F902iとD902iとで異なるのは、持ち歩いて使う際の使い勝手だ。閉じた状態での操作性という点ではスライドスタイルのD902iが快適で、ほとんどの操作を閉じたままで行える。F902iは、閉じた状態では側面の上下ボタンを使った音量調整と曲間移動しかできない。ちなみにF902iでは上下ボタンは短押しで曲間移動、長押しで音量調整が行える。
ただしD902iにも弱点はある。ミュージックプレーヤー起動中は、プロテクトキーロックを有効にできない点だ。カバンやポケットに入れたまま音楽再生を行うと、誤操作する可能性が高く、閉じてしまえば物理的にキーがカバーされるF902iの方が安心して使える。
F902iとD902iはいずれも、ドコモ純正の「平型ステレオイヤホンセット」に備えられるイヤフォンスイッチを使ってリモコン操作を行える。本体側のイヤフォンスイッチ設定をミュージックプレーヤー操作に変更しておくと以下の操作が行える。
1つのキーで操作することから、可能な操作は限られる。ただ移動中など、携帯電話をカバンの中に入れたままにする場合は便利に使える。なお、ドコモ純正の平型ステレオイヤホンセットのほかに、ソニー製のマイク付きイヤフォンでも同様の操作が行えた。
なお音質に関してはF902iの方が上という印象だ。D902iの音が悪いというわけではないが、F902iの方が高音の歪みも少なく澄んだ音色。対するD902iは、いかにもカジュアルオーディオ的な音色という印象を受けた。
他の902iシリーズと比べて気になるのは、一度ミュージックプレーヤーを終了すると、続きから再生できない点だろう。N902iやP902i、SH902iは続きからの再生をサポートしている。
操作系に関しては基本は押さえられており、リモコン操作できるのも便利な点。またPCからの音楽ファイル転送はファイルの暗号化処理がないため、USB 2.0接続のカードリーダーなどを利用すれば素早く転送できる。この転送の速さは、SD-Audioを採用しているP902iやSH902iに対するメリットともいえるだろう。
特にPC上に既に登録されているMP3ファイルをAACエンコードして転送したい場合、F902iやD902iならiTunes上で一度AACファイルに変換しておけば、素早く転送できる。SD-Audioの場合はMP3ファイルは登録しか行えず、転送のたびにSD-Audioフォーマットへの変換を行う。このためメモリカードへの転送のたびに非常に時間がかかるのだ。
F902i、D902i共に、音楽ファイルのminiSDカードへの書き込みは、付属の「データリンクソフト」を利用して行える。データリンクソフトは、音楽ファイルの転送機能については大きな差がある。
F902iのminiSDカードに音楽ファイルを転送するには、データリンクソフトの「miniSDユーティリティ」を利用する。従来モデルに付属していたバージョンから進化しており、データの分類に「ミュージック」が追加され、音楽ファイルが独立して管理されるようになった。
「ミュージック」を選択し、iTunesの楽曲一覧やExplorerから楽曲ファイルをドラッグ&ドロップするだけで、miniSDカードに音楽ファイルを転送できる。アルバム(フォルダ)管理にも対応しており、任意にアルバムを追加して音楽ファイルを追加したり、アルバム単位で曲を削除したりできる。
D902iでは「データリンクソフト」の「マルチメディアデータ」機能を使ってminiSDカードに音楽ファイルを転送する。iTunesの楽曲一覧やExplorerから楽曲ファイルを直接ドラッグ&ドロップすればいい点はF902iと同じだ。しかしD902iの場合、音楽ファイルはminiSDカードに書き込む機能だけを提供しており、管理機能は持たない。
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