なぜ? U-NEXTが自ら「U-NEXT MOBILE」を立ち上げた理由 20GB実質300円、ワンプラン、eSIMのみの狙いMVNOに聞く(1/3 ページ)

» 2025年12月17日 14時01分 公開
[石野純也ITmedia]

 楽天モバイルが日本企業同士の最強タッグとして始めた「Rakuten最強U-NEXT」だが、実はU-NEXT側から見ると、楽天モバイルとは別の回線も用意されていることが分かる。その選択肢とは、同社が新たにスタートしたMVNOの「U-NEXT MOBILE」だ。楽天モバイルかドコモ回線を使ったMVNOのU-NEXT MOBILEのどちらかを選ぶと、セット料金として割安になるという建て付けになる。

 データ容量は20GB一択だが、月額料金は1800円。U-NEXTとのセット割を適用すると、300円の割引を受けられる。さらに、この料金にはU-NEXTポイントを充当可能。1200円ぶんを適用すると、月額料金は300円まで下がる。U-NEXTとU-NEXT MOBILEをセットにすれば、わずか2489円で映像サービスとモバイル通信サービスの両方を利用できるというわけだ。

 もともとU-NEXTに2189円支払っていたユーザーにとっては、わずか300円で回線を追加できる形になる。一方で、U-NEXTはMVNEとして回線を提供しており、ヤマダホールディングスとともに設立したY.U-mobileがコンシューマー向けのサービス「y.u mobile」を提供している。なぜ親会社であるU-NEXTが、直接U-NEXT MOBILEを始めることになったのか。その経緯や、サービスの特徴をU-NEXTのCX本部 モバイルサービスグループ 担当部長の渡辺未来氏に聞いた。

U-NEXT MOBILE U-NEXTのMVNOサービス「U-NEXT MOBILE」が11月にスタートした

U-NEXTブランドとして提供することに意義がある

U-NEXT MOBILE U-NEXTの渡辺未来氏

―― モバイル回線とのセットはRakuten最強U-NEXTだけかと思いきや、実際にはU-NEXT MOBILEもあって驚きました。グループにy.u mobileもある中、U-NEXT本体でMVNOを始めたのはなぜでしょうか。

渡辺氏 サービス自体はリリースしたばかりですが、構想はかなり以前からありました。Rakuten最強U-NEXTのサービスイン以前から、リリースすることは決めていたのでその発表と同じタイミングで「U-NEXT MOBILEがあるよ」ということは世に打ち出しています。

 今回のU-NEXT MOBILEは、U-NEXTをお使いの方がメインターゲットです。サービスを知っていただくにあたり、同じU-NEXTブランドの中で展開していると安心感が違います。U-NEXTブランドとして(MVNOのサービスを)提供することに意義があると考えています。

―― y.u mobileとは違う回線ということでしょうか。

渡辺氏 y.u mobileに関してはY.U-mobile側が提供しているサービスで、その裏側としてU-NEXTがMVNEとして携わっています。その意味では、帯域設計やコントロールはこれまでもやっていました。U-NEXT MOBILEでも、その経験やノウハウを生かしてサービスを提供しています。

―― 直接、コンシューマー向けを手掛けるのは初めてでしょうか。

渡辺氏 ご存じかもしれませんが、以前やっていたU-mobile(現在は新規受付を終了、既存の契約者にはサービス提供を継続している)はMVNOとしてサービスをしていました。その後、Y.U-mobileの裏方としてMVNEに徹していましたが、今後はU-NEXTブランドで改めてユーザーに直接サービスを提供する流れになりました。

ユーザーの迷いをなくすため、あえて20GBのワンプランに

―― 料金プランが1つしかありませんが、ワンプランのMVNOというのも珍しいですね。

渡辺氏 はい。ワンプランで20GBだけという形です。理由としては、ドコモさんが20GBのワンプランでahamoを出したときから、シンプルなものが主流になっているからです。一般のユーザーには、プランが複雑だったり、縛りがあったり、よく分からないオプションがついていたりという経験をしている方も多い。そんなユーザーの迷いをなくしたいという思いがありました。

 ワンプランではありますが、データチャージには特徴を設けてあります。1GBは330円ですが、10GBだと1200円、50GBは2500円で、かなりの低価格になっているので必要なときだけ買い足していただくのがいいと思っています。ギガの有効期限もありません。これは、毎月のデータ容量だけでなく、追加チャージした分も同様です。20GBを超える月があっても、少ない月から永久繰り越しした分でカバーできる。自分で使い方にフィットさせていくようなプランにしたかったということは考えていました。

―― 一般的に、MVNOといえば小容量が強いイメージですが、U-NEXTとセットということもあり、あまりデータ通信を使わない人は念頭に置いていないのでしょうか。

渡辺氏 一般的にプランを大きく分けると、小容量、中容量とそれ以上の大容量や無制限の3つがあります。大容量や無制限は楽天モバイルさんでカバーできる。そちらは、キャリアにお任せしようと考えています。一方で、U-NEXTを使っている方をメインターゲットとしたとき、3GBや5GBの小容量ではなく、中容量のボリュームが大きかったということがあります。実際、U-NEXTでアンケートも取って分析しましたが、そういった傾向がありました。

―― ahamoはその後30GBにデータ容量を増量していますが、中容量を20Bにした理由はありますか。

渡辺氏 何GBをいくらにするのかは、社内で何度も議論しました。ただ、恒常的に30GBを使い切るトラフィックがあるかというと、そうではなく、少し余らせる傾向があります。U-NEXT MOBILEには永久繰り越しという大きな特徴があるので、20GBで余った分を少しずつ積み立てていけば十分ではないかということで20GBに設定しています。

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