NTTドコモは2026年2月9日、衛星とスマートフォンが直接通信を行う新サービスを2026年度初頭から開始すると発表した。地上にある基地局を経由せず、宇宙空間にある人工衛星と端末が直接電波を送受信する仕組みを採用した。
従来、携帯電話の通信は地上基地局の場所に依存し、山間部や離島、海上などでは電波が届かない地域があった。新サービスの導入により、こうした通信困難エリアであっても、利用者は通信手段を確保し、連絡を取り合うことが可能となる。
機能として、テキストメッセージの送受信に加え、対応するアプリを用いたデータ通信が可能となる。利用者は専用アンテナなどの特別な機器を用意する必要がなく、既存の4G対応スマートフォンをそのまま使用できる点が特徴だ。
このサービスは個人契約だけでなく、法人契約の利用者も対象とする。法人向けの窓口やサポートについては、NTTグループで法人事業を担うNTTドコモビジネスが取り扱いを行い、企業の事業継続計画などの需要に対応していく。
第5世代移動通信システムの整備が進み人口カバー率は高いが、地理的要因で電波が届かない場所は残る。また、地震や台風などの大規模災害で地上の通信網が寸断された際、被災地が孤立するリスクへの対策も重要な課題となっていた。
ドコモは場所や状況に左右されない通信環境を構築し、社会的な安全を支えるインフラとしての役割を強化する。この取り組みは、NTTグループが展開する宇宙ビジネスブランド「NTT C89」のプロジェクトの1つとして推進する。
同ブランドは、社会的な課題解決を通じて宇宙関連事業の拡大を目指しており、今回のサービスもその理念を体現する。ドコモは「いつでも、どこでもつながる」ネットワークの実現を掲げ、通信エリアの未整備地域を補完していく。
パートナー企業や提供料金、対応エリアなどの詳細については明らかにしておらず、今後の追加発表で順次説明するとしている。
衛星とスマートフォンが直接通信については、競合するKDDIが先行してサービスを展開している。同社は2025年4月から、スマートフォンと衛星が直接通信を行う「au Starlink Direct」の提供を開始し、市場での実績を積み重ねてきた。
KDDIのサービスは、通常のStarlink衛星よりも地球に近い高度340km付近を周回する専用衛星を活用する。これにより市販のスマートフォンでの直接通信を実現し、登山中の連絡手段などとして広く利用されている。
提供中の機能は多岐にわたり、メッセージ送受信や圏外での緊急速報メール受信が可能である。さらに、生成AIである「Google Gemini」の利用や、SNSへの投稿といったデータ通信も実用化し、顧客体験を拡張している。
ソフトバンクは2026年内のサービス開始を予定しており、楽天モバイルも「Rakuten最強衛星サービス Powered by AST SpaceMobile」を2026年第4四半期(10〜12月)に提供すべく準備を進めている。これら各社の動きにより、今後、衛星通信サービスの競争は激化する見通しだ。
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