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» 2005年11月04日 21時30分 公開

auデザイナー小牟田氏が語る「デザイナーのありかた」

携帯デザイナーはどんな姿勢でデザインに取り組んでいるか。そんな疑問の答えに、触れられそうな機会があった。

[杉浦正武,ITmedia]

 携帯デザイナーはどんなことを考え、どういった姿勢でデザインに取り組んでいるのか。そんな疑問の答えを、かいま見られるイベントが開催された。

 11月4日、明治神宮外苑で開催された「TOKYO DESIGNER'S WEEK 2005」トークセッションにKDDIプロダクトデザインディレクターの小牟田啓博氏と富士写真フイルムのデザインマネージャー、堀切和久氏が登場。デザインとの関わり方について、自由に話した。

Photo KDDIの小牟田氏。堀切氏とは「多摩美(多摩美術大学)の先輩後輩という間柄だ」と紹介する。ちなみに小牟田氏は後輩にあたる
Photo 富士写真フイルムの堀切氏。小牟田氏とは会って間もないが、デザイナーの心を共有するもの同士「すぐ仲良くなれた」と話す。ちなみに小牟田氏のことは「コムちゃん」と呼ぶ

なぜデザイナーになったのか〜それぞれの選択

 トークセッションのテーマは「携帯 VS デジカメ」。携帯が進化するとデジカメを取り込むのではないか? という議論を想像させるタイトルだったが、これは違うと小牟田氏。「(携帯は)デジカメ業界からは携帯が目のかたきにされているが……個人的にはそうは思わない」。堀切氏も、携帯とデジカメは別のものだと簡単に話し、このテーマを終わらせてしまった。

 残り時間、何を話すか。ここで小牟田氏は自分がデザイナーとなるに至った経緯などを話し出す。

 「僕は学生のころ優秀じゃなかった。というかめちゃくちゃ悪かった」。取りえになりそうなものといえば「唯一、ケンカか絵かな」(同)……ということでデザイナーになったという。小牟田氏は自分がデザインに携わるようになって15年たつが、自分の欲望を達成するためというより“皆に共感してもらえる”という喜びのために仕事をしているとコメント。このあたりが、自分の成長した点だろうかと話した。

 これを受けて、堀切氏も自分がデザイナーになった経緯を話しだす。「実はプロダクトデザイナーになろうなんて全然思っていなくて、弁護士になりたかった。それで進路指導の先生にそう話したら『なんでお前は美術の成績がいいのに美大にいかないんだ』と言われた」。その場で美術の先生が呼ばれ、説得が始まったという。

 「じゃあ美大で何をすればいいか、先生決めて下さいといったら『お前は彫刻でもない、油絵でもないな』ということでデザインにマルを付けて願書を出した」

 さらに堀切氏は続けて「こういうことを言うと怒られるが、僕は本当は多摩美ではなく武蔵美(武蔵野美術大学)に行きたかった」と話す。

 「当時つき合っていた彼女が多摩美に出願するというので、『じゃあ多摩美』といって決めた。しかし彼女は武蔵美に行き、僕は多摩美に行くことになった。そして2人は結ばれなかったという、哀しい話になった」

趣味の世界と、デザインへの姿勢

 小牟田氏はまた、自分は趣味で極真空手をやっていると紹介した上で「空手に身をおいて、ストイックに自分を高めることをしている」と話す。

 「全国に、auのケータイを持っている人がいる。沖縄などでは(全国でもauのシェアが極めて高いエリアのため)半分の人がauを持っている。自分の見たこともない、聞いたことのない人が使ってくれていると思うと、責任は重大だ」。空手に取り組むことで、そうしたプレッシャーをプラスに変えていくのだと説明した。

 「auを使ってくれる人のためなら、喜んで骨の1本や2本ささげましょうと。そんなマインドで、auのデザインに骨を折っている」

 堀切氏も横から、自分の趣味は盆栽だと話す。松の木だけに「松田優作」「松平健」「松井秀樹」などと名前を付けて、辛いときには「ひできー、今日こんなことがあってさー」と話しかけているのだという。

 堀切氏は、盆栽と空手は似ているのではないかとコメント。「空手は突き一発、蹴り一発入ったら死んでしまうかもしれないという世界。盆栽もはさみで変な枝を切ったら、もう生えてこない。(松の木が)死んでしまうかもしれないという世界だ」。そんな趣味の世界が、デザイナーとしてのメンタリティーを支えているのだと話した。

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