルーメン(全光束)という明るさを持つアリエルには、珍しい円形の大型LEDモジュールが使用されている。これはLED大手の米クリーに作らせた特注品。その上に透明度の高いアクリル樹脂(PMMA:ポリメタクリル酸メチル樹脂)で作られた大きなレンズを設けて光を拡散させる仕組みだが、このレンズも1年以上の期間をかけて開発したという光学設計の賜物だ。例えばアリエルのダウンライトを1つオフィスにつるすと直径約4メートルの丸い光で会議机1つをまるごとカバーできる。ちなみにアリエルというのは英国初の人工衛星の名前で、外観も人工衛星をほうふつとさせるスタイルに仕上げられている。

「Ariel」(アリエル)のダウンライトとアップライトの光源部分。丸い大きなLEDモジュールは、実は同じ大きさ。レンズの違いでサイズも異なって見える

家族は一緒にやるのが自然

 今年4月、父親からのラブコールを受ける形でDysonに合流することになった「ジェイク ダイソン ライト」。目的は、Dysonに照明器具のカテゴリーを作り、コンシューマー分野で「CSYS」を展開するとともに、「Arial」をビジネス市場に持ち込むこと。それは、ハンドドライヤーの「AirBlade」(エアブレード)でB to B市場へ打って出たDysonにとって大きな武器になるはずだ。

 「離れたところで起業はしたが、家族は一緒にやるのが自然」というジェイク氏は、今後は照明器具に限らず、ほかの製品ラインを含め、Dysonの長期的な商品デザインに関わっていくという。そんな彼にとって、ダイソン家の父親はどのような存在だったのか。

「父は愛にあふれ、サポートしてくれる存在」と話すジェイク氏

 「父は『やりたいことをやれ』というけれど、指図は一切しないし、プレッシャーを感じたこともない。でも、自分の人生を通じてさまざまなことを教えてくれた。一生懸命働くこと、そして辛抱。だから姉や私、弟も同じような人生観を持っている。すごくいい家族だと思うよ」(ジェイク氏)。

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