アドレス帳の仕様にもNEC端末らしさが見て取れる。アドレス帳メニューの先頭が新規登録であるのはボーダフォン3Gの統一仕様に沿ったものであり、一覧表示がワンタッチで呼び出せないなど、操作がこなれていない部分もある。しかし、一覧から数字キーでダイレクトに登録者を選べる点はいかにもNEC仕様。今どきの端末として、タブ付きの一覧ではないのも珍しいが、これもまたNEC仕様であり、統一仕様の影響を受けているわけではない。
デスクトップにショートカットを貼り付け 、待ち受け状態から各種機能にアクセスできる機能も使える。これは統一仕様の影響を受けない付加機能だが、頻繁に電話をかける相手などはショートカットとして登録してしまえば素早く電話をかけられる。
世界統一仕様を掲げたボーダフォン3Gの冬モデルは、これまでのボーダフォン端末とは大きく異なる操作性になったことから、乗り換えを躊躇するユーザーも多い(2004年12月の記事参照)。シャープのハイエンド端末「902SH」にしても、スペックこそ最強だが、がらりと変わった操作性を嘆く声も決して少なくない(1月7日の記事参照)。
802Nの操作性は、程よく世界統一仕様を採り入れた印象を受ける。操作の根底にあるのはNECの流儀であり、ほかの端末に比べると従来端末の操作性に近い。どの端末から移行したとしても、ほかの冬モデルほどには違和感を感じなくて済みそうだ。
機能的にはそれほど強烈な個性を持たない端末だが、マルチタスクも便利で、日本語入力も「T9」+「次文節予測」となかなか魅力的。ハード面でも124万画素CMOSカメラやQVGA液晶、外部メモリに対応するなど平均的なスペックを備えている。
QVGAディスプレイを生かしきれていないなど、不満な点もあるが、機能やデザインはもちろん、操作性まで個性派揃いの冬モデルの中では、良い意味で最も普通の端末かつNEC製らしい端末に仕上がっている。比較的安心して移行できるボーダフォン3G端末といえるだろう。
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