エルダー層の“微妙な心理”に配慮──「W32K」ができるまで(1/2 ページ)

» 2005年07月12日 02時54分 公開
[後藤祥子,ITmedia]

 このところKDDIがアプローチしているのが、特定の世代のニーズを汲んだ端末開発。最初に登場したのはティーンエイジャーの女の子をターゲットにした「Sweets」(3月24日の記事参照)。そして今度はエルダー層向けの「W32K」をリリースした(5月19日の記事参照)

 いずれもまだ新規契約開拓の余地がある層であり、キャリアから見ても、取り込みを狙いたい部分だ。エルダー層の携帯普及率は、「ざっくりいうと、50代が70%、60代が50%」だとW32Kの商品企画を担当した、京セラ移動体通信機器統括事業部 商品企画課責任者の有田行男氏は話す。

 「キャリアにとっては機種変更ニーズだけでなく、新規で契約を取ることも重要。そこに対して一緒に手を打っていこうというのが、W32K開発の出発点」

 ただしエルダー層向け端末は、使いやすさが求められるだけでなく「年寄り扱いの携帯はいやだ」という声への配慮も重要になる。

 「リサーチやインタビューを繰り返してニーズを探った」という、W32K誕生までのプロセスを聞いた。

 京セラ移動体通信機器統括事業部 商品企画課責任者の有田行男氏(左)と京セラ移動体通信機器事業本部 事業企画課の責任者、五十嵐剛氏(右)

ターゲットは50歳から65歳の現役層

 携帯電話に対する意識は、50代、60代、70代と、世代ごとに異なると有田氏。「50代は比較的、積極的な利用意向があり、“使ってみたい”と機会をうかがっている。60代はちょっと微妙で、若干使いたいという意識が薄れてくる。70代は先入観があって、“難しいから使いこなせないのではないか”と感じている方も多い」

 また男性の場合は、仕事に関わっているかどうかでライフスタイルや消費行動が変わってくるという。「定年の65歳というラインをはさんで、コミュニケーションを取る相手も変わってくる」

 W32Kがターゲットとするのは、50歳から65歳くらいまでのエルダー層。定年前で仕事も現役でこなしている人たちだ。「携帯を使いたいという意向が強く、流行に遅れたくないというプレッシャーもある。仕事もしているので、まだ現役だという誇りもある」。狙ったのは「使いたいけど、自分にあった使いやすい端末が見つからない」という層だ。

なかなか本音が出てこない

 ターゲット層に対しては、かなり多くのグループインタビューを行ったという。「街角では巣鴨や歌舞伎座の周りなどで。対象となるユーザーを調査会社に集めてもらって、携帯に対する思いを聞いた」

 難しいのは「なかなか本音を聞き出せなかった」ことだ。「そもそも、50代以上のための携帯を作るというテーマで人を集めようとしても、“自分はその層ではない”と思って来てくれない。『携帯とライフスタイル』など、全然違う切り口で人を集めた」

 他キャリアが出しているユニバーサル携帯を見せて意見を聞くと、使うとしっくりくるものの、“これは私が持つ携帯ではない”と言い切る。「年配向けの携帯というイメージがあるようで、“そう見られたくない”という思いが強い」

 ただ、長い時間をかけて遠回しにいろいろ聞いてみると、違った答えが出てきた。「やはり歳を重ねるにつれて、視力が落ちるなどの肉体的衰えは避けて通れない。そこに対して、やはり現状の携帯電話は使いにくいという声が出てきた」

 こうしたやりとりの中から出てきたのが「機能は極力残しつつ、シンプルでやさしそうな携帯」というコンセプトだ。

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