脱いだらすごい「P252iS」を開発者が語る

» 2004年04月26日 21時59分 公開
[後藤祥子,ITmedia]

 ぷるぷる杏仁、ぴちぴちピーチといった、これまでにないネーミング、コンパクトなボディ、絵文字に合わせてライトが光る「キラリメール」──。これだけだと「P252iS」は、ただ可愛いだけの端末に見える。

 ところが、開発者に言わせると「P252iSは、実は羊の皮をかぶったオオカミ」(商品企画グループ商品企画第一チームの菅田誠主事)。いったいどこがすごいのかをパナソニック モバイルコミュニケーションズの開発チームに聞いた。

50x系なみの処理能力

 このところ、ドコモの携帯電話はPDCからFOMAへと急速に移行している。開発の中心もFOMAへと移っていく中、PDCについては端末開発の合理化が課題になっていると菅田氏。「PDC方式は、より回路の共通化を進めて合理的にいいものを作っていこうという方向。そのため50系と25系の設計の共通化を進めている」(商品開発センター商品設計第一グループ設計第一チームの野田効司主任技師)。その回路共通化の最初の成果がP252iSには搭載されているのだ。「P252iSの回路には50系CPUを中心とした基本部品を使っており、50系のポテンシャルを持っている」(野田氏)

 効果が顕著に分かるのは、文字入力時やメニュー操作時だ。「文字入力は早いキー入力でも取りこぼしがないし、仮名漢字変換の候補も瞬時に出てくる。メニュー操作の反応もタイムラグを感じさせない」(野田氏)

 基本的な回路構成やデバイスも含めて、ほぼ共通化しているという。「25x系と50x系の大きな違いが周波数帯。25x系は800MHzだけだが50x系は1.5GHzとのデュアルだ。この基板は、そのまま使ってデュアルも動くようにできるところまで考えて作っている。基本的にはP252iSで使っているものを、50x系に展開しようと思ったら、使えるような形」(野田氏)。

基板を三層構造で実装

 P252iSは、前モデルのP252iに比べてとてもコンパクトになっている。P252iは102×51×26ミリ、P252iSは87×46×26ミリだ。「劇的に進化した印象を持ってもらうには、どれくらいのサイズが必要か──を考えてサイズを決めた」。完成したP252iSは、名刺より小さいサイズと、そのインパクトは大きい。

 当然、表面積が小さくなれば、基板の実装も難しくなる。一枚や二枚でまかなおうとしても、どうしても表面積が大きくなってしまうのだ。「P252iSでは3枚構成。とにかく小さく重ねて、このサイズをキープした」(商品開発センター商品設計第一グループ設計第一チームの粂信吾氏)。

 ただ基板を重ねただけでは、今度は厚みが増してしまう。それを避けるため、基板に段差を付けながら、低いところと重なる面には高い部品を──というように、部品の高さと位置を細かく調整しながら組んでいったという。

 基板を支えるシャーシには、プラスチックと金属のパーツを一体で成形する「インサート成形」という工法を採用。「プラスチックで全部作ると厚さが出てしまうが、一部金属にすれば、同じ強度で薄くできる。一体成型すると、金属とプラスチックを後から止めるより強度も保てる」(粂氏)。

小さくても使いやすく

 ボディが小さくなると、使いやすさを確保するための工夫が必要になってくる。例えば、P252iSではスピーカーとマイクまでの距離が短く、耳に当たるスピーカー部分が少なくなってしまう。「従来の一つ穴だと当たり所が少なくなってしまう。P252iSでは一度穴から出た音を周りに分散させて小さい穴から出す方法をとっている。細かい穴から面で音を出しているので、小さくても聞こえやすい」(粂氏)。

 P900iと比べると、スピーカーとマイクの位置の違いが分かる。P252iSではスピーカー部に細かい穴を開けて、面で音を出している

 ダイヤルキーを立体造形にしたのも、工夫した部分だ。「P900iのようにダイヤルキーを平たくすれば、端末をもっと薄くできたが、今回は立体にして押しやすさを優先させた」(粂氏)。キーの凸量や周辺の削り具合、キーの重さなどは試作を繰り返して、最も打ちやすい形に近づけていった。

 小さいが押しやすいダイヤルキー(左)。カメラ周りにはステレオスピーカーを搭載。音の抜けを良くする形のホールが開けられ、音量はP252iより30%大きくなった
 アンテナはボディデザインとのバランスを考慮して内蔵型に。ストラップホールとして使えるようにも見えるが、金属のストラップを付けるとアンテナに影響するおそれがあるため、ストラップは付けないようアナウンスしている。強度面の問題はなく、「布のストラップであれば影響はない」という

 こうした工夫の数々から生まれたP252iSは、メインターゲットの若い女性だけでなく、コンパクトでシンプルな端末を待ち望んでいた、男性やビジネスマン層にも売れているという。

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