例えば3段組で構成されるITmediaでは、中央列にメインのニュース情報の見出しが配置される。このニュース情報を閲覧したい場合、フルスクリーンモードならフォーカスの移動は楽だが、見出しすら横スクロールしないと完全に読むことはできない。
しかしスモールスクリーンモードでは、リンクや最近の注目ニュースなどが上にレイアウトされるので、ニュース情報にたどりつくまでの縦スクロール操作が多くなる。
こうしたサイトでは、まずフルスクリーンモードでアクセスし、上下左右キーでニュース情報にフォーカスを移動、スモールスクリーンモードに切り替えればいい。レンダリングモードは閲覧するサイトに合わせるほか、動的に切り替えて使うのも快適に利用するためのコツだ。
この3つのレンダリングモードに加え、さらに閲覧性を向上させるのがズーム機能だ。50%縮小から200%拡大までが可能なため、ページ全体を容易に把握できる上、縦横ともにスクロールが少なくて済む。90〜80%程度の縮小であれば、文字の視認性も十分確保される。
ズームは等倍も含めて7段階。縮小側をもう少し細かく設定できれば、さらに便利に使えそうだ |
補助機能も快適なWeb閲覧に貢献する。独立したページスクロールキーを備え、補助メニューからページの先頭や終わりに表示を移動させられる。ケータイモードやスモールスクリーンモードではどうしても縦長い表示になってしまうので、これらの機能は有効だ。
素早く操作できるメニューの1階層目にページの先頭、ページの最後といった機能が含まれている |
フレーム間の移動もメニューから行え、一覧から表示したいフレームを選択できる。フレーム単位での表示になるスモールスクリーンモードでは必須の機能だ。
またフルスクリーンモードでは上下キー、左右キーのスクロール、フォーカス移動操作でフレーム間の移動も可能だが、フレーム内では端までのスクロールやフォーカス移動の操作が必要。フレーム間の移動はフルスクリーンモードを併用すると便利だ。
画面の情報量の問題もあり、Web閲覧時にはさまざまなメニュー操作を行うことになる。AirH"PHONEの通信速度は最大32Kbpsパケットということもあり、快適なWeb閲覧のためには頻繁に画像表示をオン/オフすることになるが、それもメニューから操作できる。
Web閲覧中のメニューは、第1階層には番号表記がない。ただし並びがそのまま1〜9、0の数字キーに対応している。例えばページの先頭は3、移動は8、設定は0だ。マニュアルにも記述されているが、画面には番号表示がないので、ついつい上下キーで選択操作をする人もいるだろう。頻繁に呼び出すメニュー項目は番号で覚えておくと便利だ。
メニューだけでなく、文字入力モードの切り替えも数字キーでショートカットできる。この画面で3を押せば1バイトカナ、5を押せば1バイト英字、7を押せば1バイト数字入力に切り替わる |
AH-K3001Vの通信速度は受信で最大32Kbpsのパケット通信。厳密には64Kbpsでの接続も可能だが、通信料金が従量制となるため、それほど利用する人はいないだろう。PC向けのサイトはどんどんリッチ化する傾向にあり、最大32Kbpsの通信速度、QVGAディスプレイでは表示に時間がかかったり、情報の一覧性が低かったりと明らかな限界は感じる。
しかしPC向けのWebサイトを手軽に閲覧できるメリットは大きい。QVGAという限られた画面で、可能な限り快適にPC向けWebサイトを閲覧できるよう、レンダリングモードやズームを搭載している。例えばPocket PCも解像度はQVGAだが、AH-K3001Vのほうが快適にWeb閲覧できる印象すら受けた。3つのレンダリングモードやズーム機能のメリットがそれだけ大きいのだ。
汎用的なJavaScript、SSLに対応しているため商用サービスサイトの多くにもアクセスできる。まだ多くを確認したわけではないが、筆者の利用している東京三菱銀行のオンラインバンキングは明細や残高確認も問題なく利用でき、ジャストシステムのオンラインストレージ「InternetDisk」でもファイルのダウンロード、アップロードが行えた。
もちろんこの2つはiモードにも対応(InternetDiskはEZwebにも)しているためAH-K3001Vだけのメリットとはいえないが、モバイル向けサービスでは制限されている機能も利用できるのは大きい。
AH-K3001Vが、従来のブラウザフォンの枠を超えた使い方を可能にするのは間違いない。少なくとも外出時にPDAやノートPCを携帯する機会を減らせることは確かだ。
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