総務省が11月22日、「電気通信事業法第27条の3」に関わる総務省令を2023年12月27日から改正することを発表した。
電気通信事業法第27条の3では、「通信料金と端末代金の完全分離」や「行きすぎた囲い込みの禁止」を規定している。2019年の電気通信事業法改正から3年が経過した時点での状況を踏まえ、総務省は「競争ルールの検証に関するWG」にて、端末値引きや対象事業者などについて、規制の見直しを検討してきた。
2023年10月7日から11月6日まで、情報通信行政・郵政行政審議会から答申を受け、12月に交付、同月27日に改正を行うことが決まった。
端末値引きについて、現行では2万円(税別、以下同)までとしているが、端末単体購入は規制対象外のため、「白ロム割」として単体なら1円で販売することが可能になっている。そこで改正後は、単体購入も割引の規制に含めることにする。
また値引き額の上限を2万円から4万円に緩和する。ただし値引き額は端末価格によって変わり、端末価格が4万円から8万円までの場合は50%までの値引き、4万円以下は2万円までの値引きとする。つまり4万円の値引きを受けられるのは、8万円以上の端末となる。
継続利用を条件とした割引の規制も改正する。現在、具体的な継続期間が示されていないが、その目安として「6カ月を超える期間」を設ける。また、規制対象に通信料金の割引以外の利益も含めることとする。
規制対象の事業者は、現行ではMNO、MNOの特定関係法人および利用者の数の割合が0.7%を超えるMVNOが該当する。ただ、現在MVNOの競争力はMNOに対して低下しているとの理由から、MVNOの対象を4%(約500万人相当)にすることが適当とする。これにより、現在対象となっているIIJとオプテージは対象外となる。
この他、端末値引きの対照価格として、現在は各事業者が販売している通常価格が採用されているが、これを調達価格に変更する。つまり調達価格が4万円の場合、販売価格が3万円であっても、値引き後の価格は2万円が最安になる。
通信方式変更や周波数移行の場合は、上限を超える値引きが可能だが、この特例は3Gから4Gや5Gへ移行する場合のみ有効とする。
既往契約の特例(改正法前の契約に基づく契約の継続が認められる特例)は、予定通り2024年1月で廃止する。これで規制対象事業者が実施している定期契約の更新は不可能となる。
【訂正:2023年12月20日12時50分 初出時、電気通信事業法を改正する旨を記載していましたが、正しくは「電気通信事業法に関わる総務省令の改正」なので、該当箇所を修正いたしました。】
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