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「待ってるだけじゃ広がらない」――ひかりTVの4Kコンテンツ大増産計画

» 2016年04月14日 21時55分 公開
[芹澤隆徳ITmedia]

 4Kテレビの本格普及を見越し、動画配信サービスが勢いづいている。4月13日にHDR対応4Kタイトルを拡充する方針を示したNetflixに続き、14日には「ひかりTV」が2016年度の事業戦略説明会を開催。映画祭やテレビ局などとのパートナーシップをベースに4Kコンテンツを大幅に増やすという。

NTTぷららの事業戦略説明会には「Short Short Film Festival & Asis 2016」の代表を務める俳優の別所哲也さんが駆けつけ、「新しい技術(4K)がどのようなクリエイティビティを生み出すのか、注目していきたい」と語った

 「ひかりTV」は、NTTぷららとアイキャストが運営する動画配信サービス。2016年3月末時点の会員数は305万人に達し、「ナンバーワンサービスになることができた」(同社の板東浩二社長)。

ひかりTVのユーザー数推移

 ひかりTVは、放送スタイルの「テレビサービス」とオンデマンド型の「ビデオサービス」を軸にクラウドゲームや音楽配信など多様なサービスを展開しているが、中でも今年最も力を入れるのは4Kへの取り組み。独占提供できる4Kタイトルの拡充に加え、レンタル料金を引き下げた新しい4K対応チューナー(STB)「ST-3400」の投入、HDR(ハイダイナミックレンジ)対の4K VoD強化といった方策を打ち出した。

新しいひかりTVチューナー「ST-3400」。詳細は別記事を参照してほしい

 まず放送スタイルの4K IP放送では、総合編成チャンネルの「ひかりTV 4K」および女性向けのエンタメチャンネルの「モデルプレスTV」の両方を4月15日から24時間放送とする。一方、オンデマンド型の4K VoDでは、現在の734タイトルから今後1年間で約1200タイトルまで拡充する。これにはハリウッド映画をはじめ、国産ドラマやドキュメンタリー、バラエティなど幅広いジャンルの作品が含まれる。

4K VoDは今後1年間で約1200タイトルまで拡充する

 同社の手法は、コンテンツを制作するクリエイターに直接アクセスすること。例えば4月下旬に沖縄で開催される「島ぜんぶでおーきな祭ー第8回沖縄国際映画祭―」、および6月に開催されるアジア最大級の国際短編映画祭「Short Short Film Festival & Asis 2016」に協賛し、ひかりTVの名前を冠したアワードを新設。受賞者と共同でオリジナル4Kタイトルを制作する。もちろん、制作したショートフィルムなどは「ひかりTV 4K」で独占配信する。

 一方で複数のテレビ局との協業も進めている。例えばテレビ東京は4月から深夜枠のドラマ2本を放送前や放送直後にひかりTVで4K配信しているが、これにゴールデンタイムの番組を加える。4月から金曜日の20時から放送している医療ミステリードラマ「ドクター調査班〜医療事故の闇を暴け〜」の4K版を夏からひかりTVで配信する予定。またフジテレビもCS放送「フジテレビONE」の人気番組「ゲームセンターCX」をひかりTVに提供。6月から「ゲームセンターCX IN 四国 ゲームお遍路巡り」が4Kで配信される。

 地方局との連携も積極的に進める。「地方局は、良い番組を制作してもそのエリアでしか放送できない。ひかりTVなら全国の人に見てもらえる」(同社)。例えば全国各地の地方局が独自の視点で制作するシリーズ「にっぽん4K巡り」は、新たにテレビ長崎、琉球放送、テレビ新広島が参加して順次配信を開始。さらに岩手めんこいテレビが制作したドラマ「恋子focus〜ある女子高生の物語〜」(全12話)も4月2日からひかりTV 4Kのラインアップに加わった。この作品は、新進気鋭の写真家、青山裕企氏が監督を務める青春ストーリー。non-no専属モデルの久慈暁子さんが初主演するドラマとしても注目されている。

 ほかにも、舞台「ライ王のテラス」や新作映画の「リップヴァンウィンクルの花嫁」「バースデーカード」の4K独占配信など、幅広くエンタメ業界にアプローチしているNTTぷらら。板東社長は、「4Kの市場は待っていても広がらない。ひかりTVとしては、市場作りに貢献するとともに、4K制作のノウハウを早めに身につけていくつもりだ」と話している。

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