もし、マイクロフォーサーズのカメラを手にしていて、あるいはこれから購入しようとしていて、「ちょうどいい常用の標準ズームレンズがないなあ」と思ったら、これである。パナソニックから新しく出た「LUMIX G VARIO 12-60mm / F3.5-5.6 ASPH. / POWER O.I.S.」だ。
デジタル一眼を買うと、普段使いの常用レンズが1本必要になる。単焦点でしか撮らないとか、望遠しか使わないという凝った人は別だけれども。
そこでマイクロフォーサーズのレンズラインアップを見ると、ハイエンド機(「LUMIX GH4」や「OM-D E-M1」)を使うクオリティ重視のユーザーには、F2.8通しのハイエンドレンズがある。パナソニックなら「LUMIX G X VARIO 12-35mm / F2.8 ASPH. / POWER O.I.S.」、オリンパスなら「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO」が該当する。フルサイズ換算(35mm判換算)でいうと24-70mm相当や24-80mm相当となる。
このクラスのレンズは全域でF2.8と明るく、描写力も高く、非常に素晴らしいのであるが、ハイエンドレンズであるからして「いくらか高価でちと重い」のである。どちらも実売価格は大手量販店で8万円台前半くらい。よいレンズでわたしも常用しているが、万人に勧めるには気が引ける。
対してエントリー機の標準ズームレンズとなると、パナソニックは「LUMIX G VARIO 12-32mm / F3.5-5.6 ASPH. / MEGA O.I.S.」、オリンパスは「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 EZ」であるが、どちらも収納時のコンパクトさを重視した薄型パンケーキズームであり、軽くて薄くて小さくて携帯性は高いけれども、いざ使ってみると、ズーム倍率も低いし、LUMIX G VARIO 12-32mmはあまり寄れないし、M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mmは広角側が28mm相当しかない。まあ簡単にいえば、「携帯性は高いけどレンズとしてはもの足りない」のだ。
両者の中間に位置する「使い勝手がよくて高性能だけど軽くて手頃な標準ズームレンズはないのかー!」と叫びたくなるではないか。
そこにすぱっとハマるのが「LUMIX G VARIO 12-60mm / F3.5-5.6 ASPH. / POWER O.I.S.」なのである。
35mm判換算での焦点距離は24-120mm相当。広角から中望遠までサポートしてくれるし、120mm相当あれば日常の撮影ではまったく困らない。
まずは風景を撮ってみよう。
広角端で山あいの風景を。F8まで絞ると解像感もなかなか。
望遠端で山の上から漁港を狙ってみた。これだけ撮れれば常用ズームとして文句ない。
写りはいい。広角端の歪みもほとんど気にならず、全体のバランスもなかなかである。
広角端で高層ビルを。ボディはオリンパスの「OM-D E-M1」にしてみた。
広角端で20cm、望遠端で25cmまで寄れるのも魅力だ。標準ズームレンズとしては十分なマクロ撮影ができるわけで、テーブルフォトから料理、花までたいていの用途で困らないのである。望遠時の背景のボケもなかなかやわらかくていいのだ。
花を撮ってみたら、蜜を吸う虻を発見。そっと寄って狙ってみた。常用ズームでここまで寄れれば文句なし。
逆光耐性も問題はない。
風にたなびく大量の鯉のぼりを太陽をいれて逆光で。
望遠で撮るポートレートも素晴らしい。ポートレートをよく撮るのならこのレンズはお勧めだ。中望遠でぐぐっと寄ってみた。
開放F値はF3.5-5.6と一般的なもので、特に明るくはないし、全長は71mmとコンパクトというわけではないし、ボディの質感も普通だし、ズームリングを回した感触もそれほど滑らかじゃない。でもその分重さは210gと軽量(ちなみに「12-35mm F2.8 X」は305gである)。実売価格も6万円程度と、なんとか手が出せるレベル。
クオリティと利便性を考えると、コストパフォーマンスはすごく高い。なにしろ広角も望遠もマクロも1本で楽しめるのだ。とりあえずボディに1本だけレンズを付けて撮影散歩に行きたいときは最高のレンジである。
(モデル:神田樹果/オスカープロモーション)
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