インタビュー
» 2006年12月07日 00時10分 公開

ソニエリだからできた“ケータイ三位一体改革”──開発陣に聞く「SO903i」開発陣に聞く「SO903i」(携帯機能編)(2/2 ページ)

[後藤祥子,ITmedia]
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 1つはカメラのモジュールで手ブレ補正処理を行っている点だ。「(複数枚の写真を撮って)電子的に画像を重ねて補正しているが、手ブレ補正後の画像を生成するところまでをモジュールでやっているため、ソフト処理で手ブレ補正しているものに比べて処理が速い」(白川氏)

 もう1つはシャッターを切ると、その前後9枚の写真をキャプチャする「BestPic」機能。シャッターを押した時の1枚とシャッターを押す前の4枚、シャッターを押した後の4枚から気に入った写真を選んで保存できる機能で、子供や動物など動き回る被写体を撮影する際に効果があるという。

 「BestPicは高画素の写真をきれいに残すための機能で、設定するとサイズは3Mモードに切り替わる。シャッターを押し込むときに起こりやすい手ブレも、シャッターボタンを押す前後の写真を取り込むBestPicを使えば失敗を減らせる」(白川)

Photo 連写した9枚の中から気に入った写真を保存できる「BestPic」

PC操作に詳しい人にも、そうでない人にも使ってほしい音楽機能

 「生半可なおまけくらいの機能だとダメだと思った」「入れたのに使ってもらえない“死にフィーチャー”にはしたくなかった」と、妥協のない音楽機能を目指したソニエリ開発陣。PC操作に詳しくない人でも音楽機能を楽しんでもらえるように、製品に「FOMA SO903i Music Setup Guide」という小冊子を同梱した。

Photo 付属の小冊子「FOMA SO903i Music Setup Guide」

 「製品にはFOMA USBケーブル(試供品)と音楽管理ソフトの『SonicStage CP』、ステレオイヤフォンセットを同梱しているので、小冊子を見ながらすぐ音楽の取り込みを試せる。また端末内には4曲の音楽をプリセットしているので、せっかく買ったのに『音楽ファイルがありません』というアラートが出て諦める──ということもないはず」(安達氏)

音楽情報表示用のフォントも独自で

 閉じた状態で音楽を聴くときに表示される英数字は、ミュージックプレーヤーだけ文字間を美しく表示できるプロポーショナルフォントを用いているという。「音楽機能にお金を惜しまなかったことの現れです」(安達氏)

Photo 楽曲情報の表示に使われているのはプロポーショナルフォント

思い出をプッシュする──「ライフタイムカレンダー」

 3インチ、240×432ピクセルの大画面と、高画質エンジン「RealityMAX」の性能を生かすための機能といえるのが、「ライフタイムカレンダー」。端末内にアーカイブされたデータをただのデータとして扱うのではなく、エンタテインメント性を持たせた切り口で見せたらどうなるのか、というトライアル的なアプリケーションだと安達氏は説明する。

 一見するとスケジュール表のように見えるが、予定のほかにもその日に撮影した写真や送受信したメール、誕生日などの情報がリンクされるため、その日にどんなことがあったかをより詳細に振り返ることができる。もちろんそれぞれの情報には、ライフタイムカレンダーからアクセスでき、写真を貼付したメールを送ったり、メールを書いたりといった操作もできる。

 ユニークなのは、ライフタイムカレンダーを表示させた状態で一定時間が経過すると、カレンダーの上下にランダムな日付の“想い出”が表示される点だ。

Photo ライフタイムカレンダー。左の状態で一定時間操作がないと、左中のようにランダムな日付の“想い出”が表示される。この状態で右下ソフトキー(iチャネルキー)を押すと、その日に撮った写真ややりとりしたメールの一覧にアクセスできる(右中、右)

 「自分で能動的に見るだけではなく、端末の方から『この日にこんなことがあった』とプッシュしてくれる。これを見て、『そういえば最近、この人にメールを送っていない』と思ったら、ここからアクセスしてメールを送信できる。今までは、メールはメール、スケジュールはスケジュールというように別々の見方をするようになっていたが、横串で閲覧できたらいいかなと思った」(安達氏)

 ライフタイムカレンダーに表示される情報は、メールの受信箱や写真のフォルダから引っ張ってきているため、メーカーや機種の新旧を問わず、移行したデータも表示させられる。「カレンダーをベースに想い出を振り返れることで、端末に愛着が湧くし、実際、自分で見ていてもニヤニヤすることが多い。(90Mバイト超の)データBOXにたくさん写真やメールを保存して、1年〜2年先までそれを生かして楽しめる」(アプリケーション開発部の阪東良仁氏)

“もっさり感”も一部、改善

 ユーザーの一番の関心事である“もっさり感”も、部分的に改善されたという。「端末全体のレスポンスを速くしようとすると、システム的な制約がある」(佐藤氏)ことから今回は、(1)端末内に件数が多くなったときのメールのレスポンス (2)データBOX内のデータをサムネイル表示した際のレスポンス を改善している。「ソフト的な処理で直しているので、ソニエリFOMAの過去機種より速くなっている」(同)。

 新機能となる音楽やライフタイムカレンダー周りのレスポンスにはかなり注意を払ったと佐藤氏。多くの携帯では、異なる保存先のデータが混在するプレイリスト上での前後曲への移動にタイムラグが生じる場合が多いが、SO903iはそれを感じさせない。「ユーザーがストレスを感じない、現実的な時間で処理を行えるよう、実は開発の後半で大鉈を振るって改善した。当たり前のやり方だととても時間がかかってしまうので、“普通は、この時期にやらないだろう”というレベルの劇的な改善の末に、製品版の処理速度に持っていった」(佐藤氏)

 ライフタイムカレンダーも、「レスポンスが悪かったら使ってもらえない」という思いから、アルゴリズムの改善を重ねたという。「メールや画像など、あらゆるデータを引っ張るので、サクサク動くようにするのは難しかったが、実仕様に耐えるところまで作り込んでいる」(同)

“これでもか”というくらいに作った

 インタビューの前編にも出てきたように、ソニー・エリクソン・モバイルにとってSO903iは、“音楽ケータイ”の転換点を目指した端末であり、“新しいソニエリFOMA”の第一歩を踏み出した端末でもある。その意気込みは「“これでもか”というくらいに作った」という安達氏の言葉からもうかがえる。

 「ポケットから出したのが、ポータブルオーディオプレーヤーだと思ったら携帯だったみたいな。こういうシーンが街中で登場するイメージを持ちながら開発した」(安達氏)──こんな開発陣の想いを乗せて、SO903iは店頭に並んでいる。

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