「PHSの潜在成長余力に注目」〜Carlyleと京セラ、2200億円でDDIポケット買収

» 2004年06月21日 17時47分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

 The Carlyle Groupと京セラは6月21日、KDDI子会社のDDIポケットを2200億円で買収することを発表した。DDIポケットはいったん精算され、10月に新会社として再出発する。買収後の出資比率は、Carlyleが60%、京セラが30%、KDDIが10%となり、Carlyleが経営権を握る。

 買収後もDDIポケットの現経営陣が続投し、リストラなども行わない。「既存ユーザーや取引先にも何ら影響はないと考えている」(The Carlyle Group日本代表の安達保代表)。

左からKDDIの小野寺正社長、The Carlyle Groupの安達保日本代表、京セラの西口泰夫社長、DDIポケットの山下孟男社長

DDIポケットの成長に期待〜最終的にはIPO

 米投資ファンド大手のCarlyleは全世界での投資の約30%を通信分野へ当てており、「最も得意な分野の1つ」(安達氏)としている。DDIポケット買収は同社にとっても過去最大級の投資となる。

 DDIポケット買収の理由としては、「PHSの潜在的成長余力に注目した」と話した。短期売買目的ではなく中長期の保有を前提とし、「比較的早く、IPOを狙って成功させていきたい」(安達氏)。

 今後の経営方針については、従来のDDIポケットの戦略通り「法人向けのモバイルデータ通信が中心。さらに音声も強化する」と話すに留まった。DDIポケットの山下孟男社長は「データ通信の高速化など、新しい長期ビジョンに立った新しい計画」を立てていくとしたが、Carlyleによる追加投資などを含めた具体的な施策は明かされなかった。海外での事業展開については「視野に入れているわけではないが、可能性としてはある話」(安達氏)とした。

 DDIポケットは3期連続で黒字を出しており、KDDIの連結業績の中でも売上・利益共に6%程度を占める優良部門だ。KDDIの小野寺正社長は「グループの連結業績に大きく貢献した」としながらも、「KDDIとしては好調なauに競争資源を集中したい」と売却の意図を説明した。今後は10%の株主として、ビジネスパートナーとしての関係を保つ。

 Carlyleを選択した理由としては、「(同社が)テレコム業界でしっかりとした業績を上げていること。短期売買ではなく中長期で育てるということ」を評価した。

 京セラはPHS端末/基地局の主要ベンダー。2003年度は端末610万台、基地局15万局を製造し、420億円を売り上げた。ただし販売先のほとんどは中国を中心とした海外だ。DDIポケットがKDDIから離れ、新たな事業展開を模索する中で、国内の端末・基地局需要の盛り上がりに期待する。

 買収は、Carlyleと京セラのコンソーシアムが受け皿となる。買収資金2200億円のうち株主資本は25%。残りは金融機関からのノンリコースローンで賄う、レバレッジバイアウト(LBO)の形態を取る。精算は2004年度内を目処に行う。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年07月17日 更新
  1. 専用充電器はもう不要? 中韓スマホから国内勢まで巻き込む「USB PPS」急速充電の新常識 (2026年07月14日)
  2. “クレカ障害”の原因、三井住友カードが明らかに 都内店舗は「現金や交通系ICカードをご利用ください」と客に案内 (2026年07月16日)
  3. “クレカ障害”にJCBと楽天カードがコメント 朝のラッシュを直撃 (2026年07月16日)
  4. 日本通信がMVNOサービスでシェア5位に 月額290円からの“合理的プラン”が好調 (2026年07月15日)
  5. “クレカ障害”で「現金を持つべき?」の声 三井住友カード「弊社システムで障害は発生していない」 (2026年07月16日)
  6. 最大21日間駆動、オフラインマップにも対応した「Xiaomi Watch S5」がAmazonで販売中 (2026年07月16日)
  7. “QR切符”は改札をスムーズに通過できる? 「ゆりかもめ」が導入し話題、メリットは何か (2026年07月15日)
  8. LINEの新「プレミアムブロック」で完全な“絶縁”が可能に? 従来のブロック機能との決定的な違い (2026年07月15日)
  9. なぜ「ドコモ銀行」じゃない? 「ドコモSMTBネット銀行」の名称に隠された通信と金融の“パワーバランス” (2026年07月15日)
  10. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー