CLIE「PEG-VZ90」はフルカラーの有機ELディスプレイを採用し、薄型ポータブルテレビのようなデザインが特徴のPDAだ(9月14日の記事参照)。AV機能を充実させたCLIEのハイエンドモデルとなり、「PEG-NZ90」や「PEG-UX50」の後継モデルに位置づけられる。
最大の特徴は、世界最大の3.8型フルカラー有機ELディスプレイだ。CLIEではおなじみになった480×320ピクセル(ハーフVGA)は、地上波の放送品質なみの動画をほぼ再現できる。有機ELディスプレイは、プラズマディスプレイ同様に自己発光するためバックライトが不要。また液晶のような視野角の制限もない。ソニーは色再現性でブラウン管をも上回るとしている(9月14日の記事参照)。
ビジュアルデバイスと位置づけられたVZ90は、デザインも従来のCLIEにはない新しいものとなった。ほぼ全面をディスプレイとして使うのはTH55などと同じだが、下部のユニットがスライドして操作部がせり出してくるのが新しい。
動画を再生するときは、操作部を収容してコンパクトサイズで視聴。必要なときだけさっとスライドさせて操作……といった使い方が可能になる。
操作系もAVデバイスとしての利用を強く意識している。4つのアプリキーは、3つがビデオ/音楽/静止画を再生するMedia Launcherに割り当てられ、残り1つがクリエオーガナイザーの起動になっている。もちろんアプリキーへの機能割り当ては変更できるので、従来のCLIE同様、PIMに割り当てることも可能だ。PIMの重要度が高い人でも、不便を感じることはなさそうだ。
大容量の内蔵フラッシュメモリやCFメモリカードのサポートも、ビジュアルデバイスという位置付けのためだろう。データ保存用に96Mバイトものフラッシュメモリを内蔵した。動画保存には物足りないが、音楽データであればアルバム1枚分程度は保存できてしまう。なお内蔵フラッシュメモリには本体メモリのバックアップも行える。
内蔵フラッシュメモリは約96Mバイトと大容量。UX50では、内蔵メモリのバックアップ用に一定サイズが強制確保されていたが、VZ90ではユーザーの判断で利用できるように改められた |
右側面に2つのメモリスロットを備える。CFスロットがメモリカードをサポートしたため、単に安価なメモリカードが利用可能になっただけでなく、メモリースティック以外を採用したデジカメのビューワとしても利用可能になるなどそのメリットは大きい |
メモリースティックよりビット単価の安い、CFメモリカードもサポートするため、長時間で高ビットレートな動画ファイルの再生も現実的になった。CFメモリカードは今なら512Mバイトで1万円以下、1Gバイトでも2万円以下といった価格で入手できる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.