ボーダフォンが冬商戦に向けて投入する、3G端末7機種を発表した。早期の3G展開を模索しながら足踏みが続いていた同社だが、今度こそ3Gに舵を切る。
「(従来の3G端末)801シリーズは、2機種しか用意できなかったことが大きな反省点。今回は、競争力のある端末ができた。(ドコモやauと)十分に戦える」と、ターミナルマネジメント部の森一幸部長は自信を見せた。
7機種の投入時期は明確にされなかったが、「11月から12月の冬商戦」。大きな特徴は、4機種を海外メーカーが占めることだ。
「海外ベンダーの積極的な投入がベネフィットになればいい。3Gの基本性能では、MotorolaやNokiaなどにまだアドバンテージがある」(森氏)。特に新規ユーザーを海外メーカーのブランドで獲得する狙いがあるという。
端末価格についても未定だが、「Nokia製など海外ベンダー製も含めて、基本的には従来の販売方法を継続」(森氏)する意向。キャリアのインセンティブが乗った価格で販売される見込みだ。
機種 | 対応通信方式 | Bluetooth | Flash | IrDA | 外部メモリ |
---|---|---|---|---|---|
902SH | W-CDMA/GSM | ○ | ○ | ○ | SDカード |
802SE | W-CDMA/GSM | ○ | ○ | ○ | メモリースティックDuo |
802SH | W-CDMA/GSM | ○ | ○ | ○ | SDカード |
802N | W-CDMA | × | × | ○ | miniSDカード |
702NK | W-CDMA/GSM | ○ | × | × | RS-MMC |
702MO | W-CDMA/GSM | × | × | × | TransFlash |
702sMO | W-CDMA/GSM | × | × | × | TransFlash |
今回の7機種は、同社が“Convergence=統一”と呼ぶコンセプトの元に開発されたものだ。ボーダフォンの発表と併せて、Vodafoneグループとしても3G端末10機種を世界同時発表している(9月22日の記事参照)。その内の7機種が、国内向けとして投入されるかたちとなる。従来から同社が述べていた、グローバル調達に基づく初めての製品群だ。
いずれの機種も、Vodafoneグループが定めた世界共通の仕様に基づいている。森氏は、大きく4つのポイントを挙げた。
1つは、「操作性に統一感を持たせた」こと。例えばメインメニューのアイコン表示を各端末共通化し、「A社からB社へ端末を換えた時も同じ操作性で使える」(森氏)ことを目指した。将来的にはもっと深い階層まで共通化するという。
2つ目は、コンテンツ関係の容量拡大だ。「業界最大級」と森氏が言うように、メールの添付容量は300Kバイト、ダウンロードサイズは2Mバイト、Vアプリは1Mバイトの容量を実現する。
コンテンツ | メール | アプリ |
---|---|---|
ボーダフォン(新3G) | 300Kバイト | 1Mバイト |
ボーダフォン(旧3G) | 200Kバイト | 100Kバイト |
ボーダフォン(パケット機) | 30Kバイト | 256Kバイト |
ドコモ(900i) | 100Kバイト(送信) | 500Kバイト |
KDDI(1X WIN、BREW) | 150Kバイト | 600Kバイト |
※初出で、Webからのファイルダウンロードサイズが誤っておりました。お詫びし、訂正させていただきます
さらに、ドコモやKDDI同様、Macromedia Flashに対応する。また、MEPG-4/64Kbpsの動画ストリーミングも可能になる。
3つ目は、国際ローミング機能の強化。7機種のうち、NEC製の802Nを除く端末が、GSM/W-CDMAにデュアル対応しており、海外での音声通話はもちろん、データ通信、テレビ電話のローミングにも対応している。
欧州約7カ国で、Vodafoneグループは3Gサービスを開始している。現在のところどの国でテレビ電話ローミングが行われるのかは明かされなかったが、海外でも3Gのフルサービスが受けられる可能性がある。
4つ目は、「豊富なデザインバリエーション」(森氏)だ。国内向けハイエンドの筆頭ともいえるシャープ製の端末をはじめ、Nokia、Motorolaなど海外大手の端末ベンダーは、日本にはない独特のデザインが特徴となる。
新プラットフォームの投入に当たっては、端末ラインアップだけでなく、新サービスとの連携が重要だ。ただし今回の発表は、新端末だけで、サービスの発表は次回に持ち越しとなった。
サービス面で明かされたのは、メールサービスとしてGSM圏で利用されているMMSが採用されたこと。そしてWebサービスにはWAP2.0が標準採用になったことだ。
またVアプリも、従来のMIDP+JSCL(J-フォン拡張)から、「VFX」に仕様が変更された。VFXはMIDP2.0+VSCLからなっており、Vodafoneグループ共通のプラットフォーム仕様となる。従来仕様との互換性はないため、「コンテンツプロバイダに若干の改修をお願いしている」(コアプロダクト&プラットフォームマネジメント部の桑原正光課長代理)が、国内3G向けのコンテンツをそのまま海外展開できるという強みもある。
なお、シャープとNEC製の端末には、JSCLとMascot Capsule Ver4も搭載されるため、既存のVアプリも動作する
ダウンロードサイズも2Mバイトに拡張されたが、それを活用したサービスの発表はこれからだ。「ただ大容量なだけではパケットの無駄遣い。映像を携帯に配信することも考えられる」(桑原氏)。
発表会でたびたび質問として出た、「定額制の導入」については、検討中とするに留めた。
ただし、「超流通」など従来にはないコンテンツ流通サービスの採用も、同社は明らかにしている(8月27日の記事参照)。3Gへの移行に時間がかかったことなどから、不調がささやかれているボーダフォンだが、逆に言えば満を持しての3G新端末投入ともいえる。
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