KDDIの松田浩路社長は、2026年5月12日に開催した2026年3月期本決算説明会において、楽天モバイルとの間で締結しているローミング契約の現状と今後の方針について語った。松田浩路社長は、楽天モバイルとのローミング協定がちょうど7年を経過し、2026年9月に期限を迎えることに触れた。楽天モバイルの自社エリアが全国的に広がっている現状を踏まえ、ローミング提供の当初の役割は終えたとの認識を示した。
今後の見通しについて、松田氏は楽天モバイルの自社エリアが拡大を続けている中で、KDDIが得られるローミング収入は今後減っていくものと考えていることを説明した。実際に、次期中期経営計画には楽天モバイルからのローミング収入による増収分を見込んでいない。9月の期限を控えた10月以降の対応については、一部トラフィックのハンドリングなどでどのような形で協調していけるのか、現在も引き続き協議を進めている状況だ。
松田氏は、現在のローミングの利用状況や今後の見通しについて、次のように語った。
「これまでも申し上げている通り、サービススペックによって、当社網へのトラフィックは想定以上になっている。もともとauのお客さまには影響がない形で進めているため、そうなりかねない混雑エリアについては、十分な期間を持ってお伝えして終了しているところだ」(松田氏)
トラフィック増加による自社網への影響が懸念されるところだが、KDDIはauユーザーの通信に支障が出ないことを大前提としており、混雑が予想されるエリアについては十分な告知期間を設けた上でローミング提供を順次終了させているため、自社の通信品質は維持されている。
「楽天(モバイル)とのローミング協定はちょうど7年を経過し、この9月に期限を迎える。楽天(モバイル)のエリアもすでに全国に広がってきているため、当初の役割は終えたのではないか」(松田氏)
楽天モバイルのエリアが全国に広がったことで、KDDIによるネットワーク支援の役割が変化したことを改めて説明した形だ。2025年11月6日の第2四半期決算説明会においても、松田氏は楽天モバイルが掲げる最強ネットワークという言葉に対し、KDDIのローミング網を含めて評価されているのだろうと述べていた。楽天が自前のエリアを構築するまでの暫定的な貸し出しという「協調と競争」の関係性に沿って、今後も進める方針だ。
楽天モバイルが自社基地局の整備を加速させる中で、KDDI側もローミング提供というフェーズから、一部トラフィックのハンドリングといった新たな協調の形へシフトしようとしている姿勢がうかがえる。
10月以降の具体的な運用形態については、今後の協議結果を待つ必要がある。松田氏は、「現在10月以降にどのような形で協調していけるのかを引き続き協議しているところだ」と話す。ユーザーのサブ回線需要が年々高まっていることは事実であり、各社がどのようなアプローチで他社ユーザーとの接点を構築していくのかが注目されそうだ。松田氏は、今後の協調策について結論が出次第、改めて説明する意向を示した。
また松田氏は、「povoをサブ回線として提供する」アイデアを明らかにした。「楽天(モバイル)のお客さまがお困りになることがあれば、当社としても例えば副回線の形であったり、あるいは基本料金0円のpovoだったりというような形でも支援できないかと考えている」(松田氏)
提供の有無や開始時期、サービスの概要には踏み込んで言及しなかった。ローミングの役割が縮小する一方で、通信障害時の備えや冗長性の確保を目的としたデュアルSIM需要などがあるようだ。楽天モバイルの本回線で大容量データを消費しつつ、通信品質の補完やバックアップとして他社の通信サービスをサブ回線で利用するユースケースは、ユーザーにとって合理的な選択肢となり得る。
KDDIの松田浩路社長は、「povoをサブ回線として提供する」アイデアを明らかにした。開始の有無や詳細は明らかにしなかったが、基本料金0円から利用可能なpovoはサブ回線としての親和性が高く通信障害時のバックアップや冗長性確保の手段として楽天モバイルユーザーに訴求する狙いがある楽天モバイルからのローミング収入減少という変化に対し、KDDIは通信と付加価値サービスの両輪による総合ARPU収入の最大化で成長を目指す構えだ。今後の楽天モバイルとの「協調と競争」の行方や、10月以降の新たな協調策の進展に、業界全体の注目が集まっている。
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