連載
» 2004年03月11日 22時02分 公開

テレビとモバイルの連携──それぞれの思惑地デジ+モバイルが生み出す世界(1)(2/3 ページ)

[中村実里,ITmedia]

テレビと携帯電話の相性は?

 テレビがデジタルに向かう過程で注目されたのは、BSデジタル放送で提供されたデータ放送サービス。テレビから直接回線につなぎ、データ放送を使ってインタラクティブな放送をしようという試みだ。しかしサービス開始から3年経った現在、課題は回線結線率の低さ。電話回線のポートとテレビが離れていたり、接続の手間がかかったりといった煩わしさから接続していなかったり、若い世代が固定電話を持たなくなったりという現状が影響して利用は今ひとつ伸びていない。

 これに取って代わるものとして期待されるのが、携帯電話だ。多くの人が操作に慣れていて、回線に接続していることを意識させることなくインタラクティブなサービスを提供できる。そして携帯電話は個人への普及率が高く、常に身に着けて歩くツール。テレビにネットワークを絡めるところで、携帯電話を利用しようと考えるのはごく自然な発想だ。

 大日本印刷では、デジタル放送のデータ放送画面上に表示したQRコードをカメラ付き携帯電話で読み込ませ、携帯サイトへ飛ばすサービスを1月5日から開始した。この仕組みを使えばテレビをポータルにして、Eコマースやキャンペーン応募といった付加価値のあるサービスを携帯電話側で提供できる。

 C&I事業部メディア本部の神戸好夫本部長は、「リビングで見るようなファミリーメディアのテレビから、One to Oneサービスを提供できる携帯電話というメディアへ橋渡しすることで、視聴者が一番求めている情報を素早く提供し、そこで新しいビジネスチャンスが生まれる」と説明する。

 例えば通販番組で商品特有のQRコードを表示しておけば、利用者は特定の商品を申し込むサイトへ携帯電話から簡単にアクセスできる。それから先の注文手続きは携帯電話だけで行える。「このサービスによって、広告モデルとは違う、販売促進モデルを生み出したい」(神戸氏)

マーケティング的な利用価値

 「テレビに携帯電話が融合することにより、従来のテレビ放送の収益である広告収入とは別に、新たな事業収入を生み出す可能性がある」というのは、サイバードメディア戦略部の大森洋三部長だ。デジタル化によって放送にさまざまな付加価値を付けられるといい、この付加価値が収益を上げるという見方だ。

 同社がIMAGICAらと開発した「ワンプッシュ」は、携帯電話そのものをテレビリモコンとして使わせる仕組み。使い勝手はインデックスが提供する「ナビチャン」と変わらないが、特定URL取得までの手順が異なる。

 番組放送中に表示された「ワンプッシュ」による情報配信サインで特定のボタンを押すと、携帯電話から発信される個別のIDが赤外線を通じてデジタルテレビへ送信される。データ放送から取得したIDとともに、ダイヤルアップ接続や将来的にはイーサネット経由などでサーバへ転送される。サーバ側では情報を読み取り、対応するURLを携帯電話へメール配信し、ユーザーは受け取ったメールから簡単に指定URLへアクセスできる。

 「ワンプッシュ」では、あらかじめ登録しておいたユーザー情報と連携するサービスで、携帯電話を単なるアクセスツールとするだけでなく、マーケティング的な利用価値も大きい。「テレビという不特定多数の世界から、各ユーザーのニーズにあった情報提供と、購買などにつながるアクションまでの一連の流れをサポートする」と大森氏は言う。

 将来的には、ユーザー情報をセグメントしたり、携帯電話の特性を生かしたGPSなどの位置情報と連携する情報提供も考えられている。キー局だけでなくローカル局での利用価値も高まり、全国展開するチェーンスーパーなどでは、全国共通のCMをテレビで流しながら、詳細情報は「ワンプッシュ」によって各ユーザーの位置情報に合わせた、ローカルな情報も提供できるというわけだ。

ワンプッシュの仕組み

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