NECは11月30日、3G端末向けの新プラットフォームとして米Qualcomm製チップセット、およびEricsson Mobile Platform(EMP)製チップセットの採用を発表した。いずれも、W-CDMAとGSM/GPRSのデュアルモードに対応したもの。
「すべてを自前主義で展開するのは限度がある。当然自社の強みを生かすが、もう少し軽い動きができる他社のプラットフォームも使っていく」と、同社モバイルターミナル事業本部副事業本部長の田村義晴氏は、他社3Gチップ採用の理由を説明した。
NECは先日、NECエレクトロニクスと3G携帯電話のプラットフォームを共同開発することを発表しており(11月22日の記事参照)、自社設計のW-CDMAシングルモードチップと合わせて4種類のプラットフォームを、今後使い分けていく方針だ。
他社GSM技術を導入した自社製デュアルモードチップが、ハンドオーバーなどに課題を持っていたことが、他社製チップ採用の理由の1つだ。2006年度にNECエレクトロニクスとの協業チップが登場するまでの間、海外向け端末の多くに他社製チップを使う。「2005年度は現行チップへの制約事項があるので、(3G端末の)半分以上が外部調達品となる」(田村氏)。
また、中国向け2.5G端末でのデザインハウス(外部製造委託)活用スキームが成功したことも背景にある。他社製チップを使った3G端末では、積極的にデザインハウスを活用していく。
「自社開発品も当然市場投入しながら、デザインハウス製製品も併せて投入して面の商品群でニーズに対応する。中国市場でこれが成功した。3Gに置き換えると、3Gが自社のプラットフォームを生かした開発。デザインハウスが他社のプラットフォームを使った開発」(田村氏)
国内向けは基本的には自社製チップを使う。「国内はローエンドという領域は存在せず、グローバルに見たらハイエンド。さらに国内の主流はW-CDMAのシングルモード。今後とも従来のチップセットをベースにやっていきたい」と田村氏。ただし、GSMとのデュアルモードには国内でも需要があり、そうした需要に対しては他社製チップも可能性があるとした
既にQualcomm製チップセット「MSM6250」を使い、重さ89グラムの3G携帯電話を試作。テレビ電話機能を持つ3G携帯電話の普及モデルとして、100%中国のリソースを使って開発されたという。2005年初頭から中国市場向けトライアル端末として投入していく予定だ。
EMPチップセットを使った3G携帯電話の開発にも着手しており、2005年上期に製品を投入する予定。Hutchson 3G(ハチソン3G)グループなどの3G事業者に提案していく。
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