Qualcomm、第4世代「Snapdragon S4」やP2P技術「AllJoyn」などを披露:2012 International CES
2012 CESの基調講演でQualcomm CEOのポール・ジェイコブス氏が新しいSnapdragonを紹介し、ブースではその応用デモなども実施した。
Qualcommの2012 CESの基調講演には同社CEOのポール・ジェイコブス氏が登壇。同社の戦略や新しいSnapdragon S4などを紹介した。また会場内の同社ブースでは、Snapdragon S4の性能をアピールするデモが多数行われていた。
Snapdragon S4搭載の製品は70以上登場する
2012 CESの基調講演では、Qualcomm CEOのポール・ジェイコブス氏が「イノベーション開発の最先端にある企業のトップ」として紹介された。ジェイコブス氏は「今やモバイルは生活の中でなくてはならない道具になっており、ニュースを見たりソーシャルサービスを使うなど、携帯電話の使い方も大きく変化している」と話し、そのトレンドは先進国だけではなく新興国までにも広がっている現状を説明した。「経験や勘に頼って漁に出たり、心臓病の発作の心配をしながら日々の生活を過ごしていた人たちが、モバイルを使うことで最新の情報を入手したり、自分の医療データを医療機関に常に送信したりすることで生活の質が大きく向上する。すなわちモバイルの進化とはテクノロジーを進化させるだけのものではなく、世界中の人々の生活を充実させるものになっている」と、その未来像を話した。
Qualcommはそのために毎年多大な研究開発費を投入しており、近年は教育や医療分野へも関連企業や機関とコラボレーションを進めているという。その中核となる製品の1つとして、同社のチップセット「Snapdragon」が紹介された。Snapdragonは優れた消費電力設計などの利点から300以上の製品がすでに販売されており、350以上の製品が開発中だという。モバイル用途ではAndroid OS以外にも広がりを見せている。
Windows Phoneへの採用も進んでいる。Windows Phoneは“シャーシ”と呼ばれる基本設計をベースに各社が製品を開発しているが、全機種にSnapdragonが採用されている。そしてWindows Phoneメーカーの代表として、NokiaのCEO、ステファン・エロップ氏が登壇。AT&Tから発売予定となる最新モデル「Nokia Lumia 900」を紹介するとともに、Nokiaは新興市場も得意としており、シェアの低かった北米市場も含め、今後攻勢をかけていく姿勢を語った。
講演の最後に、Snapdragonの最新モデルで第4世代の製品となる「Snapdragon S4」(1.5~1.7GHzのシングルまたはデュアルコア)について再びジェイコブス氏が説明し、教育分野への応用例としてARを利用したソリューションや、Windows 8への採用など、従来よりも広い分野の製品へ採用が広がる見通しであることを説明。特にSnapdragonはコネクティビティー、つまり3G/4G通信との親和性が高いことも他社品に対するアドバンテージだ。Snapdragon S4搭載の製品は、今後20以上のメーカーから70以上の製品が登場する予定とのこと。
ブースではSnapdragon S4のパフォーマンスをデモ
Qualcommブースでは、同社が開発中の最新技術の応用例が多く展示されていた。同社の海外展示会では主に技術の開発状況の展示が多かったが、2012 CESでは具体的なアプリケーションをデモすることで、市場への商品展開を自らアピールしているとのこと。中でも目立っていたのが、第4世代となるSnapdragon S4の処理速度をアピールした展示だ。多くの機能を1チップに統合したことにより、スマートフォンやタブレットの高速化、小型化、省電力化をさらに加速化できる。
例えばAR(拡張現実)のデモでは、複数のオブジェクトを3Dで滑らかにアニメーション表示していた。ARについてはアメリカの教育番組、セサミストリートとコラボレーションすることでARの教育用途への展開も図っている。カメラを使ったジェスチャー認識や、リアルタイムの手振れ補正、5.1チャンネルのステレオ動画撮影と再生、そしてリアルタイムの2Dから3Dへの変換なども披露し、Snapdragon S4の処理能力の高さが大きくアピールされていた。
端末間で通信・制御を行う「AllJoyn」
新しいP2P(Peer to Peer)技術として「AllJoyn」も紹介されていた。複数の端末をBluetoothやWi-Fiでダイレクトに接続。アプリケーション同士が直接相手の端末を認識し、データの送受信などを自動で行える。サーバーを介さないため、モバイルデータ通信を必要とせず、近距離間でのメッセージや写真の送受信、対戦ゲームなどへの応用が可能だという。ブースでは市販のAndroidスマートフォンにAllJoyn対応のアプリケーションをインストールし、実動作のデモも行われていた。
新しいディスプレイやペット追従システムも
他に「mirasol」ディスプレイを採用した商品が展示されていた。mirasolは電子ペーパーとは違い、蝶の羽がキラキラと輝く仕組みをディスプレイに応用した技術。外光を反射させて発色する。製品は2011年冬に韓国からようやく出てきたほか、2012年第1四半期には中国からも登場する予定。電子インクと比較して、ページ切り替え時に残像が残ることがなく、カラー写真を表示できるなどの利点がある。
ペットの首輪に取り付けて追従できる「Tagg-The-Pet Tracker」も展示されていた。スマートフォンからペットの現在位置をリアルタイムに確認可能なソリューションで、こちらも2011年から製品が販売されている。なお、3G通信は同社の子会社が北米の通信事業者VerizonのMVNOとなって提供している。
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