ヒットの裏に激しい主導権争い〜韓国モバイルバンキング事情韓国携帯事情(1/3 ページ)

» 2005年01月12日 14時13分 公開
[佐々木朋美,ITmedia]

 韓国では2003年が、本格的なモバイルバンキング展開が始まった年といえる。金融監督院の発表によると、2004年第3四半期のモバイルバンキング取り扱い実績は約800万件、2兆7000億ウォンと、前四半期よりも件数は100.9%、金額は25%増加している。日本とはやや異なる、韓国のモバイルバンキング事情について見てみよう。

先駆者はLG Telecom「BANK ON」

 2003年9月、LG Telecom(以下、LGT)と韓国最大手の国民銀行が提携し、モバイルバンキングサービス「BANK ON」の提供を発表した。携帯電話の中に挿入して使う金融チップ(非接触ICチップ)を国内で初めて採用。個人情報を守りつつ、リアルタイムでの照会や振り込み、海外送金までできる。さらに銀行のカードがなくても携帯電話の操作で、ATMから現金を引き出せるというサービスである。

 手元で簡単に金融の取り引きができる利便性は、開始早々から人気を集め、約4カ月で加入者は40万人を突破。これに追いつけとばかりに、SK Telecom(以下、SKT)とKTFも、金融チップによるモバイルバンキングサービス、「M BANK」(SKT)、「K・bank」(KTF)を、2004年3月から開始。国民銀行以外の銀行も、キャリアと次々提携したことで、モバイルバンキングサービスの全人口は、2003年10月から約1年で約110万人を突破するまでに急拡大した。

銀行別の金融チップ。カードの大きさは、SIMカードとほぼ同じだ
金融チップを、SIMカードのように端末に差し込めば、モバイルバンキングができるようになる

現在に至るまでは試行錯誤の連続

 じつは韓国では1999年からモバイルバンキングが存在していた。最初はSMSでユーザーと銀行がやり取りをする方式だったが、照会業務のみしかできなかったため、すぐに次の「ブラウザ方式」に取って代わられた。

ブラウザ方式では、携帯電話に内蔵されたWAPブラウザを利用しバンキングサービスに接続。振り込みまでできるということで大きな期待がかかったが、画面が変わるたびにWeb関連の全データを一緒に送受信するため、膨大な時間と、それに伴う通信料金が発生してしまい、結局は不発に終わっている。

 次なるサービスとしてSKTとKTFが投入したのが、端末に専用アプリケーションをダウンロードしてサービスを行うVM(バーチャルマシン)方式だ。バンキング関連のデータのみを送受信するため、時間と費用を節約できるのがメリット。しかしVM方式では、端末のメモリ容量不足や安全性への不安感、そして操作の複雑さが大きな課題だった。

 例えばLGTのサービスで比べてみると、BANK ONでの振込みでは、完了までに3〜4段階の操作を1分30秒(パケット代13〜26ウォン)でできるのに対し、VM方式では7〜16段階の操作に5〜10分(80〜340ウォン)ほどかかっていた(※1000ウォン=約100円)。BANK ON開始前の取り引き実績の大半は、最も簡単にできる照会業務で、振り込み業務は5万8000件程度。会員、利用数ともに増加させることはできなかった。

 現在の非接触ICチップを使ったサービスでは、チップに個人情報や通帳情報があらかじめ記憶されているため、時間や費用に対する心配は大きく減った。また3キャリアとも、モバイルバンキングを多く使う人のために、月800ウォン(約80円)でパケット代定額サービスも提供している。現在でもVM方式やWAP方式によるバンキングが存在しているが、今後はどのキャリアもチップによるバンキングに注力する意向だ。

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