動画配信大手のU-NEXTは10月1日、楽天モバイルと連携し、データ容量を気にすることなくU-NEXTの豊富なコンテンツを楽しめる新料金プラン「Rakuten最強U-NEXT」の提供を開始した。さらに同日、U-NEXTは格安通信サービスの提供も発表。動画配信と通信を組み合わせたサービスで顧客獲得を目指す一方、その成否は提携先の通信品質が鍵を握りそうだ。
Rakuten最強U-NEXTは、楽天モバイルが提供するデータ容量無制限の通信プランと、U-NEXTの見放題サービスを組み合わせたものだ。利用者は月額4378円で、映画やドラマ、アニメといった多彩な映像コンテンツに加え、210誌以上の雑誌や3700冊以上の児童書などを、スマートフォンやタブレットで楽しめる。ただし、U-NEXTの月額プラン会員に通常付与される1200円分のポイントは、このプランの対象外となる。
サービス開始記念キャンペーンとして、2026年1月31日までの利用分については、通常月額4378円のところを3278円で提供する。さらに、家族契約で割引を適用可能な「最強家族プログラム」を併用すれば、月額3168円まで料金が下がり、より一層お得にサービスを利用できる。この新プランの契約者は、「楽天マガジン」や「楽天ミュージック」といった楽天モバイルが提供する既存のデジタルコンテンツ特典や、通話アプリ「Rakuten Link」、海外ローミングといったサービスも引き続き利用可能だ。
U-NEXTは楽天モバイルとの協業に加え、楽天モバイルとは組まない格安通信サービスも開始。前者はRakuten最強U-NEXTで、後者はU-NEXTが11月から新たに提供を開始するMVNOサービス「U-NEXT MOBILE」を選択肢として用意した。
こちらは、月間のデータ使用量が比較的少ない利用者を想定したプランで、月に20GBのデータ容量を付与する。U-NEXTの月額プラン(2189円)の会員に毎月付与される1200ポイントを通信料の支払いに充当することで、通信サービス部分の追加負担は実質月々わずか300円となり、U-NEXTの視聴料金と合わせて月額2489円で利用できる計算になる。
しかし、ユーザー観点でいえば懸念材料も存在する。U-NEXT MOBILEが通信網として利用するのはNTTドコモの回線だ。ドコモの通信品質を巡っては、2023年頃から一部の利用者より、データ通信が滞る、いわゆる“パケ詰まり”が起きているとの声がSNSなどで上がり、その品質が問われる事態となっていた。
こうした状況に対し、ドコモ側も対策を講じてきた。同社の前田義晃社長は2024年6月の決算会見で、利用者の声やアプリの利用データを基に問題箇所を早期に特定し、迅速な対策を実施していく方針を表明。品質改善のために300億円を先行投資し、全国約2000カ所の通信環境や、利用者の移動が多い鉄道沿線などで集中的に改善作業を進めてきた。多くの人が集まる大規模イベント会場ではアンテナを交換するなど、具体的な対策も明らかにしている。
NTTの島田明社長も2025年2月の決算会見において、品質向上のための工程を確実に実行していく姿勢を示し、その成果が数字として表れるのは少し先になるとの見通しを語っていた。利用者が実際につながりやすさを体感できる時期については、「少し良くなってくるのは4月とかそういう段階だ」と具体的な時期にも言及しており、品質改善への道筋を示していた。
動画配信と通信の融合サービスにおいて快適な視聴体験は不可欠な要素といえるが、U-NEXTが打ち出したU-NEXT MOBILEが利用者の支持を広げられるかは、回線提供元のドコモの通信品質が安定的に提供されるかにかかっている。
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