スマホ購入時の「割引制限緩和」はメリットばかりではない? 携帯ショップ店員が語る“率直な意見”:元ベテラン店員が教える「そこんとこ」(1/3 ページ)

» 2026年05月12日 15時00分 公開
[迎悟,ITmedia]

 電気通信事業法と関連する総務省令(施行規則)の改正によって、大手通信事業者を通して販売されるスマートフォンは2019年10月から、他の携帯電話端末(ケータイやモバイルルーター)は2020年1月からの大幅な値引きが不可能となった。

 気付けばもう6年以上の時間が経過したが、その間に回線契約とひも付く利益供与(割引)上限額は「一律2万円」から「本体価格に応じた額」に変更されるなど、何度か見直しは行われている。現在も、総務省の有識者会議でこの規制を制限をどうすべきかという議論が行われている。

 ただ、こうした政府の考えに対し、携帯電話事業者からは「緩和はしない方がいい」といった声も挙がっている。過去の「最新機種が一括0円」が復活するのは、なかなか難しそうだ。

 このような動きに対して、携帯電話販売店のスタッフはどう考えているのか。今回は値引きに焦点を当てて話を聞いてみた。

ガイドライン 端末の値引き制限は「電気通信事業法第27条の3」を根拠に行っており、同規定の具体的な運用は「電気通信事業法施行規則」で定めている。「電気通信事業法第27条の3等の運用に関するガイドライン」は、その名の通り電気通信事業法第27条の3と、それに関連する総務省令の運用指針をまとめたもので、2024年12月版が最新となる
現状の値引き規制 最新(2024年12月以降)の規定では、大手通信事業者が販売する端末の値引き上限は税別4万円(税込み4万4000円)となっている。ただし、端末価格が2万円超8万円以下の場合はより制限がかかる(2024年12月版ガイドラインより:一部加工あり)

販売現場は「値引き規制緩和」への賛成が多い

 当たり前といえば当たり前かもしれないが、携帯電話販売店のスタッフに話を聞いてみると「割引はもっと自由に行えるようにしてほしい」という趣旨の声が多い。寄せられた声をいくつか紹介する。

 機種(の値付け)によって割引できる上限が細かく決まっているのは、ぶっちゃけると面倒だし、売りづらいなとずっと思っています。あまり大きな声では言えませんけど、同じ価格でも利益が確保できる機種とそうでない機種がありますし、事業者が決めた価格をベースに割引上限額が決まってしまうより、店頭あるいは代理店ごとにある程度の裁量ををもって割引額を決められた方が、販売は盛り上がると思うんです。

 「利益提供額として〜」って言いますけど、その辺の複雑な仕組みを、現場の隅々まで周知徹底することは正直難しいです。結果、事業者から出てくる割引上限などに従わざるしかないですし、販売現場で自由に割引額を決めることは、この数年全くないです。

 以前のように「他店がうちより安かったから、うちも同じように値引きをするぞ!」とか「他店以上の特典を出して契約(販売)を取るぞ!」とか、そういう競争がないと売る側としてもやりがいはないですよね。

 お客さま目線で考えても、A店/B店/C店と複数の店舗で値段や応対の質を比べて、「じゃあこのお店にしよう」と決めることが大変であっても、そこに楽しさもあったと思います。それが今だと、基本的にどこの店にいっても値段が変わりません。

 もっといえば、「最初の2年間は月々1円で、2年間が終わるタイミングで(端末を)返却すれば24円です」という仕組みは、やっぱり分かりづらいですよね。ちょうど最近も、過去に月々1円だからと買ったお客さまから「何か請求額が突如増えた」と相談というかクレームがあり、ふたを開けてみれば「本体代金の支払い額が月々1円の期間が終わり、月々数千円の期間に入った」ことが原因でした。

 雰囲気で安く見せる施策はこういうクレームを生みますし、そういう経験をした人が増えることで「結局安くないね」と買い控えをする人が増えてしまうと思うんです。

 現場に立つ店員からは、現在の法律や総務省令で定められた値引きの“ややこしさ”や、その中でできる最大限の値引きの仕組みの難しさから、売る側と買う側、両方の目線で「値引きに自由が欲しい」といった声を多く聞くことができた。

欧米 欧米の主要国では、日本とは逆に回線契約とひも付いた端末値引き(または端末購入とひも付いた回線利用料の値引き)が大々的に行われており、米国の場合「Galaxy S25」の128GBモデルを“無料で”買えてしまう。この表にはないが、日本が規制の参考にした韓国でも、同様の値引きが“復活”している(野村総合研究所が総務省に提出した資料より)
販売層 携帯電話の販売代理店の業界団体「全国携帯電話販売代理店協会(全携協)」自体は、値引き規制自体は維持するように主張する一方で、現在は「税別2万円以下」としている廉価端末の定義を「税別4万円以下」に改めるように提案している(総務省提出資料より)
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