「Xperia 1 VIII」のAIカメラ機能が炎上したワケ 「画質劣化ではなく選択肢の1つ」とソニーは説明

» 2026年05月15日 19時00分 公開
[金子麟太郎ITmedia]

 ソニーの海外公式Xアカウントが5月14日に投稿した、次世代AI機能「Xperia Intelligence」を搭載した「AIカメラアシスタント」のプロモーションポストが炎上している。

 AIカメラアシスタントは、ソニーのフラグシップスマートフォンの新製品「Xperia 1 VIII」の機能の1つで、誰でも簡単に写真を撮れるようにと開発された。AIがシーンを認識して、シチュエーションに合わせて表現力のある画作りを提案する新機能で、細かい設定が分からなくても、多彩な表現力で撮影できるのが魅力だ。

 投稿された作例の一部において、AI加工後の写真が従来よりもコントラストが極端に低く、明るい部分が飽和している、いわゆる「白飛び」しているように見えることから、一部のカメラ愛好家やユーザーの間で「画質が低下したのではないか」という懸念や批判の声が挙がったのだ。

Sony Xperia1VIII AI Camera ソニーのフラグシップスマートフォンの新製品「Xperia 1 VIII」

 「オート撮影は忠実であるべき」という評価を確立してきたXperiaシリーズだけに、今回の“攻めた”画作りへの転換は多くの困惑を招いた。本誌は翌15日、ソニーの新製品体験会において、同社の広報担当者とイメージングコミュニケーション商品企画部 プロダクトプランナーの北澤英里氏に、事の真相を直撃した。

ソニーは「1つの選択肢」であることを強調

 まず、製品の反響についてソニー広報は次のように切り出した。

ソニー広報 (Xperia 1 VIIIの)発表以降、大変多くの反響とお声をいただいています。肯定的なご評価もあれば、一方で「どのように使う機能なのか」という疑問の声があることも把握しています。改めてご説明したいのは、今回の「Xperia Intelligence」による提案機能は、既にご存じの通り、ある被写体に対して最適な選択肢を提示し、ユーザーがそれを選ぶか、選ばないか、あるいは提案をもとに自ら微調整を加えるための機能であるということです。

 SNS上の話題を見ていると、「Xperiaで撮ると全てがこのような画作りになる」といった極端な捉え方をされている向きもありますが、あくまで「選択肢が増えた」ということをまずはお伝えしたいです。この機能は決して強制ではありません。使っていただく皆さまそれぞれが、「自分はこういう表現が好みだな」と気付くきっかけにしてほしいですし、それぞれの楽しみ方を見つけていただくための提案です。本当に「1つの選択肢だけではない」という点が、広報としての公式なコメントとなります。

Sony Xperia1VIII AI Camera Xperia 1 VIIIで写真を撮影する様子
Sony Xperia1VIII AI Camera AIカメラアシスタントは、AIがシーンを認識して、シチュエーションに合わせて表現力のある画作りを提案する新機能だ

技術的な背景と騒がれている「画質劣化」への公式回答

 続いて、具体的な画作りのメカニズムと、ユーザーから指摘されている「画質の低下」という懸念について、プロダクトプランナーの北澤英里氏に詳細を聞いた。

―― 一部で「画質が落ちた」という厳しい声も上がっていますが、どのような意図で今回のプリセットを作成されたのでしょうか。

北澤氏 まず前提として、ソニーがこれまで一貫して取り組んできたのは、オート撮影における「忠実な画作り」です。他社製品には派手な補正をかけるものもありますが、ソニーは「オートは忠実」という軸を守り続けています。今回の新機能はそこを置き換えるものではなく、あくまで新しい「提案」として、ユーザーに選んでいただく形をとっています。

 例えば、「明るめでふんわりとした雰囲気」や「コントラストを引き締めた力強い表現」「彩度を強調した鮮やかな描写」など、多様な選択肢を提示し、好みに合わせて選択いただけます。当然、従来の忠実な表現を好まれる方は、メニューから「AIカメラアシスタント」をオフにすることで、従来通りの画作りで撮影を継続できます。

Sony Xperia1VIII AI Camera AIカメラアシスタントが有効になっている状態で被写体にカメラのレンズを向けると、AIが色味や彩度の異なる数種類の仕上がりを提案してくれる。後はいずれか1つを選択してシャッターを切るだけだ
Sony Xperia1VIII AI Camera AIカメラアシスタントでの作例
北澤英里 5月15日、Xperia 1 VIII体験会前の質疑応答の場に登壇したソニーの北澤英里氏。AIカメラアシスタントの機能が強制ではなく、ユーザーが好みを自覚するためのきっかけであることを強調した

―― それでも、SNS上では「白飛びが気になる」といった具体的な画質への指摘があります。何を根拠にそのような声が挙がっていると分析されていますか。

北澤氏 詳細な分析はこれからですが、提案のアルゴリズムによっては画面上のパラメーターを「明るさを上げ、コントラストを少し下げる」といった方向に調整しています。コントラストを下げすぎると、シーンによっては細部の質感が損なわれて見えたり、明るさを強調しすぎることで白飛びが目立ってしまったりすることは、物理的な現像処理の結果として起こり得ます。

―― 個人の感じ方による部分ということでしょうか。

北澤氏 その通りです。ですので、もし「明るすぎる」と感じられたら、提案された状態からユーザーご自身で微調整を行っていただけるよう設計しています。

―― シーンによっては、いわゆる実物と懸け離れた、不自然な仕上がりになる可能性もあるということですか?

北澤氏 あえて、分かりやすい変化が出るようには作っています。あまりに変化が小さいと、機能としての意味が薄れてしまうからです。まずはこれをベースに、「少しやりすぎだな」と思ったら数値を下げていただく、といった使い方を想定しています。

 「何をどう調整すればいいか分からない」というお客さまに対して、まずはベーシックな組み合わせを提示し、「あ、この雰囲気は好きだな」というスタート地点をご用意する。そこから好みに合わせて追い込んでいただくのが、私たちの狙いです。

―― 今回の機能の追加によって、Xperiaの画質が「低下した」わけではない、と言い切れますか?

北澤氏 はい。当社の「クリエイティブルック」もそうですが、私たちは撮影時に画作り自体にルックを反映させています。これは通常のフィルター機能のような「後編集」とは異なり、RAWデータからの現像プロセスで行うため、画質劣化が発生しないのが売りです。今回もその設計思想に基づいていますので、画質が悪くなるということはありません。

“忠実な画作り”と“表現の提案”にギャップあったか

 炎上の背景には、ソニーが守り続けてきた「忠実な画作り」と、新しい「表現の提案」の間のギャップがあったといえる。AIが示す選択肢をどのように使いこなすか、その主導権はあくまでユーザーにあるというのがソニーの考えだ。

おことわり

記事中のやりとりは、文脈の変わらない範囲で体裁を整えています。


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