―― しかし、U-NEXTユーザーにとっては安いですね。ポイントは利用することになりますが、300円まで下がるというのは驚きました。
渡辺氏 定価は1800円で、これだけ見ると「普通じゃん」と思われてしまうかもしれませんが、U-NEXTとのセット契約で300円の割引が入ります。また、毎月もらえるポイントをスマホ代(通信料)に充てられるのも大きな特徴です。ポイントをどのように使いたいかにもよりますが、新作映画を見る月だけ使って、使わない月もあるということはあります。そのようなときにも、ポイントを余らせることなく有効活用できます。ポイントをフルで使えば300円になるので、今までのU-NEXTにたった300円で20GBがついてくると見なすこともできます。
U-NEXT目線だと、獲得を伸ばすことも重要ですが、解約率をいかに抑えるかが主要なテーマでした。解約するユーザーの傾向を見ていくと、ポイント余らせてしまい、それゆえに高いと感じています。ポイントの価値を高め、有効活用できるようにするにはどうすればいいかを考えています。U-NEXTを契約している方はスマホで見ることが多い。そのスマホの料金にポイントを充てられれば、ユーザーにもメリットがありますし、われわれにとっても解約率を下げる効果が期待できます。
―― 料金の見せ方として、1800円から割引で1500円になり、ポイントを使って300円になるという形になっていますが、「実質300円」を全面に出さなかった理由はありますか。
渡辺氏 確かに20GB、300円と言った方がインパクトがあるのではという話はありましたが、セットであれば割引が効き、ポイントも適用できるということを分かりやすく見せた方が、正直でいいんじゃないかという結論になりました。サイトでも、定価とそこからの割引を出す方針にしています。
―― どちらかといえば、ここまでのお話はU-NEXTユーザーをいかに取り込むかという方向性でしたが、逆にU-NEXT MOBILEをきっかけに初めてU-NEXTに入るような動きも想定しているのでしょうか。
渡辺氏 そこも狙っています。過去に使っていて、価格がちょっと高い、ポイントを持て余したという理由で止めた方は多くいます。また、他のVODサービスを利用している方の中には、もう少しU-NEXTの価格が安ければ……という方もいます。VODのためだけに追加で2000円以上払うのは難しくても、スマホとセットで2000円台なら入れると思っていただけることはあるので、初めての方は大歓迎です。
―― まだサービスインからあまり時間がたっていませんが、反響はいかがでしたか。
渡辺氏 サービス開始から申し込みがパラパラと入ってきています。珍しく、11月に始めますと告知していたので、待ちわびていた方もいてうれしく思いました。ただ、皆さんまだまだ検討段階だと思います。モバイル回線は比較検討商材なので、即決とはいかないかもしれません。ただ、これからVODが需要期に入っていくので、今後はプロモーションも強化していきます。
―― 現状だと、ドコモ回線だけですが、KDDIやソフトバンク回線についてはいかがでしょうか。
渡辺氏 ドコモさんに関しては、これまでの経験も含めて、設備やシステムの準備がありました。ドコモ回線で提供する方が効率的、合理的と判断しています。ただ、ドコモ回線以外を使いたいというユーザーからの声も届いています。その声を聞きながら、必要に応じて検討してきます。
実際、y.u mobileでは、速度の満足度も定期的にウォッチしていますが、大きな流れで言うと、少しずつ下がっています。y.u mobileは詳しい方が入られているので、「例の問題で……(都市部を中心としたドコモ回線の通信品質低下の問題)」という声があるのも事実です。これは私たちで改善することができないので、ドコモさんに期待するしかない状況です。
―― eSIMも提供する……というか、U-NEXT MOBILEはeSIMのみなんですね。
渡辺氏 はい。U-NEXT MOBILEはeSIMのみで提供しています。U-NEXTはアプリからデジタルコンテンツを購入するのが自然な体験になっているからです。U-NEXTを主にした設計になっているので、その延長線上として、全てをオンラインで解決する世界観がよかった。SIMカードの配送を待つことなく、その場ですぐに契約できることを実現したかったという思いがあります。モバイルサービスというより、OTT(上位レイヤーの)サービスという位置付けの設計で、この形にさせていただきました。
―― かなり思い切っていますね。
渡辺氏 まだ物理SIMが主流だとは思うので、少し勇気がいることだったのは事実です。ただ、iPhone 17シリーズはeSIMオンリーになりました。Androidがそこに追従するかどうかはまだ分かりませんが、長期的に見たら置き換わっていくと思います。ここもシンプルに、デジタルの世界の中だけで完結することを目指した方がいい。確かに(eSIMオンリーにするのは)早いとは思いますが、それもあってこのような形にしています。
―― ということは、今後もSIMカードを提供する予定はないということですね。
渡辺氏 はい。現時点ではありません。
―― コスト的にも変わってくるのでしょうか。
渡辺氏 設備面ではそこまでの差はありませんが、物理SIMかeSIMかで手順が違うので、こういう場合はこうというような場合分けをしなくてもよくなりました。また、物理SIMだと配送費用もかかります。そこがなくなり、気軽にお届けできるようになったのもメリットです。
―― ちなみに、再発行はいくらかかるのでしょうか。MVNOによっては結構な金額を設定しているところもありますが……。
渡辺氏 一定の原価がかかるもので、本人確認をするなどのコストもかかります。少し高めて設定している会社もあるようですが、うちはスタンダードな440円です。
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