総務省は11月9日、電気通信市場検証会議に付属する会議体「競争ルールの検証に関するワーキンググループ(WG)」の第24回会合を開催した。今回の会合において、ソフトバンクが2022年2月に、KDDIと沖縄セルラー電話は2021年度内(2022年3月まで)に携帯電話サービスの定期契約における解約金(契約解除料/違約金)を撤廃する予定であることと、同省が現行の電気通信事業法に合致しない定期契約や料金割引プログラムの更新を2024年1月以降は認めない方針であることが明らかとなった。
【更新:11月10日9時】一部の表現を分かりやすくしました
総務省は9月17日付で、二宮清治総合通信基盤局長名義でNTTドコモ、KDDI、沖縄セルラー電話、ソフトバンクの4社の社長に対して「電気通信事業法の一部を改正する法律の趣旨に沿った公正な競争環境の確保に向けた取組について(要請)」という文章を交付した。
この文章において、二宮総合通信基盤局長は各社に以下の要請を行っている。
(※1)解約金設定のある料金プランから、解約金設定のない料金プラン、または解約金が値下げされる料金プランに変更した際に、従前の定期契約の更新期間まで旧プランの解約金の請求を“保留”とする制度
(※2)KDDI/沖縄セルラー電話における「アップグレードプログラム」シリーズ、ソフトバンクにおける「半額サポート」など
ドコモは4月16日に行われた競争ルールの検証に関するWGの第16回会合において、解約金留保の廃止と定期契約プランの新規受け付け停止を表明していた。9月17日の要請を受けて、同社は10月1日付で全料金プランにおける解約金留保を廃止すると同時に、独自の取り組みとして解約金を含む定期契約制度そのものを廃止した。
今回の会合の開催に伴い、総務省は先述の4社からの回答を取りまとめた。それによると、KDDI、沖縄セルラー電話とソフトバンクの3社は以下の通り対応予定を示したという。
一部を除き2019年10月から施行された改正電気通信事業法だが、改正前(2019年9月まで)に締結された「既往契約」については、法改正前に締結した条件による契約の継続が認められている。総務省によると、2021年9月末時点において改正法における「不適合利益」(旧端末購入プログラム+端末割引)を受けている契約は約1464万件(2019年9月末比で約55.8%)、「不適合拘束」(2年を超える定期契約+解約金が税別1000円を超える定期契約)を受けている契約は約3812万7000件(2019年9月末比で約37.4%)残存しているという(※2)。
(※2)2020年10月以降の残存数はKDDIと沖縄セルラー電話の「UQ mobile」も合算して算定している
不適合利益のうち、端末の割引については2023年9月までに自然解消する見通しである。旧端末購入プログラムについても、先述の通り2022年度内に回線契約継続条件が撤廃されるため、不適合利益に該当しなくなる。
一方で、不適合拘束条件については、3G通信サービスなら遅くとも2026年3月末までに改正法に適合するプランへの変更(≒契約の変更)を余儀なくされるため、ある意味で解消される。しかし、現時点でLTE(4G)契約の不適合プランを契約しているユーザーは、一部を除き条件が“永続”してしまう可能性がある。
そこで総務省は、2023年12月をもって3G契約を除く既往契約の更新特例を廃止する方針を示した。2024年1月以降は、改正法に適合しない条件でのプラン更新が不可能となる見通しだ。
同省ではこの“期限”を待たずに、各キャリアと協力して改正法に適合するプラン(契約)への移行を促進する措置を講じて、2023年12月までに可能な限り不適合プランの契約を解消することを目指すという。
具体的な措置としては、既往契約の契約更新時に改正法に適合しない一部の条件を解消する変更を認める「規制緩和」を実施することを挙げている。例えば「不適合プランの契約条件のうち、解約金のみを現行法の規定(税別1000円以下)に合致させる」といった条件変更を容認する方向だ。
ただし、以下のような変更は認めない。
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