米SpaceXは3月2日、スペイン・バルセロナで開催中のMWC Barcelona 2026の基調講演で、衛星とスマートフォンの直接通信サービス「Starlink Mobile」の展開状況を発表した。日本ではKDDIに加え、新たに2社の通信事業者にサービスを提供する計画を明らかにした。
SpaceXのGwynne Shotwell社長兼COOとStarlink担当SVPのMike Nicolls氏が登壇。Nicolls氏は、2024年に打ち上げを開始した第1世代のDirect to Cell衛星について、650機の展開を完了し、5大陸32カ国で運用していると説明した。サービスの加入者数は全世界で1000万を超えたという。
日本では、KDDIが2025年4月にStarlinkの衛星通信を使った「au Starlink Direct」を国内で初めて開始。SMS送受信や緊急地震速報の受信に加え、2025年8月からはデータ通信にも対応した。KDDIによれば、接続者数は約350万人に達している。
Starlink側が言及した「あと2社」について、SpaceXは社名を明かしていない。ただし、NTTドコモとソフトバンクの動きと一致する。
NTTドコモの前田義晃社長は2025年5月の決算会見で、衛星とスマートフォンの直接通信を2026年夏に開始すると表明。2026年2月の決算会見でも2026年度初頭の提供開始を改めて発表し、2月9日にニュースリリースも発表している。利用する衛星事業者は公表していない。
ソフトバンクの宮川潤一社長も同様に、2025年5月の決算会見で衛星直接通信の2026年開始を初めて表明した。2026年2月の決算会見では「来年度中にやる」と明言し、「差別化は難しくなるだろう」との見解を示した。衛星事業者名は伏せたが「準備は終わっている」と述べていた。
一方、楽天モバイルは米AST SpaceMobileの衛星を採用する。2025年4月には福島県内で低軌道衛星とスマートフォンのビデオ通話試験に成功。「Rakuten最強衛星サービス Powered by AST SpaceMobile」として2026年第4四半期(10〜12月)の商用開始を目指している。AST SpaceMobileの衛星はStarlinkと比べてアンテナが大きく、当初からブロードバンド通信に対応する設計だ。
SpaceXはMWCの講演で次世代計画にも言及した。2027年に打ち上げを予定する第2世代衛星では、S帯の周波数と大型フェーズドアレイアンテナを使い、下り最大150Mbpsの通信速度を実現するとしている。1基あたりのデータ処理能力は第1世代の約100倍に達し、5G NR NTN規格に対応する。打ち上げにはStarshipを使い、1回で50機の衛星を搭載できるという。
2026年度中に、日本の4キャリア全てが衛星とスマートフォンの直接通信を提供する見通しだ。KDDIが先行し、ドコモとソフトバンクがStarlinkで追い、楽天モバイルがAST SpaceMobileで参入する。山間部や離島、災害時の通信手段として、衛星スマホ通信は携帯各社の標準サービスになりつつある。
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