インタビュー
» 2006年12月04日 20時37分 公開

データ通信カード「WS008HA」がExpressCardになった理由「WS008HA」開発陣インタビュー(2/2 ページ)

[平賀洋一,ITmedia]
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 付属ソフトによっては、PCにインストールせずにWS008HAの内蔵メモリから直接起動することも可能だ。これは、PCにインストールしているソフトに依存しないモバイル環境を提供するためだという。

 「W-SIMそのものと近い考えですが、『究極のモバイルは“回線”だけ持って歩く』ということを意識しました。W-SIMはPHS網に接続するためのハードウェアで、アプリケーションは対応端末が担当します。WS008HAの場合は相手がノートPCで、通信ができても決まったソフトがいつもあるとは限らない。そこで(WS008HA)自身にソフトやユーザー領域を持たせることで、ノートPCの環境に左右されないモバイル環境を提供したかったんです」(清水氏)

 「WS008HAでは256Mバイトの内蔵メモリを搭載しました。ドライバやアプリケーションを提供する分には十分ですが、ユーザーがいろいろなデータを保存するにはちょっと少ないかなと思ってます。これも売れ行きいかんですが、市場動向をみて、より大きなメモリ容量を求めるユーザーが多いようなら、メモリを増やしたバージョンも検討しています。具体的には未定ですが、2Gバイトくらいまでのメモリチップならば大きな仕様変更をしなくても搭載できると思います」(満尾氏)

photo 内蔵メモリによりソフトを内蔵できたことで、同梱CD-ROMを省くことが可能になった。パッケージもかなり小さくなっている

将来的にはW-OAM対応W-SIMの同梱も

 WS008HAを製造するのはハギワラシスコムだ。「ハギワラシスコムさんは、ExpressCard関連の製品やフラッシュメモリを使った製品の開発経験が豊富。WS008HAの開発はハギワラシスコムさんでなければ難しかったと思います」(清水氏)

 満尾氏も「ウィルコムには初めてのExpressCard規格の製品開発でしたが、比較的にスムーズに、そして短期間に行えた」と振り返る。WS008HAでは内蔵メモリがROM領域とリムーバブル領域に分けられており、PCに接続すると、仮想CD-ROMとメモリカードの2つのボリュームがマウントされる。こうしたノウハウは、単なるデータ通信カードではなくソフトやデータも同時に提供する場合に欠かせなかったという。

 製品には、最大4xパケット通信が可能なW-SIMのRX410INが同梱される。このW-SIMはWS008HAのスロットから抜き差しが可能だが、プッシュロック/プッシュイジェクトなどの機構は用意されていない。当然、抜け落ちるようなことはないが、指で簡単に抜き差しが行える。これはどういった理由からだろうか。

 「たとえデータ通信カードであっても、“SIM-STYLE”としての使い方をしてもらいたい。WS008HAはPCに接続したままでもW-SIMだけ入れ替えて、1本の回線でデータ通信も携帯端末での通話も簡単に使い分けることができる。だったら、できるだけ簡単に抜き差しできたほうがいいですから、複雑なロック機構は避けました」(清水氏)

 「現在の製品ラインアップは、WS008HAにW-SIMを同梱したものとWS008HA単体の2つ。すでに、W-SIMを持っているユーザーはウィルコムストアからWS008HA単体を購入することで、1回線のまま使用できます。例えば、12月中旬に発売する『9(nine)』とWS008HA単体を購入していただければ、W-OAMに対応した通話とデータ通信が1回線で可能になります。また、セットに付属するW-SIMは今のところRX410INですが、今後はW-OAMに対応するRX420ALの同梱も検討しています」(満尾氏)

 “回線”のみを持ち歩くという究極のモバイルを目指して開発されたWS008HA。単にExpressCardという新しい規格に対応しただけでなく、内蔵メモリによりソフトとデータを持ち運べるようになった。また今後は、W-SIMのアップデートにより通信速度の向上も期待できる。同社の掲げるSIM-STYLEのテーマからもたらされた、新しいコンセプトのデータ通信カードといえるのではないだろうか。

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