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» 2004年02月23日 23時44分 公開

十字キーも置き換える“指紋認証”センサー

米Atruaは仏カンヌで開催されている3GSM World Congressで、タッチパッド代わりにも利用できる指紋認証センサーシステムを発表した。

[斎藤健二,ITmedia]

 単なる指紋認証センサーではなく、ナビゲーションシステムとしても使える──。米Atrua Technologiesは、携帯電話向けの触覚センサーシステム「Atrua Wings」を仏・カンヌで開催されている3GSM World Congressで発表した。

 同社のシステムは、専用のスライド型センサーとソフトウェア、接続インタフェースからなる。携帯電話に特化しており、モバイルコマース時の本人認証や、十字キーに代わるインタフェースへの利用を想定している。

 仏Purple LabsはAtrua Wingsを搭載したGSM携帯電話のデモを、3GSM World Congressのブースで行っている。製品としても最終チェックに入っており、2004年の第2四半期から量産予定だ。

普通十字キーがある部分にセンサーをレイアウトし、操作もセンサーで行う携帯電話が実現可能だ。写真はAtruaの端末イメージ

タッチパッドとしても使えるセンサー

 従来の指紋センサーとAtrua Wingsの大きな違いは、「タッチパッドとして回転制御などにも利用できることだ」と、米Atrua Technologiesのマーケティングディレクター マーク・オストラウスキ氏。

 X軸、Y軸、圧力、回転の4つの次元で指の動きを読み取れるのが、従来にない特徴。同社の11件におよぶ特許のうちのひとつだ。

 これにより、センサー部に指を当ててタッチパッドのように動かすことで、8方向にカーソルを動かしたり、クリック、ダブルクリックといった操作も行える。「ナビゲーションボタン(十字キー)の代わりに、Atrua Wingsを利用できる」(オストラウスキ氏)

 指紋認証は、登録に試行が3回必要。認証はさまざまなシーンでの利用に堪えるようにチューニングされており、途中で指を動かす角度を変えたり、上下逆さまに指を動かしてもうまく認識する。

 実際に指を触れて認証を試すと、かなり適当に触れてもしっかり認識するのに驚く。非対応率は1%、他人受け入れ率は0.001%、本人拒否率は0.1%だという。

Windows CE上で動く指紋認証のデモ。左が登録した指紋。右はセンサーで読み取った指紋。指をジグザグに動かしたため、読み取れたのはかなり乱れた指紋だが、しっかり本人だと認識した

携帯に特化したシステムとして提供

 Atrua Wingsの特徴は、センサーやソフトウェア単体ではなく、セットのシステムで提供されていることだ。これによって「精度も高いし、低消費電力、CPU使用の最適化が行われている。ビジネスモデル的にもセット。個別のライセンス供与は拒否している」と、オストラウスキ氏。

 スライド型のセンサーは、静電容量方式のパッシブ型でCMOSプロセスで生産できる。8行×192列のセンサーアレイを備え、使用チップは1個で済む。

 認証ソフトウェアは、携帯電話のCPUで動作する。「ローエンドCPUにも対応できるよう設計してきた」と同社のファウンダー/チーフサイエンティストのアンソニー・ルッソ氏は話す。ナビゲーション機能は5MIPS程度、指紋認証は30MIPSのCPUパワーで行える。「ARM7/33MHz程度だ」とルッソ氏。

 ARM以外にもXScaleやSHシリーズ、OMAPなどの各種CPUに対応し、OSもWindows CEやSymbian OS、BREWなどに移植が完了している。

LGAとフレックスリボンパッケージの2つが用意されている。サイズは、それぞれ5×19×0.65ミリと4×17.3×0.65ミリ

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