作品名 | ラブ・アクチュアリー(loveactually) |
監督 | リチャード・カーティス |
制作年・製作国 | 2003年イギリス作品 |
クリスマスシーズンのロンドンで、繰り広げられる幾つものラブストーリー。それは、どれも日常的にありそうなエピソードで、19人の登場人物の中には自分に似たキャラクターが見つかるかもしれません。その中から、長年の片思いがやっと実りそうな時に、携帯電話に邪魔された地味OLサラの物語をご紹介します。
ロンドンの会社で働くサラは、ある日上司のハリーに呼び出されます。仕事上の苦言かとビクビクしながら行くと
「話す前に、まず携帯電話の電源をオフにして」
と言われます。サラの携帯は、いつでも鳴りっぱなしなことで有名なのでした。サラが慌てて電源を切るとハリーは神妙な面持ちで語り始めます。
「ミステリアスなデザイナーのカールに、恋して何年?」
「2年と7カ月です」
サラはいきなり自分の片思いを指摘されてドキドキ。
「……ミエミエでした?」
おそるおそる尋ねるサラにハリーは
「そろそろ行動に移すべきじゃないか? 真剣に考えた方がいい。クリスマスだしね」
実はサラの片思いは、社内でバレバレ。長い間想っているだけでは恋は実らないし、周囲も落ち着かないのです。そこでハリーはクリスマスムードに便乗して、サラにカールへ気持ちを告げるよう、恋のアドバイスをします。
ハリーの言葉に背中を押されて、カールの机に向かったサラですが、携帯の電源を入れた途端に呼び出し音。電話の相手にサラは話し出します。
「大丈夫。話せるわよ」
「よくかかってくる携帯だ」
ハリーは呆れ顔。カールが残業しているのに合わせて、サラも会社に残っていたのに、一緒に帰ることもできず見送っただけ。サラはあまりにもカールを好きになりすぎていて、普通に話しかけることもできなくなっていたのです。
しかし数日後、サラに最高のチャンスが訪れました。会社のクリスマスパーティが行なわれ、カールがサラをダンスに誘ったのです。有頂天になるサラは、カールの腕の中で夢見心地。ハリーもそんな二人を微笑ましく見守っていました。そしてパーティ会場を出て、カールに送られて自宅に着いたサラ。実はカールもサラの気持ちに気付いていて、それに応えようとしていたのです。
カールを部屋に招き入れ、2年7カ月の恋がやっと前進した時、サラの携帯電話が鳴り出します。
「今? 忙しくないわよ。話して」
ハッピーエンド目前で、サラは現実に引き戻されてしまいます。ロマンティックなムードは台無しで、しらけてしまうカール。サラは電話を切った後にいいわけをします。
「ごめんね。弟が入院しているの。私しか身内がいないの」
カールは少しすねて
「電話で病気がなおるの?」
と聞きますが、サラはうつむいて
「いいえ」
と答えるだけ。
「じゃ、ほっとけば」
「それはダメよ」
心優しいサラには、弟との絆を結ぶ携帯電話をオフにしておくことができなかったのです。カールは部屋を出て行ってしまいましたが、自分の気持ちを憧れていたカールに伝え、夢のような一夜を過ごせたサラは幸せでした。弟にクリスマスプレゼントを渡すこともでき、サラにとって想い出に残る素敵なクリスマスになりました。
このほかのエピソードも、ほろ苦かったり、せつなかったりするけれど、きっと“love”が満ちて輝き出すはず。せちがらい現実を、優しく包み込んでくれるような“love”パワーいっぱいの作品です。
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