ドコモは海外に持っていって通話やiモードを行えるW-CDMA/GSMのデュアル端末「N900iG」(10月5日の記事参照)を発表した。12月25日から全国で販売を開始、価格は4万円前後になる見込み。
初年度の目標販売台数は明かされなかったが、ドコモ国際推進部の樋渡義晴担当部長は「海外旅行者の数は年間で約1600万人で、うち15%ほどがビジネスユーザー。ファーストターゲットはこの部分」だと説明した。
ドコモは海外渡航者向けのローミングサービスとして、FOMAユーザー向けにチップローミングの「WORLD WING」(2003年5月の記事参照)を、ムーバユーザー向けに「WORLD WALKER」を提供している。対応端末としてMotorola製の「V66」を用意していたが、準備が整い次第N900iGの貸し出しを開始、ほかにもテレビ電話とSMSのローミング対応機としてMotorolaの「A835」をラインアップする(8月23日の記事参照)。
当初、115の国での音声通話とSMSの送受信、26カ国でのパケットローミング、英国および香港と日本との間のテレビ電話に対応。対応する国は順次拡大する予定だという。
テレビ電話の利用料金は、香港から日本にかける場合が1分あたり380円、イギリスからは1分当たり480円(WORLD WINGユーザーの場合)と、日本国内で利用するのに比べると割高だ。
サービス | GSM | GPRS | W-CDMA |
---|---|---|---|
パケット(iモード) | × | ○ | ○ |
テレビ電話 | × | × | ○ |
SMS | ○ | ○ | ○ |
音声通話 | ○ | ○ | ○ |
Eメールやiモードサイト閲覧時のパケットローミング料金は、利用する国によって異なる。ローミング先は、アメリカ、イギリス(3G)、フランス、ドイツ、香港など19の国や地域をふくむ「グループA」と、イギリス、イタリア、ギリシャ、オーストラリアなど8の国や地域を含む「グループB」に分けられ、異なる料金が設定されている。グループAは、最低料金が50パケットまで50円、グループBが100パケットまで100円。以降は従量課金となり、いずれも1パケットあたり0.2円の料金がかかる。
グループA | Cingular | アメリカ・ハワイ・バミューダ諸島・プエルトリコ・米領バージン諸島 |
Orange Switzerland | スイス | |
Telefonica Mobiles | スペイン・カナリア諸島 | |
Hutchison 3G UK | イギリス | |
Orange France | フランス・モナコ | |
T-mobile | ドイツ | |
KPN | オランダ | |
Hutchison 3G HK/Hutchison | 香港 | |
Chunghwa | 台湾 | |
SingTel Mobile | シンガポール | |
AIS | タイ | |
Smart | フィリピン | |
Hutchison Macau | マカオ | |
グループB | T-Mobile UK | イギリス |
TIM | イタリア・サンマリノ・バチカン | |
Wind | イタリア・サンマリノ・バチカン | |
Cosmote | ギリシャ | |
T-Mobile Austria | オーストリア | |
Turkcell | トルコ | |
Optus | オーストラリア |
SMSは、ドコモがローミング協定を結んだ海外事業者のサービスエリア内で、1)日本のFOMAユーザーとの送受信 2)ドコモの国際ローミングを利用中のユーザー同士の送受信 が可能。当初は海外事業者の契約ユーザーとの送受信には対応しないが、順次対応を進めるという。利用料金は送信量が100円、受信料は無料。
iモードサイトは、海外利用に対応した約2100サイトを用意。利用はパケット料金に準じた従量課金制になる。海外で利用可能なサイトを別に用意したのは、著作権の問題があるからだ。「iモードサイト内にあるキャラクターやモデルなどの素材すべてが、海外で使っていいという契約を結んでいるわけではない。著作権をクリアしたサイトを海外向けに用意している」(説明員)
海外でiモードサイトを起動すると、利用者が端末を使っている国情報を送信するかどうかのアラートが現れ、国情報を送信すると、その国で利用可能なiモードサイトが表示される仕組み。海外向けサイトは、日本のニュースや株価情報、海外の観光情報や天気予報などのコンテンツが提供される予定だ。
N900iGは、「N900iS」(6月1日の記事参照)の機能をベースに、W-CDMA/GSMのデュアルネットワークに対応させた端末。消費電流を考慮して、1000mAhの大容量バッテリーを装備した。ただし待ち受け時間は3Gモードで約150時間と心もとない。
ネットワーク切り替えは、3GとGSM間を自動的に切り替える「自動モード」、3G網に固定する「3G固定モード」、GSM網に固定する「GSM固定モード」の3種類を用意。自動モードに設定すると、ユーザーがどのネットワーク網なのかを意識することなく、使えるネットワークを選んで切り替えてくれる。ネットワークのサーチは、3Gが優先となる。なお、ハンドオーバーについては、音声もパケット通信も「対応していない」(ドコモ)
メインディスプレイは2.2インチのQVGA液晶、背面には120×90ピクセルの1インチ液晶を搭載。背面液晶は自分撮りにも対応する。アウトカメラは記録画素数123万画素のνMAICOVICON(2月13日の記事参照)を搭載している。「低消費電力でクオリティが高いことからνMAICOVICONを選んだ」(説明員)。OSは独自OSを採用し、Linuxではない。
機種名 | N900iG |
---|---|
サイズ(幅×高さ×厚み) | 50×103×28ミリ |
重さ | 132グラム |
連続通話時間(W-CDMA) | 音声通話:約105分、テレビ電話:約70分 |
連続通話時間(GSM) | 音声通話:約120分 |
待ち受け時間(W-CDMA) | 静止時:約150時間、移動時」約110時間 |
連続待受時間(GSM) | 約110時間 |
アウトカメラ | 有効124万画素νMAICOVICON |
インカメラ | 有効10万画素CMOS |
外部メモリ | miniSD(メモリカード非同梱) |
メインディスプレイ | 2.2インチ6万5536色TFT液晶(QVGA) |
サブディスプレイ | 1インチ6万5536色TFT液晶(120×90ピクセル) |
ボディカラー | オーシャンブルー |
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