2002年の「3強時代の予言」と、その的中度モバイル編集部、ただいま取材中

» 2006年03月20日 11時41分 公開
[新崎幸夫,ITmedia]

 先週は、ソフトバンクのボーダフォン買収発表があった。3月4日未明に「買収交渉で両社がテーブルについた」との情報が報道関係者に知れ渡り、そこから2週間足らずでの契約成立となった。米投資ファンドが名乗りを上げ、ソフトバンクが交渉を急いだという背景があるようだが「3〜4週間かかる」という声(3月6日の記事参照)や、「2カ月かかるのでは」という声もあった(3月16日の記事参照)ことも考えると、驚くべきスピードといえる。ちなみにソフトバンクの孫正義社長の言葉を聞く限り、買収に必要な巨額のファイナンスにはさほど苦労しなかった様子。「国内、海外から買収総額をはるかに超える、何倍ものオファーをもらった。金利も我々にとって、十分魅力的だった」とアピールする。

 ともあれ、これで“通信3強時代”に突入したと見る向きは多い。ここで思い出されるのが、2002年頃に話されていた「通信事業者の再編」論だ。当時はISPが乱立しており、各事業者が「プレイヤーが多すぎる」と話して合従・連衡を模索していた。ソニーがニフティを買収するという噂も飛び交ったし、BIGLOBEはDION、hi-ho、ODNを巻き込んで「ISP連合」を作ろうとした(2002年4月22日の記事参照)。この動きの中で、ある事業者の幹部が話していたセリフを、記者は今でも覚えている。

 「いずれ、通信業界はいくつかの大きな軸にまとまってくる。1つは間違いなくNTTグループ。もう1つは、潜在能力からいって電力系だろう。さらにもう1つ、新しい軸をYahoo!BBが形成するかもしれない」

 あれから4年の歳月が過ぎた。NTTグループが結集しつつあるのは予言どおりだが、電力系通信事業者は今ひとつ存在感を示せず、KDDIグループと合併した。またソフトバンクが日本テレコム(ODN)を飲み込み、今またボーダフォンを買収するとは、当時は流石に想像できなかった。

 この予言には、続きがある。3本の軸に対し、ISPも連携してもう1つの対抗軸を作り出さなければ……という主張だった。今、それらしい動きはあまり見当たらない。ただしニフティやソニーコミュンケーションネットワークは、イー・アクセスとMVNOで提携することを検討している。「土管屋」に徹し、ISPと協調的に事業展開しようとするイー・アクセスが、ISP連合の力を集めることができるのかどうか。

 また、ここにきて急速に勢いを回復したウィルコムが、CATV事業者などとの連携で事業を強化できるか。光ファイバーのインフラを持ち、最近の「GyaO」のヒットとライブドア買収で注目されるUSENも、個人的には注目したいところ。これらの事業者がどう連携し、どのように勢力を強め、また弱めていくのか。通信業界再編の「第2幕」に注目したい。

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