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» 2004年07月26日 16時46分 公開

地デジ+モバイルが生み出す世界(6):開発現場に聞く、1セグ端末のイメージとは?

2005年度中のサービス開始に向け、1セグ放送対応端末の準備が進んでいる。現場では、どのような開発イメージを持っているのだろうか? テレビ対応に積極的なNECと、1セグ放送向けブラウザを開発したACCESSに聞いた。

[中村実里,ITmedia]

 2005年度中のサービス開始という目標に向け、1セグメント放送(3月11日の記事参照)対応端末の開発が本格化している。中でも目に見えるかたちで積極的に推進しているのが、テレビ対応に積極的なNECと(7月5日の記事参照)、1セグ放送用の携帯電話向けブラウザを開発したACCESS(2003年7月22日の記事参照)だ。

 具体的な開発イメージはどのようなものか、両社に聞いた。

テレビ対応端末の潜在ニーズを確信するNEC

 「“携帯電話でテレビを見る”というニーズは必ずある」――。そう話すのは、NECモバイルターミナル事業部 商品企画部の柳井保マネージャーだ。同社は昨年12月に、国内で初めて地上アナログテレビチューナーを搭載したボーダフォン向け携帯電話「V601N」をリリースした(2003年10月15日の記事参照)

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 常に身近にある携帯電話で、いつでもテレビが見られるという、新しいテレビ視聴スタイルを他社に先駆けて具現化。同社にとっては、1セグ放送の開始を前に「携帯電話とテレビの融合」というコンセプトを世に問う機会でもあった。

 アナログチューナー搭載端末をリリースした当時を振り返って、柳井氏は、「従来のポータブルテレビと比較して、『V601N』のテレビ画面はかなり小さいこともあり、ユーザーに受け入れてもらえるか懸念もあった。しかし画面の大きさよりも、テレビを携帯電話で“見られるようにした”功績のほうが高く評価されて、ユーザーやマスコミから非常に注目を集めた」と話す。

 テレビ付き携帯が今後、どれだけ広がるかは未知数だが、“潜在的なニーズが確かに存在する”手ごたえを感じたという。

 同社はV601Nの市場投入について、携帯とテレビの融合に向けた取り組みの第一ステップとしては、“成功”と自己評価。しかし、次のフェーズにおいては、より大画面で、より高画質、高音質などユーザーの要求も高まってくることが予想される。アナログ放送の経験を活かしながら、デジタルで高品質の映像を楽しめるようになる1セグ放送をも視野に入れて、さらなる性能アップを目指していきたい考えだ。

 柳井氏は、「テレビ機能が携帯電話に搭載されたからといって、“携帯電話のスタイル”を変えるつもりはない」と言い切る。

 端末スタイルへの同社の一貫したポリシーは、カメラ付き携帯電話にも現れている。携帯本来の機能や使い勝手を重視し、付随するほかの機能に迎合して端末を大型化したり、特異な形状にはしないということだ。

Photo WIRELESS JAPAN 2004会場で展示されていたNECの1セグ放送端末(試作機)。その形状は、確かに普通の携帯と変わらない

 「理想は、ベースとなる端末モデルの形状を極力変えずに、テレビ機能を搭載すること。たとえ、いくらか厚みや重さが出たとしても、手に持つ感じはやはり“携帯電話を持っている”という感触から離れない形状にしたい」

 柳井氏はまた、端末の販売価格も「何が搭載されても、ユーザーにとってリーズナブルな価格へ落とし込むしかないでしょう」とコメント。6000円から7000円ほどの価格アップで、1セグ放送対応機を市場投入することが目標だと明言した。

テレビ視聴スタイルを大きく変える「1セグ放送」の可能性

 「1セグ放送は、必ず流行る」と断言するのは、業界で初めて、1セグ放送に対応する携帯端末用ブラウザ「NetFront DTV Profile Wireless Edition」(アクセスのリリース参照)を開発した、ACCESS 取締役副社長 理学博士の鎌田富久氏。同社はかつて、“携帯電話でインターネットを楽しむ”スタイルが必ず流行ると予見し、iモードの仕掛けづくりに参画した企業として知られている。

 その同社が、テレビと携帯電話の新しい可能性として期待するのが、1セグ放送で実現する“放送と通信の融合”だ。数年前からマーケティングを重ねながら、研究開発に取り組んできた。

 鎌田氏は、「今後、テレビの視聴が“いつでも”と“どこでも”というスタイルに、二極化していく」と、1セグ放送に伴うテレビ視聴の変化を予測する。

 家庭内の固定テレビ周りでは、HDDレコーダーの普及でテレビ視聴の「時間の制約」がなくなり、“いつでも”という環境が整い始めている。ローカルに蓄積したコンテンツを携帯で持ち運んで見られれば、“どこでも”という条件をクリアすることになる。もちろん、その場でリアルタイムにテレビを視聴したいといったニーズにも、テレビ付き携帯電話ならば対応できる。

Photo ACCESSの考える放送の進化形。テレビは、蓄積型/携帯型/移動型など利用ニーズに応じて進化。加えて、インフラ側もデジタル化で大きく変化し、『いつでもどこでも』テレビを視聴できる環境が整う

 場所の制約がなくなり、テレビの視聴機会が広がる。今まで家庭内ではテレビをあまり見なかった人でも、テレビ機能付き携帯電話ならば見る……という状況が生まれやすくなるわけだ。

 「データ放送によるプッシュ型の配信やインターネットが絡んでくれば、ビジネスモデルが多彩に広がるだろう」と指摘するのは、同社営業本部 担当次長の春山隆幸氏。1対1のインタラクティブ性あるサービスを実現できれば、放送の広告モデルも変化するだろう。

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 同社は、前述の1セグ放送向けブラウザ「NetFront DTV Profile Wireless Edition」のコアを使ったプレビューワを用意し、1セグ放送のサービスイメージを検討するツールとして放送局や番組制作会社へ提供している。放送用言語のBMLを使って記述したコンテンツを、このプレビューワを通して、どのように携帯電話上で表現されるのかを確認できる。現在、このプレビューワに地方放送局からの引き合いも多く、事業者側の1セグ放送への期待度の高さを伺い知ることができるという。

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