有機EL採用の「CLIE VZ90」ファーストインプレッション(2/3 ページ)

» 2004年09月15日 00時00分 公開
[坪山博貴,ITmedia]

明るく鮮やかな発色が印象的なディスプレイ

 初採用となったソニー製フルカラー有機ELディスプレイは、明るく鮮やかな発色が印象的だ。赤や青といった原色に近い色でべた塗りされた部分でも、液晶ディスプレイでときおり感じるギラギラ感がなく、それでいてより鮮やかだ。また自発光だけに、黒がしっかり沈んでいる。

 PDAとして文字情報を中心に表示させる場合も、全く不満は感じない。面白いのは黒を基調にしたシステムカラー「ソニー」が準備されていることだ。ディスプレイ素子が発光しない「黒」を多用することで、省電力化と劣化を防ぐ役目も果たしている。

なぜかバルーソ テーマカラー「ソニー」を選択すると、このように黒が基調となる。寿命のある有機ELディスプレイを、より長く使うためにもこの設定を使うのがいいのだろう

 反面、有機ELディスプレイの特性が裏目に出ることもあるようだ。低ビットレートでMPEG-4エンコードした動画ファイルは、被写体全体が動いている場合にグラデーション部分などでブロックノイズが出やすくなるが、液晶で再生した場合より、有機ELのほうがブロックノイズがくっきりと見えてしまう。ディスプレイ側の諧調表現のダイナミックレンジが広すぎ、応答速度が速すぎるからだろう。今までは見えなかった“アラ”まで見えてしまうわけだ。

MP4形式の再生もサポートしたMedia Launcher

 AV機能の核となるのが新開発のアプリケーション「Media Launcher」。動画、音楽、静止画の再生が統合されており、タブをクリックするだけで切り替えられる。静止画では内蔵メモリ、内蔵フラッシュメモリ、メモリースティック、CFメモリカード内の静止画を一括して一覧でき、目的の静止画がどこに保存されているかを意識せずにファイルを探し出せる。

これは静止画の一覧画面。静止画では保存先として「全て」という選択が可能。この機能は便利だ
動画再生では、従来通りMPEG-1とQiuckTime形式もサポート。保存メディア、フォーマット別に一覧できる

 動画再生は、スタンダードなMPEG-4フォーマットに準拠したMP4形式の再生もサポートした。MP4形式ならCLIEでの再生専用ではなく、PCでの再生用としても共用できる。最大で320×240ピクセル、30fps、768Kbpsをサポートするため、PCでの再生にも十分耐えるクオリティだ。

 ディスクジョグで再生位置が移動できるのも、なかなか快適だ。ちょっとした前後移動ならスタイラスを利用するよりレスポンスもいい。両手で持っていれば、どちらの手の親指でも快適にディスクジョグ操作が可能だ。

 PC上でCLIE用に動画ファイルをエンコードする「Image Converter」も、MP4形式対応の「Image Converter2」にバージョンアップした。テレビ録画機能付のVAIOなら、「Do VAIO」や「GigaPocket」(V3.0以降)と連携して、録画と同時エンコードも可能。エンコードのみも行える。メモリカードをVZ90に装着して持ち出している間にエンコードして、後でメモリカードに転送だけ行う──といった利用もできる。

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