ニュース
» 2006年02月02日 23時30分 公開

反省した? ボーダフォンの「日本発」電子コミック戦略

海外のビジネスモデルを日本市場に持ち込もうとして、不振に陥ったボーダフォン。今後はこのスタンスを改め、国内のコンテンツ・プロバイダの意見を尊重するという。

[杉浦正武,ITmedia]

 ボーダフォンの電子コミック担当者が、スタンスの変化をアピールした。ともすれば英国本社を向いて仕事をしがちだった過去の失敗をふまえ、今後は国内のコンテンツ・プロバイダ(CP)の意見を大きく尊重するという。

 セルシスが2月2日に開催した「セルシス モバイルソリューションセミナー 2006」の会場に、ボーダフォンのプロダクト・サービス開発本部、コンテンツサービス部の皆川淳氏が登場。今後ボーダフォンが、積極的にCPの提案を受け入れていくと話した。

Photo ボーダフォンの皆川氏

「担当者の顔が見えにくかったかもしれない」

 セミナー主催者であるセルシスは、携帯向けの電子コミックビューワ「ComicSurfing」で知られる企業。セルシスが手がける、携帯コンテンツを管理するツールの解説も行われるとあって、この日のセミナーには電子コミックのコンテンツを持つ多くのCPが詰め掛けた。

 そのCPに向かって、皆川氏は素直な思いを投げかける。

 「今までは、ボーダフォンの担当者の顔が見えにくいとか、提案しても採用されないんじゃないの? と思われていたこともあろうかと思う。その点は反省している」

 皆川氏は、ここにきてボーダフォンの社内の体制も大分変わってきたと強調する。皆川氏がともに働くスタッフにしても、上司は米国の人間であり、本部長はオランダの人間だった。しかし事業の不振もあり、彼らは本国に帰っていったという。「今では、全員日本人でやっている」

 この変化は、英Vodafoneのやり方が現場レベルで日本には合わない――という認識が共有された結果のようだ。「グローバル本社も悪気があったわけではない。ヨーロッパで常に成功してきたモデルを日本にも強引に持ってこようとしたが、なかなかユーザーに受け入れられなかった。一年やってきて、『これはだめだ』と気づいてくれた」。皆川氏は今後、日本のコンテンツの成功モデルをグローバルにフィードバックするようなスタンスで仕事に取り組みたいと話した。

成長著しい電子コミック市場

 皆川氏は、ボーダフォンとして電子コミックを重視しているのだとアピールする。「携帯向け電子コミック市場は、成長が著しい。情報料は、前月比20%増前後で推移している。着うたや携帯ゲームに比べるとまだ規模は劣るが、伸びが高い」

Photo

 ボーダフォンは現状、まだ電子コミックに対応している端末の台数が少ない。昨年末の段階で、ドコモやKDDIに比べて大きく遅れをとっていると皆川氏。「3G端末も伸びているが、もうちょっと頑張らなくてはいけない」。ただこの話には続きがあるのだという。

 「しかし、情報料の売上シェアで見ればほかのキャリアに負けていない。(会場でグラフを示しながら)これは開示されている正確な情報ではなく、あるサンプルコンテンツのヒアリングによるものだが、売上シェアで見ればほかのキャリアと同じ。ということは、電子コミックの“購入率”はボーダフォンがナンバーワンではないか」

Photo ボーダフォンの示したグラフ。(左)昨年末の段階で、電子コミック対応台数は少ない(右)しかし、あるサンプルコンテンツでは売上シェアはほかのキャリアとほぼ遜色ない

 ボーダフォンの電子コミックが健闘している背景には、それなりのサポート体制がある。たとえばボーダフォンは昨年末からリリースしている新機種「804SH」に、セルシスのComicSurfingをプリインストールしている。3月にも発売するとされる「904T」にも、同アプリをプリインストールする予定だ。

 さらに「サンプル作品もプリインストールする。804SHは2作品だったが、904Tは思い切って7作品をプリインストールする」。こうしたコンテンツは、単にユーザーに閲覧して楽しんでもらうだけでなく、CPのサイトに誘導して売上に貢献するという狙いもあるという。

 またサイトメニューも「頑張っている」。ボーダフォンのメニューリストは、「着うた」「ゲーム」に続く位置に「コミック」を配置して、ユーザーがアクセスしやすい環境を整えている。ほかにも、電子コミックの各サイトを並べるだけではなく作品ごとのリストも提供するなど、使いやすさを考慮しているのだとした。

Photo 「じゃりんこチエ」「ブラック・ジャック」など、各作品のリストを提供している

ボーダフォンならではの海外展開も

 皆川氏は、今後電子コミックを海外にも展開したいのだと話す。実は同氏は、かつてテレビ番組制作会社に長く勤め、コンテンツの海外販売などを手がけていた経験を持つ。

 「アニメーションの海外販売をやっていた。ヨーロッパでもラテン系の、イタリアとかフランスといった国では日本のコミック、アニメを受け入れる市場ができ上がっている。これは売っていた立場として、身をもって知っている」

 英Vodafoneグループの力を利用して、日本の電子コミックを輸出することを考えており、それは十分可能であるという。現在、海外のコンテンツ担当者にセルシスのビューワを持たせて、各国でどのような反応があるかヒアリングしているという。

 日本から世界へ。その流れを確かなものにするためにも、まずは国内での成功が重要になる。皆川氏は会場に向かって「遠慮なくお声がけください」と呼びかけた。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

この記事が気に入ったら
ITmedia Mobile に「いいね!」しよう