ベールを脱いだ「Deluxe MITs」を試す――Mobile WiMAX Summitリポート韓国携帯事情(2/2 ページ)

» 2006年11月17日 21時20分 公開
[佐々木朋美,ITmedia]
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移動しながらWiBro体験!「KT WiBroバス」

photo WiBroバス

 Samsung Electronicsはこの日、バスの中でWiBroを体験できる「WiBroバス」を用意した。WiBroといえば最低時速60キロでの移動中でも高速インターネットができるのが特徴。その実力を確かめるべく、バスに乗り込んでみた。

 残念ながらバスは、道路事情のため常にスピードをあげて走ることはできず、加速と減速を繰り返しながら15分ほど走行した。しかしこの間、WiBro通信は一度も途切れることはなかった。高画質な動画ではやや荒さが感じられたが、通常のWebページなどは難なく読み込め、リンクをクリックしてからのページアクセスもスムーズだった。

 このデモで利用したWiBro網は、特別に準備したものではなく、KTによる商用ネットワークだった。これまでWiBroはソウル市内の限られた地域でしか利用できず、エリアの狭さを感じることが多かった。今回のWiBroバスルートは、サービスを拡大したエリアで、急速なWiBro網の広がりを実感できた。

photophoto シートの前に置かれたノートPCでWiBro体験ができた。運転席の後ろにある大画面には、WiBro通信によるストリーミング映像を表示(左)移動中のWiBroバス車内でWebサイトを表示。5秒程度で全体を読み込めた

WiBro用PDA「SPH-M8100」

 SPH-P9000と並び、2007年初めごろに発売予定の端末「SPH-M8100」も展示された。このPDA型端末は、WiBroでの通信機能を利用してVoIP/ビデオチャット/インスタントメッセンジャーなどのサービスを利用できる。

 画面はQVGA(320×240ピクセル)対応の2.8インチ液晶で、アウトカメラに200万画素、ビデオチャット用のインカメラに30万画素のカメラを搭載している。地上波DMBの視聴も可能だ。OSはWindows Mobile 5.0 Pocket PCを採用した。

photophoto 「SPH-M8100」。スタイラスは横方向に差し込む形となっている。画面の右下にある[WiBro]ボタンを押すとWiBro網に接続する(左)。スタート画面に並ぶ、RSSやビデオチャット、VoIPなどのアイコン(右)

photophotophoto 「My RSS」はニュースやスポーツなどのジャンル別に分かれたRSSリーダー(左)。VoIP機能で電話をかけようとしているところ(中央)。さまざまなジャンルの動画が視聴可能な「My Media」(右)

photophoto 「WibroPTA」はオンラインの相手を確認して、メッセージをやり取りしたり、顔を見ながらのチャットなどが可能。

photophoto WibroPTAでメッセージを作成するところ。メッセージを受信すると内容確認についてのダイアログが出る

世界へ広がる? モバイルWiMAX

 モバイルWiMAX Summitでは、KTやKDDI、Sprint Nextel、TI(Italia Telecom)などの代表による、モバイルWiMAX戦略の紹介やディスカッション、米Yankee Groupからの市場展望の発表など、さまざまなカンファレンスが行われた。

 Yankee Groupが予想するモバイルWiMAX市場は2010年で1900万人、2011年に2770万人規模。商用サービスの開始が早まれば、2010年中にも2770万人の達成が可能だという。

 また、2011年の段階でアジア・アジア太平洋地域における加入者を810万人と予測。北米では780万人、ヨーロッパ・中東・アフリカ地域では890万人に達するとしている。端末の普及台数は3200万台となる見込みだ。

 この数字を実現するには、当然世界各国での商用化が大前提となる。2006年11月現在で、Samsung Electronicsと提携しすでにモバイルWiMAX事業を行っている、または行う予定の企業は世界22カ国33キャリアに上っているという。うち、商用サービスを確定しているのは4カ国5キャリア、試験サービスを行っているのは6カ国6キャリア、MOUを締結したのは5カ国6キャリアだ。

 Samsung Electronics社長のイ・キテ氏は、「WiBroはこれまで、ソウルの一部地域でしか利用できなかった。そのためユーザーに不便を強いていたが、今後は急速に拡大していく。来年初めには注目の端末が出る予定であり、世界への普及もそう長くはかからないだろう」と述べた。

 Samsung Electronicsを中心に、世界的な企業が商用化に動いているモバイルWiMAX。ここに来て大きな展開を見せており、今後も注目の規格だといえる。

佐々木朋美

 プログラマーを経た後、雑誌、ネットなどでITを中心に執筆するライターに転身。現在、韓国はソウルにて活動中で、韓国に関する記事も多々。IT以外にも経済や女性誌関連記事も執筆するほか翻訳も行っている。


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